2013.12.12 [■就航地情報]
<VOL.244>北海道のたからもの「小樽みなとと防波堤」
街路樹の葉も落ち、冷たい北風が小枝を揺らす下を、防寒着に身を包んだ人々が白い息を吐きながら行き交う冬の朝。
あの暑かった夏が、ちょっぴり恋しくなります・・・!?
さて、今回の北海道情報は、港を守る防波堤の話題です。
小樽港を支え続ける明治と大正の剛腕
「小樽みなとと防波堤(小樽市)」
小樽港は、明治時代、国際貿易港に指定され、人とモノが行きかい東京以北最大の重要商業拠点とされていました。その当時から港を外界の荒波から守り、今もなおその機能を果たす強靭な造りの防波堤は、北防波堤、島防波堤、南防波堤の大きく分けて三つからなっています。
(上空から見た小樽みなとと防波堤)
北防波堤は、「港湾工学の父」広井勇により建設された後世に残る明治期の偉業といえます。この時代、日本における防波堤建設ではコンクリートブロックが海中でひび割れを起こすなど失敗が多く工法のヒントを海外に求めました。結果、セイロン(現スリランカ)のコロンボ港防波堤を参考に独特の傾斜ブロック工法を採用した日本初の長大堤防が完成。
後に伊藤長右衛門が手掛けた南防波堤建設には、陸上で作ったケーソンを斜路を使って海中に滑り落とすケーソン法が取り入れられました。この進水方法は世界初の画期的なものであり、南防波堤建設は大正期の大事業となりました。
(強靭な造りで港を守り続ける防波堤)
これらの防波堤は、物流拠点、貿易港、また北海道移住の玄関口として、商都・小樽の繁栄を支え、また、一世紀以上を経た今も現役で機能する一級の土木遺産です。国の威信をかけて建設した防波堤には情熱を傾けた人々の想いが詰まっています。
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