2012.12.20 [■四季彩だより~信濃の国から~]
<VOL.210>四季彩だより~信濃の国から~
信州の冬といえば、スキーと温泉!!
いよいよ信州も本格的な冬を迎え、全国からスキーヤーやボーダーが、次々にオープンし始めた県内のスキー場へ足を運び始めました。
スキーよりは“ウイスキー”、スノボーよりは“こたつでボ~”の方がいいというのは、私だけでしょうか…?
さて、今回は、寒さ厳しいこの時期でなくては生産できない信州の特産品の紹介です。
(厳しい寒さが生んだ角寒天)
長野県諏訪地方は古くから寒天(天然角寒天)の生産地となっており、特に茅野市では、全国一の生産量を誇っています。
寒天は、和菓子の材料として欠かせないものですが、食品の中で食物繊維を最も多く含み、鉄分・カルシウムが豊富でノンカロリーであることもあり、昨今のダイエットブームで注目を集めています。
(天日干し中の角寒天)
天然角寒天は、12月から2月中旬までの期間だけ、日中の晴天と夜間の寒気を利用して自然乾燥で製造されています。
諏訪地方はこの時期、夜間の気温が零下2~8℃まで下がるのが普通で、零下10℃を下回ることもある厳しい寒さに見舞われるとともに、日中は晴天となる日が続きます。
また、日照時間が短く、雪や雨の降水量も少なく、地下水が豊富で不純物が少ないなど、多くの寒天製造の必要条件が揃っているのです。
寒天には約350年の歴史があります。
江戸時代の冬、京都伏見の旅館の主人であった美濃屋太郎左衛門が心太(ところてん)料理の残りを戸外に捨てたところ、数日後には白く乾燥していたため、それを煮てみると臭みもない透明な塊ができあがりました。これが寒天の誕生です。
茅野市に寒天が伝えられたのは約180年前のことで、茅野市玉川穴山の小林粂左衛門が関西方面へ出稼ぎに行った折、丹波地方での寒天製造を知り、気候が諏訪地方と共通していたため、その製造方法を身につけて郷里に帰り、冬の副業として製造を始めたそうです。
角寒天の製造方法は、概ね次のとおりです。
【水漬け】
原料の「てんぐさ」、「おごのり」を水につけて柔らかくする。
↓
(仕上がった寒天 もうすぐ出荷)
【洗 浄】
原料の海藻に付いているゴミを洗い流す。
↓
【あく抜き】
1~2日水槽につけてアクを抜く。
↓
【煮 熟】
少々の酸を加えて煮る。
↓
【ろ 過】
煮終わった寒天液をろ過する。
↓
(寒天と海草の酢の物)
【凝固・切断】
流し箱(もろぶた)に入れて固め、てん切り包丁で切る。
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【凍結・融解・乾燥】
野外の改良台で凍結・溶融解を繰り返し、約2週間かけて乾燥させる。
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【結束・出荷】
仕上がった角寒天を結束して保存、包装して出荷。
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