2011.10.18 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
塩見岳(塩見岳で一服)
塩見岳(東峰:標高3052m)は赤石山脈(南アルプス)の真ん中に位置する名山で、大鹿村の鳥倉林道から三伏峠を通って山頂に向かうのが一般的な登山ルートです。
塩見岳の山頂は見晴らしが良く、北方には北岳、間ノ岳、農鳥岳の白根三山や甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳を望み、南には悪沢岳や荒川岳が堂々とそびえています。西には屏風のような木曽山脈(中央アルプス)と伊那谷を眺め、東には富士山がどかんと鎮座しています(ぜひご自分の目でお確かめください)。下の写真は、塩見岳と素朴な塩見小屋の様子です。
通常の登山では、変わってゆく景色と、足元に咲く花々を見ることで十二分に満たされます。けれども、もう少し欲張ってみることもできます。ちょっと足元の石ころや岩に目を向けてみてください。登山道沿いには、長い区間にわたって中生代ジュラ紀から白亜紀にかけて海底に堆積した砂岩や泥岩が続きます。それが間近に山頂が迫る塩見小屋から上部になると、灰色や赤色のチャートや、その名のとおり緑色の緑色岩に変わります(右下写真参照)。この赤白と緑のカラフルな色の石たちは、深海底に堆積した微細な化石の集合体や海底火山の噴出物です。恐竜が陸上を歩いていた中生代に、海洋プレートとともに南洋からはるばる運ばれてきて、深い海底下で当時の大陸地殻に付け加わり、それらが隆起して今3000mの頂に現れたというわけです。
現在の雄大な景色の中に、さらに大きな歴史が眠っている。
南アルプスの真ん中の静かな岩の頂で一服したら、是非そのことを思い出してみてください。
~ あるがまま 秋大空の 塩見岳 ~
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