2017.12.11 [ 林業総合センター ]
キツツキの力を借りて
林業総合センター 指導部です。
アカマツ林が拡がる松本平では、近年「松くい虫」と呼ばれる「マツ材線虫病」によるアカマツの枯損がめだち、その対策に追われています。
松本平における「マツ材線虫病」の被害は、北部の方から徐々に南下している傾向があり、松本平の南部に位置する塩尻市でも被害の拡大防止には神経をとがらせています。
このほど塩尻市から、マツ材線虫病対策としての効果が期待されるキツツキのねぐら型巣箱を林業総合センターの敷地内に設置したいとの要請がありました。
塩尻市と松本市の境界付近に位置する林業総合センターも、敷地内にはアカマツが沢山生えているため、マツ材線虫病の被害が拡がらないように注意していく必要があります
マツ材線虫病は、体長1㎜ほどの「マツノザイセンチュウ」と呼ばれる小さな線虫が原因で起こる病気ですが、この病気を拡大させているのが、マツノマダラカミキリと呼ばれるカミキリムシです。
マツノマダラカミキリは、マツノザイセンチュウなどによって弱ったアカマツやクロマツに産卵し、幹の中で幼虫の状態で冬を越します。
木をつついて材の中の居る虫を食べるのが、キツツキの特徴ですが、この中でもアカゲラが一番マツノマダラカミキリのさなぎを好んで食べることがわかっています。
マツ材線虫病の被害が激しくなってしまった場所では、キツツキが食べる幼虫の数よりもマツノマダラカミキリが増えているため、キツツキを増やすことの効果は小さいと考えられていますが、被害が少ない間は、アカゲラにマツノマダラカミキリを食べてもらうだけでも、それなりの効果が期待できそうです。
そこで、アカゲラに来てもらうことができる環境整備のひとつとして、アカゲラがねぐらに使う巣箱が開発され、被害が少ない地域で使われています。
今回は、塩尻市の職員が来所され、アカゲラの巣箱を設置していきました。
こうした取り組みは、当センターを訪れる皆さんの目に触れる場所が良いだろうということで、森林学習展示館の脇と、少し下の2か所に巣箱を設置していただきました。
林業総合センターの構内には、いつでもアカゲラが住んでいますが、この巣箱を設けたことで、少しでも多くのアカゲラに気に入っていただければ、弱ったアカマツに潜り込んでいるマツノマダラカミキリのさなぎを食べてくれるのではないかと期待しています。
よく見かける鳥の巣箱とは違って、底が空いていますが、アカゲラだけがねぐらとして利用できるため、この形のほうが効率良いとのことです。
林業総合センターの敷地近くまで、大きな被害が出てきていますが、こうした小さな努力によって、「マツ材線虫病」被害が少しでも抑えられることを期待しています。
アカゲラの巣箱は森林学習展示館の西側(谷側)の舗装道路沿いと、上の写真にある北側に設置しましたので、興味のある方は現地で確認してください。
なお、森林学習展示館は年末年始を除いて、通常通り開館しておりますので、興味がありましたら是非お立ち寄りいただければ幸いです。
〈本件に関するお問い合わせ先〉
林業総合センター指導部
TEL:0263-52-0600
FAX:0263-51-1311
メール:ringyosogo@pref.nagano.lg.jp
森林学習展示館の開館時間は、9時から16時までです
なお、月曜日は休館日です。月曜日が祝日等の場合は、火曜日が休館日になります。
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