2011.02.07 [あづみのうか(安曇野市)浅川拓郎さん]
安曇野の良さを伝えるお手伝いをしたい
安曇野で両親とともにお米をはじめ、小麦、メロン、イチゴなどの農産物を作る浅川拓郎さん。パッケージやデザインにもこだわった「浅川さんちのお米」のロゴには、北アルプスや道祖神が描かれています。「米を通して安曇野の素晴らしさを多くの人に伝えたい」という浅川さん。インタビューの2回目は、生まれ育った安曇野への思いや若手農業者として考えていることについて伺いました。
安曇野の良さを伝えるお手伝いをしたい
-もともと安曇野には思い入れがあったんですか?
そういうわけではなかったです。子どものころは嫌でした。そのころはまだ村だったし、田舎だなあって思っていたし。大学進学で外へ出て、いいところなんだなって気づきましたね。バイト先のおばちゃんが「若いとき登山に行った」「スキーに行った」って言ってくれたり、安曇野が気に入ったから「女の子が産まれたら『あづみ』って名前を付けたい」って話してくれる人がいたり。年配の人だけかと思ったら、そうでもなくて。たまたま山手線に乗っていたときに、「この間、安曇野ってところに行ってさ」って若い2人が話をしていて。「大王わさび農園へ行って、すごくいいところだった」なんて、ちょうどこれから帰省するってときに聞いたので、ちょっと声かけようかと思ったくらいで(笑)。本当にすごく嬉しかったです。
電車で帰ってくるときに松本で乗り換えて、大糸線に乗って窓の外を見ると「ああ、帰ってきたなあ」って思います。山々が見えて、いいところだなあ、って。だから今はその良さを一人でも多くの人に伝えたいと思っています。農産物は主役というか、その良さを伝えるための一つの手段だと思うし。それを僕はお手伝いできたらなって。農産物が「安曇野の広報大使」で、僕が広報部長…いや、係長くらいで(笑)。
-そういう思いはいつごろからあったんですか?
根本には「農業をしたい」という思いがあります。そこと融合したというか、切っても切り離せないものだったというか。安曇野は田園があって、そのバックには北アルプスがあって…という風景が象徴的だと思うんですよね。それって、農業をしてお米を作っているからこそできあがる風景なんですよ。だから、どのタイミングで認識したとか、芽生えたってことではないですね。お米作りは安曇野の風景の一部だから、その風景を大切にしたいです。
最近は環境のことも考え始めているんですが…ここは昔、ホタルがいたんです。僕が小学生のころの話ですけど。最近は全然見かけなくなってしまったけど、去年ようやく1匹見つけました。それで、ホタルとか生物が戻ってくるような方法で米作りをしていったらいいんじゃないかと思って。早速、田んぼの一角に池を作り、ビオトープ(生物群の生息場所)みたいにしました。まあ…そんなにすぐには、うまくいかなかったですけどね。でもそこにホタルが帰ってくれば話題にもなるじゃないですか。まあ、まだ夢のまた夢って感じですけど、まずは自分でやってみて成功すれば、それをきっかけにして安曇野のPRにつながればいいかなとも思っています。
安曇野の風景の中で農作業できることが「贅沢」
-農業やっていて良かったと思うときは?
食べてくれた人が「おいしい」って言ってくれたときはもちろん嬉しいです。それと、きれいな風景を見ながら農作業できるときですね。冬の寒い日、本当にすごくきれいなときがあるんですよ。それを見ながら作業をしているときは「安曇野で農業をできてよかった。贅沢だなあ」と思います。
僕が農作業していると、隣の畑のじいちゃんやばあちゃんが「拓ちゃんが頑張っていると、こっちも張り合いがいいよ、やりがいあるよ」って言ってくれることがあります。僕みたいに若い人が就農することで、年を取った人たちに「もうひと頑張りするか」と思ってもらえればいいですよね。
-これから取り組みたいことはありますか?
市内の水稲農家の後継者5人でやっている「安曇野.come(あづみのどっとこめ)」というグループがあるんです。グループができたのは2006年、僕が帰ってきて就農した年です。メンバーは20代~30代。月に1回は集まって、話をしたあとに、まあ、飲んでいるんですが、強い人は本当に強くて…(笑)。僕はあまり強くないんですけど、それでも面白いです。みんなで集まればこそ、出てくる発想もあるし。
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