2012.02.24 [ナディック(須坂市)代表取締役 上野栄一さん]
「できっこない」を可能に! 自動車部品づくりに革命を起こす
細い金属パイプに「横穴」を開ける…
須坂市のナディックは、この小さな部品の加工技術に革命をもたらしました。
もともと横穴は、外側から開けるのが一般的でした。しかし、今までの手法ではどうしても内側に「バリ」と呼ばれる不要な部分ができてしまいます。
ナディックの発想は「内側から穴を開ける」。しかも放電やドリル加工でなく「パンチ」を用いることで、コストを半分に、スピードを3倍に向上させる画期的な技術を確立しました。
長野県のものづくりの匠の技をご紹介する信州魅力人。今回の主人公は、従業員わずか7人ながら、世界から熱い視線が注がれている長野県企業、ナディック社長の上野栄一さんです。
逆転の発想で「バリ無し」加工
―御社の一番の技術は「バリなしプレス加工」。プレスで打ち抜いたときに全くバリが出ない加工…ということですが、実際にどういう技術ですか?
弊社のバリなしプレス加工は、パイプの外側からでなく“内側から”打ち抜きます。
この技術の発端は、「パイプ形状の横についた穴に穴を開けると、パイプの内側にどうしてもささくれのようなバリが出てしまう」と言う相談からでした。
「小径パイプのバリをきれいに取りたい」と。「どうやったらきれいに取れるか」と。そういう相談があったんです。
最初は言われたとおり、「どうやったらきれいにバリを取れるか」と考えていたんですが、ある時から、バリを後から取るよりも、最初からバリが出ないようにしたほうが早いのではないかと考えました。
逆転の発想、です。
パイプの「内側から穴を開ければいい」と。穴を開ける側からはバリが出ないんです。開けられる側からはバリが出てしまうのでね。パイプの外側に出るバリは簡単に取れるんです。
「パイプの内側に出る『バリ』を取り除く技術はできないか?」
長野県須坂市の小さな会社に持ち込まれたひとつの相談が、すべての始まりでした。
バリというのは、金属を上から打ち抜いたときに裏側にできる「反り返り」です。
クルマのエンジンに使われるシリンダーなどのパイプ状の部品に穴を開けるときには、パイプの内側に「バリ」ができてしまいます。特に安全性が求められる自動車部品は、丁寧にバリを取り除かなければならず、この工程がコストアップの要因となっていたのです。
小さなパイプの内側のバリをとる…想像しただけでも大変な作業でした。
内側のバリをとるのは大変ですが、パイプの外側に出たバリは簡単に取れますよね。
だから、内側から外側に穴を開ける工法ができれば非常に画期的な工法だと。
ただ、普通の理論でいくと「そんなことはできっこない」で終わってしまう話でした。でも、そのときは仕事も少なく、なんとか研究開発からやってみようと。理論も何にもなしにどうやったら穴が開くかと考えることから始まったんですよね。
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