楽園信州

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<VOL.251>I♥信州(あいラブしんしゅう)

I♥信州(あいラブしんしゅう)
農業を次の世代にバトンタッチするために(1)
~山が見える里に住み、自然に寄り添う田舎暮らし~

「I♥信州」は、長野県外から信州へ移住された方に、移住のきっかけや信州での暮らしの様子をお伺いし、長野県の魅力をさらに伝えていこうというコーナーです。

第21回目のI♥信州は、2006年に埼玉県越谷市から小県郡長和町に移住された渡邊黎(レイ)さんご夫妻にお話をお聞きしました。


秋のハザ掛け作業の楽しいお弁当の時間。
背後に立っているのは手製のかかしです。
(写真提供:渡邊さん)

前編では、渡邊さんご夫妻が長和町に移住されるまでの経緯をご紹介しましたが、渡邊さんが取り組んでいる農業や地域内のみなさんに向けて発行している「長和町だより」、また移住を考えている方へのメッセージをご紹介します。
◆前編はこちら


<農業の道を開いてくれた師匠との出会いと地域のみなさんとのコミュニケーション>

渡邊さんは、引っ越した翌年の2008年春から畑、2009年からは稲作にも取り組み、今では1町歩超の田んぼから、年6tのお米を収穫。ほぼ全量を首都圏100軒ほどのお客様に宅配で販売しています。

渡邊さん:「うちのお米はめっちゃ評判がいいんですよ。皆さん『美味しい』と喜んでくださる。やりがいありますねー。でも、自分がお米作りするなんて夢にも思ってなかったですよ。お米はプロのお百姓のやることと思いこんでましたから。自給自足の野菜作りは最初からやるつもりでしたけど。」

きっかけは、渡邊さんが「お師匠さん」と呼ぶ清水さんとの出会いから。

渡邊さん:「清水さんは当時自治会長で、ともかく面倒見がいい。それでいてプライバシーには立ち入らない方で、地域のことから畑の作り方、野菜の育て方、あらゆることを教わりました。地域の信頼の厚い方ですから、最初から私は『清水さんが面倒を見ている渡邊さん』って地域社会に受け入れられたんですね。私は清水さんの弟子なんですよ(笑)」

「畑だけだった2008年までは家の改修工事も順調だったんですね。ところが師匠が『なべちゃん、来年から田んぼもやりな』って。一瞬、ウッって思ったんです。工事に影響するのは目に見えてましたから。でも、自然の中で土にまみれて作物を育てる。これって私には理想的な生活なんですよ。私は、無為に老後を過ごしてボケて朽ち果てていく、これだけは絶対に嫌。どうせ生きるなら社会的に意義のあることをしたいじゃないですか。現在、日本の農業は急速な高齢化で深刻な後継者難、岐路にあるんです。誰かが中継ぎして次世代に引き渡さなければ日本の社会はだめになってしまう。この際、本物の百姓になっちゃうのもいいかもしれない。こう思ったんですね。」


田植え直後。朝靄の中、水鏡になった田んぼ。夜には潮騒のように蛙の合唱が聞こえます。
(写真提供:渡邊さん)

「最初は清水さんが貸してくれた田んぼ1反4畝から。新規就農者の最大の難点である高額な農業機械も清水さんのを無料で貸していただきました。トラクターをはじめとする農業機械の運転にはすぐ慣れましたよ。ただ、私のはお師匠さん仕込みですから速すぎ、田んぼ代掻きはうんと低速でないと水持ちが悪くなってしまうんですね。『田んぼでスピード違反してる』って妻に笑われています。」

真夏、出穂直前の円通寺棚田。稲の生命力が最大になる季節。
(写真提供:渡邊さん)

渡邊さんは本格的に農業を始めるに当っての基本原則を決めていたのだそうです。それは「中継ぎ」である以上、将来、新規就農の若者が「食べていける農業」が可能かどうか実践してみること。

1、高額なコンバイン農業は目指さない。一番美味しいお米になり安上がりな「ハザ掛け」でいく。
2、都会と直接繋がった農業を目指す。販路も都市消費者への直販、労働力の不足も都会からの援農でこなしていく。政府の補助金は一切あてにしない。
3、完全無農薬は目指さない。できるだけ低農薬、できるだけ有機とし、価格設定は中位とする。

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