2017.11.29 [ その他南信州の伝統・文化・史跡 ]
「祭りと伝統食」体感・講習会~五穀豊穣に感謝する祭りと食のおもてなし~
企画振興課のRMです。
11月18日(土)に、飯田市伊賀良公民館で南信州民俗芸能継承推進協議会・南信州交流の輪主催による「祭りと伝統食」体感・講習会が開催されました。
このイベントは、当地域の民俗芸能と食に対する理解と関心を高めるため開催されるもので、講演や民俗芸能の鑑賞に加え、お祭りをテーマに作られたお弁当を提供する昼食交流会から構成されます。
はじめに、料理研究家の横山タカ子先生から、「神様も喜ぶ和食~食べつなぎたい私たち~」と題した講演がありました。
横山先生には、長野県でも「おいしい信州ふーど」公使としてお世話になっており、この日も和食の素晴らしさを分かりやすくお伝えいただきました。
お祭りの際の神様へのお供え物は、旬の食材を素材の味を活かして調理しており、これが何よりも贅沢なものであるとか、流行の栄養補助食材などよりも一汁三菜(信州の場合はこれに漬物を加えて四菜)の食事が健康に良いとか、先生のお話を聞いて自分の乱れた食生活を大いに反省しました。でも、身体に悪そうな食べ物ほど旨いのが世の常。先生も食べてはいけないとはおっしゃっていなかったので、何事も適度が大事ですね。
続いて、飯田市美術博物館の櫻井弘人学芸係長から、「南信州の祭り~実りの秋を迎えて~」と題した講演です。
櫻井さんは、南信州地域の民俗芸能研究の第一人者であり、今回の講演では、特に南信州の秋のお祭り「煙火(花火)」について、詳しく解説いただきました。
南信州では、8月~10月にかけて毎日のように花火が打ち上がりますが、地元民からすると当然のこの光景も、他所から来た方々は非常に驚かれるそうです。元は信仰に基づく神社への奉納花火が始まりで、地域ごとに手作りする自慢の花火があったこと、戦争や爆発事故で打ち上げが禁止された時期もあったこと、伊那谷特有の煙火である「大三国」の特徴などを知ることができました。民俗芸能の宝庫である南信州の人々の誇りや気質を表す「煙火(花火)」の魅力や奥深さを再認識する機会となりました。
休憩の後は、飯田市竜峡中学校今田人形座による人形浄瑠璃の公演です。演目は、お祝いの時に演じられる「二人三番叟」です。音楽に合わせて人形がダイナミックに踊るため、息の合った人形遣いが求められます。
中学生には難しい演目では、という筆者の予想は見事に裏切られ、実に立派な人形遣いでした。途中、人形が踊り疲れてサボる場面でも、人形の細かい仕草でコミカルな場面を上手く表現していました。さすが、伝統ある竜峡中学校今田人形座です。未来の民俗芸能の担い手に期待大です。
さて、お楽しみの昼食交流会です。最初に南信州交流の輪の皆さんから、祭り街道弁当「五穀豊穣祝い弁当」の解説がありました。
「五穀豊穣祝い弁当」は、南信州の秋に行われる五穀豊穣に感謝するお祭りをテーマに、7品から構成されています。先ほどの横山先生のお話の中身がしっかりと詰まっています。
・新米づくし「五穀豊穣祝飯」:豊作を感謝し神仏に備える新米ご飯で、「赤飯」のあずきの赤は邪気払い、「菊花ちらし」は健康長寿を祈る酢飯です
・「柚子の香りづけ大根の酢の物」:酢の物は食後の血糖値上昇をゆるやかにしてくれます
・秋の旬魚「秋刀魚のロール焼き」:旬の魚の秋刀魚は、高たんぱくで胃腸を温めて消化を助ける効能もあります
・「五穀豊穣を寿ぐ秋野菜の煮物」:旬の里や山の幸を感謝していただきます
・「汁物あっさりしょうゆ味」
・「季節の果物」
それぞれの意味をしっかり噛みしめて、お弁当を味わいます。化学調味料を使わない、素材の味を活かした調理法で、昔ながらの味が再現されていました。
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