信州魅力人

信州の魅力、それは長野県内で頑張るつくり手たちの魅力。そんな魅力人の想いをお伝えします

次世代自動車分野へ大型投資 地下工場でより高い精度を実現

「ものづくり大賞NAGANO」は、高い技術力で地域のものづくりを支える企業を社会的に評価し、応援しようと創設されました。


―2010年の「ものづくり大賞NAGANO」グランプリを受賞されたときのスピーチが印象的でした。「誰に喜びを伝えたいですか?」というアナウンサーの質問に対して「家族である社員にこの喜びを伝えたい」と。
社長になられて1年くらいだったと思うのですが、社長のような若い方からそのお話が出てきたことがとても印象的でした。やはり、社員や人材は、御社にとって相当の“核”といいますか、大切なものなのでしょうか。

弊社でいうと、「人材」はブランドみたいなものだと思います。確かに技術ですとか、そういったところが弊社のブランドとしてのイメージが強いと思うのですが、私的にはそれを生み出している社員自身が弊社のブランドであると思っています。
これから日本でものを作っていくためには、弊社では社員、人材が一番重要なブランドの位置付けであると考えています。

―ブランドというのは、その後ろにある物語がしっかりしているからつくられる。今日びっくりしたのが、働いている方が非常に若い方が多い。もう一つが、皆さん作業中なのに挨拶をされるじゃないですか。「こんにちは」とか「いらっしゃいませ」とか。サービス業じゃないですよね?(笑)平均年齢は幾つくらいですか?

今は33歳になりますね。

―社長になられてから若い方を積極的に採用されたのですか?

画像6

それもありますし、元々、創業者が、自分はある年になったら俺は社長を辞めると、はっきりと社員の目の前で公言しましたので、そこから若手への世代交代というか、若手へどんどんシフトする会社という体制になっていったということが大きいですね。
しっかり挨拶するのも、社員教育です。

―工場内がとてもきれいだったのも驚きました。それに機械もすごい。他の会社で働く人なら「こんなにいい機械を入れているんだ」と羨ましく感じると思います。研究施設もきれいですし、居心地も良さそう。入り口のロビーもホテルのよう。通常は生産に関係ない部分でお金を使うというのは、経営者としてされない方もいらっしゃると思うのですが、工場や環境づくりになぜここまで投資をされているのですか?

ものづくりというのは、ただ「やれ、やれ」といったところで新しいものは生み出されないし、難しいと思います。やはり、社風や環境が一番重要だと思うんです。
新しいものが生まれるための環境は、経営者側が社員に提供しなければならないというのが我々の考え方です。ですので、ただ与えられたツールでやるのではなくて、普段から接している環境、そこから新しいものが生まれるというのは必要不可欠だと思っております。
確かにお金にはなりませんが、社員のモチベーションを上げるための非常に価値のある投資であると、私は思っております。


精密プレス加工のサイベックコーポレーション。本社工場の横では、現在大規模な工事が行われていました。今年の夏に完成予定の新工場。EV(電気自動車)や燃料電池車など次世代自動車の部品生産に対応するための新施設です。長野県が設備投資を応援する「ものづくり産業応援助成金」を活用する予定です。

新工場の一番の特徴は、「地下工場」。EVの部品は、今よりもさらに高精度の金型が必要になります。金属は、温度のよって伸び縮みするため、1年を通して温度を一定にしやすい「地下」に工場をつくるのです。室温は常時23℃。プラスマイナス0.3℃以内にすることで、高精度の部品づくりが可能になります。

驚くのは、その広さ。敷地はなんと1.5ヘクタール。地下工場の他、一部2階建ての工場棟も設置し、より加工精度を高めた生産機械も導入します。
その費用はおよそ28億円。年間の売上が20億円規模のサイベックコーポレーションにとって、決して小さくない投資額です。それだけ、この次世代自動車部品や技術力にかけている、という本気の証かも知れません。


―投資と言えば、8月完成予定の新工場。売上額からみても、相当大きな投資だと思いますが、どういう意図で新工場を作るのですか?

画像7
画像8

今の経済状況をみると、海外へシフトするか、国内で作るか、両極端ですよね。2極化です。
我々は海外へ行くよりも国内でものを作りたい。この長野の地で、最先端のものづくりで世界へどんどん発信していきたいという思いが強いです。
国内でやるからには中途半端な投資では通用しない。徹底的な我々が考えている理想を新工場へ反映させていかないと、国内で我々がやっていく術は無いであろうと。
新工場は、非常に大きな投資ですが、夢を持った投資であると考えています。そこから新しいものを生み出していきたいと思っています。

画像9

1 2 3

このブログのトップへ

このブログや記事に関するお問い合わせ窓口

営業局
TEL:026-235-7249
FAX:026-235-7496