信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

映像作家×ゆる山 vol.3

現在、井上さん夫妻が暮らすのは松本・安曇の橋場という40人ほどの集落。「創作環境としてはとてもいい」という、橋場での暮らしと、長野の山のこと、これからのことについて伺いました。

なるべくゆっくりで楽しむ、贅沢な山

- どうして安曇に?

のぞみさん)
私の実家が松本だったのと、近くに友達が住んでいたということもあるんですが…、小谷村で仕事をする機会があって、その土地を大事にしている人たちの生活に興味を持ちました。ここは冬になると11時ごろに明るくなって、2時には暗くなってきちゃうんです。それでも自分たちが大事にしているところに住んでいる、そういう土地に住みたいなって。

のぞみさんの作品の一つ「くらして歳時記『葉月』」(※クリックで再生します)

井上さん)
この家は、住むまでは古いので大丈夫かな…って思いもあったんですが、実際に暮らし始めると結構良くて。国道に近いのに車の音は全然しないし、常に水の音が聞こえるし。周りも皆、人がいいんですよ。

のぞみさん)
辺鄙なところだから、苦労も我慢もされていると思うんです。それでも一生懸命、畑を作っているとか、人の寄り合いがあるとか、便利さだけじゃなくて、谷合でそういうものを大事にしながら住んでいる人が好きだなって思います。暮らすことが、単にそこにいるだけの存在ではなく、自然と、人との生活がいいなと。

井上さん)
ここからだと上高地も、北アルプスも近いし、南アルプスも登山口までは1時間ほどで行けます。高速道路も近いので、東京も3時間ほどで着きますよ。

- 意外と便利なんですね。

井上さん)
長野県に住んでいると、それこそ朝起きて、今日は天気が荒れそうだから行かないとか、逆に晴れているから行こうとか、そういうことができるんです。「おっ、雪降ってきたから撮りに行こう」というのもありますし。東京だとこうはいかない。やっぱり山の近くに住んでいるというメリットはすごくあると思います。

- 井上さんが思う、長野県の山の魅力って何ですか?

井上さん)
長野の山はいいですよ。北アルプスと南アルプスがある。北は、どんどん山が出てくる感じで、1日で2つ3つ、歩こうと思えば歩けます。南は、一つ一つの山が離れていて、ある山へ行って戻ってきて小屋に泊まって、次の日は別の山へ行くということが多い。

- それぞれの良さがあるんですね。

井上さん)
ほかの県にはまずないような…やっぱり別世界なんです。そんな山を、長野県はいっぱい持っている。遠くまで行かなくても撮れるし、日帰りでも行けるんですが、最近は1日で行けるところを2日かけるとか、1.5倍、2倍くらいの時間をかけて行こうかと思っていて。

- ゆっくり、時間をかけて?

井上さん)
登山者は、コースタイムより早く着くと喜ぶ人も多いんですが、なるべくゆっくり行きたいんですよ。同じ場所でも朝と夕方で、全然景色は違いますし。撮らずにぼーっとしているだけでも気分がいい。僕も、いろんなところにどんどん行きたい、という時期がありましたが、今は、なるべくゆっくり登る山が贅沢だなって思っています。

- 今後、撮りたいものや、やりたいことはありますか?

井上さん)
うーん、あまり考えたことないんですが…(苦笑)。こういうのを撮ろうと決めてから撮るということも、今まであまりやっていなくて。行ってみて、見たもの、そのときに受けたものを撮って、それをつないでって感じですね。これからも…、そのスタイルでしょうね。ゆっくり撮るといっても。

最新作「WONDER MOUNTAINS 2」トレイラー(※クリックで再生します)

- やっぱり基本は「ゆる山」で。

井上さん)
面白いものが撮れればいいかなと思っています。自分で面白いなと思えば、見てくれる人も面白いと思ってくれるだろうし。「俺の作品はこれ!」と決めずに、変わったら変わったで面白いなって、自分でも喜べればいいかな。


今は、夫婦で山に登ってそれぞれが撮影し、帰ってきて編集してまとめているとのこと。「植物や自然が多い里山、そこに暮らす人を撮るのが好きなんです」(のぞみさん)、「最初は少し教えましたが、意外とセンスがあったので(笑)。最近は任せています」(井上さん)。興味が移ればそれぞれ撮るものが変わってくる-その自然な流れを大事にしているからこそ、飾らず、魅力的な山の映像が生まれるのかもしれません。

PROFILE
1974年、東京都町田市生まれ。長野県松本市在住。ノンリニア映像編集の初期からスポーツ映像(テレマークスキー・MTB・スノースクート)の制作活動を始め、その後、ビデオゲームのプロモーション映像、TVCM等の制作、ディレクションを手掛ける。現在、「HAPPY DAYZ PRODUCTIONS」として、自然を対象にした映像・写真などクリエイティブ活動を行う。山については「ゆる山」がモットー。

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