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Vol172■信州「しゃべり手」リレーエッセイ【9】

私の好きな長野県 ~武田 徹(ラジオパーソナリティ)~

長野県を代表するアナウンサーやパーソナリティの皆さんに、信州の魅力を語っていただくシリーズの第9回。
今回は、ラジオパーソナリティの武田 徹さんです。


武田 徹 さん


日本列島のド真ン中にあるのが信州。南北が212kmと長く、面積は日本の中で4番目に広い。しかも、北アルプス・中央アルプス・南アルプスなど3000m級の山々が連なっていて、「日本の屋根」などとも言われているのが信州。
こう紹介しただけでも、信州という土地が、いかに変化に富んだ地形と気象かが、おわかりいただけるかと思う。
この広い、山岳地帯の多い信州には、長野、松本など7つの盆地があり、日本一長い千曲川をはじめ、木曽川、天竜川、そして姫川と、大河が流れ、太平洋や日本海に注いでいる。高低差の多い複雑な地形は、そこに住んでいるわれら信州人に多様な生活スタイルと文化を定着させた。峠ひとつ越せば、言葉も違うし、食文化も違う。それぞれの大河の流域ごとに気質も違う。多文化県、それが長野県だ。


我が畑で冬越し野菜の収穫。
これが柔らかくて美味!

20世紀、文明社会の到来とともに、世界、特に先進国は、各々の国が持ち続けてきたその国独自の文化を失い、各国が画一化の方向につき進んできた。そして、ここ十数年、グローバル化の名のもと、開発途上国もその伝統文化を失い、画一的な文明化の波に洗われている。
文明社会は便利社会でもあるのだから、ある一定の文明化は人間社会にとって必要ではある。が、しかし、今や過度の文明化は、地球の自然環境を破壊し、人と人との人間関係をも破綻させつつある。

そして21世紀の今、手放しの文明化礼讃に疑問を持ち始めた人々が増えてきているように思える。実は私もその一人だ。
そんな中、突然襲ったのが、東日本大震災だった。その大震災の猛威の上に、さらに被害を甚大にしたものが、便利であるはずだった文明の最先端技術を駆使した原子力発電所・福島第一原発の事故だった。

私は文明社会との付き合い方が、今回の大災害で変わるだろうと思っている。少なくとも日本では変わらざるを得ないだろうと…。
時代の潮目が変わった。私たちの社会がよって立つパラダイムが変わったのだ。21世紀の出番は「文化」だ。日本列島の各地でまだ生き続けている様々な伝統文化を21世紀型にリフォームし直して、持続可能な生活スタイルを模索するのが21世紀の日本の課題だと思う。


自宅の縁側で天日干しで
凍み野菜を作る。栄養満点!!

幸い、日本の屋根、信州・長野県には各地域に、その土地、その土地に根ざした様々な文化が息づいている。特に食文化。そばやおやきといった伝統的な食べ物や、各地域で今も生き続けている各種の漬け物などの食文化。米、野菜、果物などの地産地消運動も人々の脚光を浴びはじめている。信州が日本一の長寿県であるのは、こうした食文化が支えている。さらに、信州・長野県の豊かな自然環境がその背後にあるのはまちがいない。

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