玉村さんが開墾した土地はかつての桑畑。明治から昭和初期まで、東御から上田にかけて桑畑が広がり、多くの農家が養蚕を営んでいました。しかし戦後になると、養蚕は衰退し、桑畑も放置されるように。荒れ地と化した畑が50年ほどの時を経て、今、ワインブドウ畑へと再生しつつあります。
「私はシルクからワインへって表現していますが、特に千曲川沿岸の河岸段丘が開けた地域は、風が通ることから虫がつきにくく、良い蚕ができていたそうです。桑とブドウは、栽培条件が似ていることもあり、全国的に良質なワインをつくるぶどう畑の多くは桑畑を再生したところが多いんですよ」

ヴィラデストワイナリー
ワイン用ブドウは乾燥した気候を好む植物。東御市は日本でも1、2を争うほど雨が少なく、日照時間も長い地域。さらに寒暖の差が大きく、風通しが良いという気候がワイン用ぶどう栽培にピッタリ合っているそう。
「『ここは約850mと標高が高く、寒すぎてワインはできないよ』と言われましたが、温暖化の影響か、温度が上がってきたこともあり、10年ほど経って良質なブドウが育つようになってきました。最初は道楽半分で始めたワイン用ブドウ栽培ですが、今や先見の明があると言われるぐらい、この標高の高いとこが良くなっている」
ヴィラデストワイナリーも国内外のワインコンクールで多くの受賞歴を誇るなど、高品質なワインを多く生み出しています。しかし、ワインの魅力はその多様性にあると玉村さんは言います。
「ワイン造りとは、土地ごとに異なる風土の中で育まれたブドウが表現する『その土地の価値』をワインを通して表現すること。そのため優劣をつける類のものではなく、ワインを飲み比べ、その土地ごとの違いを感じることが、本当の楽しみ方なのだと思っています」

創業当時から玉村さんとともにブドウ作りに携わる小西超さんも「気候だけではなく、長野県のワインぶどう作りに関わってきた先人たちの努力が今につながっているのだと思います。なので、人の力も風土のひとつになるのかな」と続けます。

ヴィラデストワイナリー 代表取締役社長 小西 超さん
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