2026.08.31 [ 自然・山・花農業農村支援センター ]
収穫のタイミングを探る!「果樹熟度調査」とは?
皆さん、こんにちは(^^♪
上伊那農業農村支援センターのあんこです。
皆さんは果物の中で何がお好きですか?私はぶどうが好きです!
県外から移住してきた私は、それまでぶどうを食べる機会がそれほど多くありませんでした。ところが、こちらに来てからはおいしいぶどうを口にする機会が増え、すっかりその魅力の虜になってしまいました。いつかはたくさんの品種を目の前に並べて食べ比べをし、心ゆくまで味わってみたいと思っています。そろそろ旬を迎えるので、おいしいぶどうを味わえる日を楽しみにしています。

長野県は皆さんもご存じのとおり、果樹王国です。
全国の果実の農業産出額ランキング(2023年)では青森県に次いで長野県が第2位となっており、多くの果物が生産・販売されていることがわかります。(農林水産省「令和5年農業産出額」参考)
大変誇らしいことであり、おいしい果物を私たちに届けてくださる果樹農家の皆さんの日々の努力とご苦労に、改めて感謝したいと思います。

上伊那地域では、りんごやぶどうをはじめとしたさまざまな果物が栽培されています。
当センターでは、その栽培に役立つ資料を作成するため、日々さまざまな調査を行なっています。例えば、りんごの葉に寄生するダニの種類や発生数を調べる「ダニブラッシング調査」や、果実の大きさの変化を定期的に測定する「肥大調査」などがあります。こうした調査結果をもとに、農家の皆さんへのアドバイスを行っています。
その支援の一つが「果樹熟度調査」です。
おいしい果物を収穫するためには、中まで十分に熟しているか、見た目が収穫に適した状態になっているかを確認することが大切です。この調査では、それらを数字で調べて記録し、過去の結果と比べながら、収穫に最も適した時期を見極めます。

調査は収穫開始の約1ヶ月前から収穫期まで、毎週1回行われます。調査日には、平均的な状態のものを6個採取し、そのうち5個を調査用、残りの1個は予備とします。
今回は宮田村にあるりんご園の品種「つがる」を調査しました。
「つがる」は青森県で生まれた品種で、1930年に「ゴールデンデリシャス」と「紅玉」を交配し、長い年月をかけて育成された後、1975年に品種登録されました。8月から収穫が始まる早生(わせ)品種で、果肉はややかため。果汁をたっぷり含み、シャキシャキとした心地よい歯ごたえが楽しめます。また、ほどよい甘さと爽やかな酸味のバランスが良く、風味豊かな味わいが特徴です。
採取した果実を持ち帰り、さっそく調査開始です。
【調査項目】
・果重(重さ)
・果皮色(皮の色)
・硬度(硬度)
・糖度(甘さ)
・酸度(酸っぱさ) などです。
品種によって多少異なりますが、約5~10項目にも及びます。

【酸度の調査】
①絞った果汁の入ったカップに薬品(フェノールレッド)を数滴加える
②ビューレット内の薬品(NaOH液)を一滴ずつ慎重に落としていく。
③果汁の色が黄色から紫色に代わる直前の暗緑色で止める
④ビューレットの目盛りの数値と、果汁の採取量などを計算式に当てはめ、酸度を求めます。
私もこの調査を何度か経験しましたが、薬品を入れすぎて何度も完全な紫色にしてしまいました。なかなか繊細で、緊張する作業です。
まだ熟していない時期のりんごは酸度が高く、食べるには酸っぱすぎます。しかし収穫期が近づくにつれて酸度は徐々に低くなり、甘味とのバランスの取れたおいしいリンゴへと変わっていきます。
この日の調査ではなかなか紫色に変わらず、まだ収穫には早いことがわかりました。
薬品とこういった器具を使って、果物の酸っぱさを酸度という数値で表せると知ったときは、とても驚きました。

でんぷん反応調査では、果実の赤道部(果実の真ん中をぐるっと一周するところ)を切り出して試薬(ヨウ化カリウムとヨウ素の溶液)を塗り、果実内のでんぷんの残り具合を確認します。試薬によって黒くなった部分はでんぷんが残っているところで、果実が熟すにつれてでんぷんは糖に変わるため、黒い部分が少なくなるほど食べ頃に近づきます。今回の果実はまだでんぷんが多く残っており、食べ頃まではもう少し時間が必要なようです。
調査の最後にはりんごを実際に少量ずつ食べ、「食味」と「熟度」を確認します。
「食味」ではおいしさを、「熟度」では食べごろかどうかを評価します。
調査を始めたばかりの青い果実は、でんぷんが多く残っているため、食感がザラついていて決しておいしいとは言えません。しかし週1回の調査を重ねるうちにそのザラつきが少なくなり、だんだんとおいしく食べられるようになります。その変化を実際に味わうたびに、りんごの奥深さや不思議さをも感じます。

このような調査を積み重ねることで、農家の皆さんが適期に収穫を行い、おいしいリンゴが皆さんのもとへ届けられます。
これから上伊那地域でもさまざまな果物の収穫シーズンが始まります。農家の皆さんは暑さと向き合いながら、おいしい果物を届けるため日々奮闘しています。
調査をしていると、品目ごとの特徴や個性もわかるため、自然と愛着が湧いてきます。実は、この調査はりんごだけでなく、なしやぶどうについても行っています。ぶどう好きの私ですが、調査を重ねているうちに、りんごやなしの魅力にもにも気づかされました。いつの日か、さまざまな果物を並べて食べ比べをしているかもしれません!
皆さんもぜひ、上伊那地域で育ったおいしいフルーツをた~んと味わってみてください!
【問合せ先】上伊那農業農村支援センター 技術経営普及課 TEL 0265-76-6841
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