自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

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太郎山(上田市、ふるさとの山)

 上田市と坂城町との境にある太郎山(標高1,164m)は、市街地からの標高差が700mほどの山です。信州の山としてはさほど高くはないですが、上田市周辺に住む人々に深く愛されている山です。



 下の写真のように、山頂からの眺めはすばらしく、眼下に千曲川や上田市街を見渡し、八ヶ岳から美ヶ原、そして北アルプスや富士山まで一望することができます。このすばらしい眺望には、この場所の地質構造が深く関係しています。



 表登山コースの途中で大きな石の鳥居をくぐりますが、この石に注目です。

 この薄緑色の石は太郎山の山体から切り出されたもので、1600万年前頃にフォッサマグナの海底に堆積した火山灰や溶岩などが固まった内村層の岩石です。同じ石が東太郎山から太郎山にかけて連続して分布します。特徴的な緑色は、海底下からわき出す熱水によって、有色鉱物が緑泥石などに変質したための色です。かつて海底にほぼ水平に堆積したこの地層が、その後の地殻変動により、市街地の北側で南側に60~80度もの高角度で傾斜する構造をもつようになりました。しかも周りの泥岩や砂岩などより硬いためにひとかたまりの岩山として侵食にとりのこされ、今では上田市街地の北側に屏風のような山並をつくっているのです。したがって、山頂に立ってみると、南側には何も遮るものがなく、すばらしい眺望が開けるというわけです。

 ゴールデンウィークさ中の爽やかに晴れた日、上田市在住のYさん夫婦とともに登ってみました。当日はちょうど山頂近くにある太郎山神社のお祭りで、桜の花が残る境内では太々神楽が奉納されていました。子ども連れの家族が多く、神楽舞の最後になって翁が供物の菓子をふるまうと、子どもも大人もそれを拾おうと大興奮でした。子どもたちにとって、きっとよい思い出の日になったことでしょう。

  ~ ふるさとや 五月五日の 太郎山 ~

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