楽園信州

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<VOL.242>I♥信州(あいラブしんしゅう)

あるケースで、若い方が早朝にやってしまい、ご親族が見つけたりするわけです。こちらは全力で心肺蘇生を試みますが、残念ながら助けることはできませんでした。自ら命を絶った若者は、もっと広い視野があったらそんな事にならなかったんじゃないかと思うし、一人で悩みを抱えたり、
いじめが多発したり、根本的に今の世の中のシステムが、当然正解ではないですよね。
持続可能な社会って良く言われますけど、持続可能な社会って言い方をする時点で今は持続不可能な社会だということを認めていると思います。」

消防士としての仕事を続けていくうちに、9・11の事件の真相やそれに伴う世界の動きや日本の食料自給率問題、エネルギー問題へと世の中の表側、裏側の世界を感じ取った小宅さん。感じた問題意識は社会システムに対する様々な疑問へと広がっていく事になります。

小宅さん:「当時僕が定年するまでにあと三十数年あったわけでして、その三十数年後に、今の社会システムが持つのかとふと疑問に思いました。このまま消防士を続けていって、あの時気づいたのに何もしなかったと後悔するよりは、何かできることをと思い立ってしまい、行動に移してしまいました。今にして思えば。辞めなくても色々出来たことあったなとも思いますが、今充実しているので後悔はないです。」

<充電期間を経て信州小諸でロハス生活実践、そして東日本大震災発生>

数多くの仲間から消防士退官を引き留められた小宅さんでしたが、一度決めた心は変わることはありませんでした。その後、しばらくの充電期間を経て学生時代から勤しんでいた空手道場の運営に関わり、子供たちへ空手の指導をしながら、礼儀や人に対する思いやりを伝えていく活動をし、そして知人の紹介で小諸市が企画する「都会と農村をつなげるプログラム」に出会ったのです。

小宅さん:「僕は結局、今の世の中の問題の根本って、自分たちさえ良ければ良いっていう心こそが、現在のシステムを生み出した根幹だと思っていて、それが少しだけでも他の人、あるいは全体に向くようにするには、年月はかかりますが子供たちの教育に答えを見出そうとしていました。そんなあるとき知人から、小諸エコビレッジの話を聞いて、小諸に来ることにしたんです。」


小宅さんの活動のひとつである「招福亭」。福島からの子ども達を受け入れています。
庭にはブランコなどの遊具も設置されていて、子ども達も笑顔に!

小諸のエコビレッジは、都内のオーガニックコットンの企業とNPO法人太陽光発電所ネットワーク、こもろはす倶楽部、という3団体で運営しています。
活動の中のひとつに、国から助成を受けた農村の移住交流事業があり、小宅さんは、半年間の研修生として2011年の2月に小諸エコビレッジにやって来ました。

小宅さんは、正式開所を向かえるまでの間、近くの山小屋で生活をしていましたが、小諸に訪れてから約一ヶ月後の2011年3月11日、日本における観測史上最大の地震「東日本大震災」が発生。生まれ育った実家、福島県郡山市の様子など心配な日々が続きました。

小宅さん:「小諸に来て一ヶ月ちょっとしたら、いきなり3.11だった訳です。
両親も東京に避難し、僕も合流するため東京に戻りました。一時は研修そのものが無くなるかと思いましが、研修は一回中断し、両親も福島に戻りましたので研修を再開しました。」


写真左・右上:小諸エコビレッジ
小宅さんが3ヶ月間生活を送った「ティピー」は、インディアンの移動式住居として使われるもの。
一般的なテントとは違い、中で火を使うことができます。

研修を再開した小宅さん、研修中に地元のこもろはす倶楽部の皆さんの活動「持続可能な社会のモデルケースとしての小諸エコビレッジ運営」に共感し、自身が小諸エコビレッジでどこまで出来るかの挑戦がスタートしました。 

小宅さん:「こもろはす倶楽部のような地元の人達は、持続可能な社会のあり方を本気で考えていると感じました。その考えにすごく共感できて、ティピー(テント)を借りて来て、自分がまず自給自足を含めてエコビレッジの中でどこまで出来るか挑戦してみようと。ここにこれまた地元の方に協力いただき125wの太陽光のパネルをお借りしてきて、太陽光発電によりティピーの中で電気が使えるんです。わき水を汲んで来て…みたいなことを3ヶ月位やっておりました。」

小諸エコビレッジ内でのロハスなティピー生活は地元小諸で話題となり、遠くは神奈川県から話を聞きつけ、宿泊体験された方もいたそうです。
東日本大震災の経験とティピー生活を通して「食料」「エネルギー」「お金の仕組み」についてより深く考えるようになった小宅さん。中でも「エネルギー」については原発事故の状況から小宅さん自身が抱えていた問題意識にずれが無いことを確信されたのです。

次回、後編では小宅さんが現在活動されている「こもろはす倶楽部」の活動の様子などをご紹介します。お楽しみに。

【インタビュー時期:2013年10月】
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