2010.09.24 [カモミールの会(北安曇郡池田町)代表 片瀬敦子さん]
池田町の良さを、池田町から発信したい
池田町は安曇野の北部、雄大な北アルプスが望める人口1万人ほどの町です。「ハーブの里」としても知られるこの町で「カモミールの会」が発足したのは2007(平成19)年。テンペ菌を使った「テンペ味噌」やパン、惣菜などの商品開発と販売、またフレンチレストラン「ビストロカモミール」の運営などを行っています。
「カモミールはハーブの中でも一番というくらい、かわいい花なので」と話す代表の片瀬敦子さんに、発足までや当初のこと、今とこれからのことを伺いました。
池田町の良さを、池田町から発信したい
-まずは、「カモミールの会」について教えてください。
主に「道の駅・池田ハーブセンター」内の売店「ショップカモミール」とフレンチレストラン「ビストロカモミール」の運営をしています。売店は「味噌・漬物部」「パン・菓子部」「惣菜部」「営業販売部」と分かれていて、それぞれの部が製造や商品開発を行っています。池田町で採れる大豆や小麦、野菜を使って何か作りたいということで、「カモミールの会」となる前、研究会だったころにそれぞれの部ができて、そのまま引き続き活動しています。あと、子どもたちに「食の大切さ」を伝えたいということもあり、加工品や食の勉強会を年に数回、開催しています。
発足前からずっと「池田町のいいものを知ってほしい」「子どもたちに添加物などのない安全なものを食べさせてあげたい」をモットーに掲げてきました。現在、会員は45名。「池田町から、池田町の良さを発信して行こうね」という気持ちでやっています。
-「テンペ味噌」を開発、販売していると聞きましたが、「テンペ」って何ですか?
テンペは大豆などをテンペ菌で発酵させた醗酵食品です。「テンペ味噌」は、研究会のころから開発して製造していました。「味噌部」ができたときに、新しい味噌を開発しようという話が出て。たまたま岡山で作られているテンペ味噌を知って、それを参考にしてやってみようと始めたんです。すると、すごく風味が良くて、みんなはまっちゃって。「昔ながらの(こうじ)味噌もいいけど、テンペもいい」と(笑)。
テンペはこうじ味噌に比べて発酵するのが早いんです。でも、発酵が早く進みすぎて色が濃くなるという難点があって。あまり濃い色にならないように気をつけながら、テンペとの割合をどのくらいにすればいいかなど、時間をかけて開発しました。岡山のものはテンペで発酵させた大豆を100%使っていますが、自分たちがおさまったのはテンペに発酵させた大豆を3分の1使ったものでした。普通の味噌と味も違うし、風味も違う。香りが気になるという人もいますが…でもまろやかな感じがします。「カモミールの会」ができるまでは販売ができなかったので、生坂村の加工施設に通って、自分で仕込む分だけ作って持って帰ってきていたのですが、ようやく、販売できるようになりました。
-味噌パンシリーズも、以前から?
味噌パンシリーズは、昨年、県の地域資源製品開発支援センターを紹介してもらってできたものなんです。「味噌部」と「パン部」があっても、私たちは「味噌は味噌、パンはパン」という頭だったので…。センターから「それぞれの部の強みを活かした商品を作りなさい」と1年間指導してもらって、商品の開発の仕方から販売、売り方までいろいろ教わりました。昔ながらの味噌パンは知っていましたが、「味噌メロンパン」や「味噌チーズパン」などこれまで自分たちだけでは考えつかなかったようなものがいろいろ生まれました。
スタートまでに、9年かかった
-「カモミールの会」を立ち上げるきっかけになったのは何ですか?
もともとは池田町の女性たちでつくる「女性団体連絡協議会」というものがあって、いろいろな女性のグループが参加していました。「地産地消」や「食の安全」をテーマに勉強会などをする中で、いろいろな食材が身近にあるのに、自分たちの手で加工したり食べたりしないことが多いので、これを何とかできないかという話になりました。「安心して食べられるものを発信していきたい」と。でも、力がないので行政に相談して。施設を立ち上げるために活動を始めたのが1998(平成10)年です。それから国の補助金(農業食品産業強化対策民間団体事業推進費補助金)をいただけるようになるまでに結構時間がかかって。2007(平成19)年2月1日に、ようやくここ(ハーブセンター隣接の施設)を建ててもらって、出発しました。
- 9年、というのは結構長い時間ですね。
長かったですね。活動を始めたときに「味噌」「パン」「惣菜」「漬物」と4つの部門があって。それぞれ勉強会をしたり、自分たちで工房のようなものを作ってみたり、いろいろ活動していました。そんな中、半ばあきらめるような気持ちになったときに、申請が通ったという話になり、みんなもう1度集結して始めましょうということになったんですが…最初は、喜ぶというよりもそれぞれ活動もしていたので、お断りしようかという話も出たりして。でも、町からは「もうできるんだから、準備してください」と言われ、大急ぎで組合を組織して、改めて参加したい人を募って…そうして45人が集まり、心機一転、出発しました。
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