信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

山×商店主×自転車乗り vol.3

木曽で生まれて育ち、大学で上京してそのまま就職した川合さん。地元に戻ってきたときは、しぶしぶだったと言います。もっといえば「木曽が嫌いだった」という意外な言葉が。それは一体…?

自分が好きなことを、人がやってくれるのが楽しい

- スポーツは、昔から好きだったんですか?

大学卒業後は、東急ハンズに就職して5年ほど働いていました。アウトドア関係を担当してたんですが、釣りもキャンプも東京で始めたんですよ。木曽にいたころは、餌釣りくらいはしていましたが、基本的には興味がなくて。正直に言うと、木曽に帰ってくる気もなかったんですけどね。

- そうなんですか?

地元がそんなに好きでもなかったし、山菜とかも嫌いだった。自転車を始める前からオートバイには乗っていたので、休日は地元じゃなくて伊豆や三重、紀伊半島などに走りに行っていました。

- じゃあ、木曽の良さに気付いたのは…?

自転車を始めてからですね。でも、最初は地元で乗っていても、「これが普通」と思っていて。特別だとは感じなかった。木曽の良さが理解できるようになったのは、ほかの場所を知ったからです。知多半島、琵琶湖、淡路島…いろいろ行きましたが、ここと比べるとどこも走りづらい。信号もたくさんあって、交通量も多いんです。

-それで改めて木曽の良さが分かった、と。

実業団チームの合宿などで木曽に来ると、プロがこの環境に惚れるんですよ。160キロくらいのコースで、積算標高が3000メートルを越える。ツール・ド・フランスでいう中級山岳ステージに匹敵するくらいの難易度で、かなり走りがいがある。実業団の選手たちは、4~5時間で走っちゃいますけどね。チームと関わることで、木曽は自転車にとって良いところだと改めて気付きました。

-今は、お店で自転車を教えたりもしているんですか?

ギアの使い方と、ペダリングのコツさえ覚えれば難しくはないので、1時間もあれば乗れるようにはなるんですが…実際のところは、なかなか教えるまではできなくて。

-お店もありますからね。

僕がいなくても大丈夫っていうなら、ずっとやってもいいんですけど。僕はお客さんをもてなして、自分が好きなことを人がやってくれて、さらに楽しんでもらえたら嬉しいんですよね。おせっかいな性格なので。

-御嶽山が噴火して1年が経ちますが、駅前でお店をやっていて感じることはありますか?

車で行けないような場所、8合目から先の登山ということになるとこの先5~10年は難しいんじゃないでしょうか。それは1979(昭和54)年の噴火のときがそうだったので、そのくらいはかかるかな、という感じですね。

-前回と違い、今回は被害も大きく犠牲者も出ました。

なので、物見遊山で行けるようなものじゃないですし。登山道の先にシェルターを作るという話も聞いているので、その辺りが整備されてからじゃないと。ただ、噴火直後に「木曽チャリ」のブログでも書いたんですが、車で行ける範囲は大丈夫なので、そこはちゃんと情報発信していかないといけないですね。

- 人の数は、どうですか?

夏は厳しかったですが、10月になってから少しずつ人が戻ってきているような感じがあります。自転車乗りに関していえば、幸いなことに増えていると思いますし。車で行ける範囲が問題なければ、自転車は走れますから。

- 噴火後、地元の人たちの意識は何か変わりましたか?

観光資源として、御嶽山はとても大きなものです。でも、噴火が起こった以上、それをなかったことにもできません。引っ越すわけにもいかないし。何かが変わったというより…うーん、変わってはないんじゃないかな。変わらないけど、災害という歴史が加わったという感じでしょうか。起こったことを全部「込み」にして、じゃあこれからどうしようかってことなんじゃないかな、と思います。





「木曽チャリ」のサイトには、「木曽福島・三岳・開田高原」、「高山・野麦峠」などエリアごとのサイクリング・ガイドが掲載されています。ルートのデータだけではなく、川合さん自身が走ったリポートもあり、たくさんの写真と、軽快なテンポのテキストで「ちょっと走ってみたい!」という気持ちが自然と生まれてきます。

「木曽は自転車で遊ぶには最高!」そのことを広く世間に知ってほしい-その思いが、川合さんの原動力になっています。サイトからも、お店からもその情熱がたっぷり伝わってくるはず。まずはサイトを覗いて、そして実際に木曽へ足を運んでみてください。

PROFILE
木曽生まれ。大学進学で上京し、卒業後は東急ハンズでアウトドア担当として勤務。家業を継ぐためにUターンし、現在はJR木曽福島駅前の土産・食事処「川合商店」の経営と、木曽のサイクリング情報を発信するウェブサイト「木曽チャリ」の運営、信濃山形自転車倶楽部「レガルスィ イナーメ」イナーメ木曽プロジェクト事務局を務める。

LINEで送る

このブログのトップへ