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【孤独のブログ第1話】白馬村の食堂「来夢来人」で出会った、禁断の1,000円定食。生姜焼き・唐揚げのボリュームは…?

白馬か……。仕事は片付いたが、どうにも体が重い。
空気が冷たすぎるせいか、それとも――
スキー場が点在するこの辺りは、どこもかしこもおしゃれなカフェやレストラン。
キラキラした店構えに、それなりの値段。……いや、それ以上、か。
…悪くはない。
悪くはないんだが……
どこもかしこも観光客向けだ。今の俺が求めているのは、こういう『余所行き』の味じゃない。
もっとこう、……無骨で、静かに胃袋を叩いてくれるような……
(今日は…気取らずに肉が食いたい)
────────────────

歩いていると……
ん?
「来夢来人」
……らいむらいと、か。映画好きな店主なのか?
しかしこの建物、リゾート地のど真ん中で、この佇まい。
……強気だな。
周りの店とは、まるで違う雰囲気だ。
この飾り気のなさ……
むしろ、好感が持てる。
(ここだな)
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ドラマ版のファンには悪いが、今日の俺は漫画版だ

中に入ると……
ほう……
昔ながらの喫茶店、といった内装だ。
壁際の棚には、ずらりと漫画が並んでいる。
ドラゴンボール、美味しんぼ……
懐かしいラインナップだ。
こういう店、昔はよくあったな。
テーブル席に、カウンター。
窓からは、白馬の山々が見える。
客は……スキー客と思しきグループが一組。
カウンターには、常連らしきおじさん。
黙々と、飯を食っている。
……いい。
妙に落ち着く空気だ。
席に着いて、定食メニューを開く。
────────────────

 

 

どっちもちょっとずつ、味見程度だろう…と思ったのだが

さて……『来夢来人の定食セット』か。  A、B、C……そしてD。直球勝負、逃げ道なしのラインナップだ。

『お昼は杏仁豆腐は付きません』。……いいじゃないか。ランチタイムは色気を出さず、本丸の定食だけで真っ向勝負。その潔さが、この店の風景を形作っている。

B定食『大人気』……。店側が自らハードルを上げてきたか。
生姜焼きと、唐揚げが……
1,000円で一緒に?
これは……
欲張りセット、ってやつか。
まあ、定食だからな。
どっちもちょっとずつ、味見程度だろう
それでも、両方楽しめるなら悪くない。

リゾート価格が吹き荒れるこの村で、いいじゃないか。この、気取らない『千円の贅沢』。
「すみません」
「生姜焼き・唐揚げ定食、お願いします」
────────────────
待つ間……
厨房から、音が聞こえてくる。
ジュウゥゥ……という、肉の焼ける音。
ジュワッ……という、揚げ物の音。
……いい音だ。
腹が、鳴りそうになる。
そして。
「お待たせしました」
────────────────

 

 

 

 

カタン、と音を立てて、目の前に、定食が置かれた。

唐揚げと生姜焼きが小さく見える?そうじゃない、ご飯が丼サイズなんだ

…………
……………………
なんだ、これは。
生姜焼きが……
皿いっぱいに、どーんと盛られている。
そして、唐揚げも……
これでもか、というほど並んでいる。
デカい。
量が、多い。
(ちょこっとずつ、じゃない……)
(どっちも、ガッツリじゃないか……!)
(それに、うーん…唐揚げと生姜焼きで肉がダブってしまった

ご飯も、普通盛りでこの量。
味噌汁、山盛りのキャベツ……
これで1,000円、だと……?
(予想を、はるかに超えてきたぞ……)
(リゾート地価格に慣れきった俺が、馬鹿みたいじゃないか……)
────────────────
とにかく……
食おう。
まずは、生姜焼きから。
箸でつまむ。
タレが、しっかり絡んでいる。
口に運ぶ。
────────────────
……ん。
……んんっ。
(うまい……!)
生姜の風味が、ガツンと来る。
でも、辛すぎない。
豚肉の甘みと……絶妙に、調和している。
これは……
ご飯が、進むやつだ。
迷わず、白飯を口に運ぶ。
……ああ。
(たまらん……)
生姜焼きと白飯……
この組み合わせは、反則だ。
止まらない。
────────────────
次は、唐揚げ。
見るからに、カリッとしている。
箸で持ち上げると……
ずっしり、重い。
これは……
期待できるぞ。
ガブリ。
────────────────
…………!
(カリッ……ジュワッ……!)
外の衣は、サクサク。
中からは、肉汁があふれ出す。
熱い……
でも、うまい。
これが……王道の唐揚げ、か。
────────────────
ふと、思いつく。
皿に残った、生姜焼きのタレ。
これを……
唐揚げに、つけてみたら……?
ちょん、ちょん、と。
タレをつけて、口に運ぶ。
────────────────
……なるほど。
生姜の風味が……
唐揚げにも、合う。
これは……
密かな楽しみを、見つけてしまった。
生姜焼き。
ご飯。
唐揚げ。
また生姜焼き。

キャベツ。
味噌汁。
ご飯。
唐揚げ。
止まらない……
順調に、減っていく。
────────────────
……しかし。
ふと、顔を上げる。
皿を見る。
…………
まだ、唐揚げが残っている。
生姜焼きも……まだ半分近くある。
ご飯も……結構、残ってるな。
腹が……
思ったより、膨れてきた。
(まいったな……)
────────────────
(これは……)
(俺が、学生の頃なら……余裕だったんだが……)
部活帰り。
腹を空かせて。
こういう定食を、ペロリと平らげていた。
あの頃の俺なら……
このくらい、朝飯前だった。
でも、今の俺には……
(キツい、か……?)
────────────────
周りを見渡す。
スキー客たちは、黙々と食べている。
常連のおじさんも……
満足そうに、箸を動かしている。
……俺だけ、リタイアするわけには……
(いかない……!)
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深呼吸。
よし。
ペースを、落とそう。
ゆっくり、味わいながら……
食べよう。
唐揚げを、一口。
……やっぱり、うまい。
生姜焼きを、一切れ。
……ご飯が、また進む。
味噌汁を、一口。
……ほっとする。
────────────────
棚の漫画に、目をやる。
悟空が……
こっちを見ている気がする。
(頑張れ……と、言われてる気がするな……)
いや……気のせいだろう。
でも……
なんだか、力が湧いてくる。
────────────────
そして……
最後の唐揚げ。
最後の生姜焼き。
ご飯を……
掻き込む。
────────────────
…………
……完食。
(やった……)
────────────────
腹が……
パンパンだ。
もう……
動けない。
でも……
満足感が……

写っていない角度だが、地元民で席はほぼ埋まっていた

体中に、広がっていく。
(うまかった……)
本当に……
うまかった。
「ごちそうさまでした」
────────────────
店を出る。
白馬の冷たい空気が……
火照った体に、心地いい。
腹いっぱい。
心も、満たされた。
(来夢来人……)変わった名前だ。
漫画のラインナップも、渋い。

でも……

飯は、うまかった。

ボリュームも、申し分ない。
……結局、大事なのはそこだ。
おしゃれな看板も、
洗練された内装も、腹を満たすわけじゃない。

(ここは……本質を分かってる)

 

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次は……
もう少し、腹を空かせてから来るか。
いや……
(次も……同じように、苦しむんだろうな……)
でも……それで、いい。
リゾート地の喧騒から、少し離れた。
漫画が並ぶ棚。
昭和の空気。
そして……
圧倒的な、ボリューム。

映画では、「人生には勇気と想像力、それから少しのお金が必要だ」と言っていたが……。

今日の俺には、少しのお金で食べられる『B定食』。それだけで、この冬の白馬を歩き続ける十分な勇気が湧いてきた。

スポットライトを浴びる主役じゃなくてもいい。

この店のように、訪れる腹ペコたちを静かに、力強く照らし続ける光がある。

その光に、俺も救われた一人というわけだ。

【完】

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【来夢来人(らいむらいと) 備忘録】

「白馬で迷ったらここだ。胃袋の羅針盤が指し示す、確かな場所――」

メニューは色々ある

特徴:ボリューム満点、アットホームな昭和レトロ、地元民御用達
住所:  長野県北安曇郡白馬村北城8574−1
アクセス: 白馬駅から車で約1分。八方尾根スキー場からも近い。
営業時間 昼: 11:00~15:00(L.O. 14:00)

夜: 17:00~21:00(L.O. 20:00)
定休日: 日・月(※営業時間とともに変動あり。要確認だ)
駐車場: あり(店舗横に5〜6台分。雪の日は少

豊富なラインナップだ

し狭く感じるかもしれん)
混雑具合: スキーシーズンや登山シーズンは、腹を空かせた猛者たちですぐに満席になる。少し時間をずらすのが、賢い大人の立ち回りだ。
冬期限定: メニューにあった「稲村飯店」とのコラボなど、季節限定の伏兵が潜んでいることもある。ピンクの「Sold out」に泣かないよう、早めの訪問が吉だ。

杏仁豆腐の掟: **「お昼は杏仁豆腐なし」**だ。昼のデザートを期待してはいけない。ここでは肉と米、その真剣勝負を愉しむべき場所なんだ。

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