2012.10.03 [ 職員のみつけた情報コーナー ]
上小ふしぎ発見!?(その4) 食べられない?里芋=石芋
ミステリーハンター見習いのKです。
今回は、青木村の石芋について紹介します。
この取材中に、商工観光課のF1号さんの「上小地域のお菓子 その11 -茶道の主菓子-」に「青木村の『石芋伝説』」が登場しビックリ。
先を越されたかと思いましたが、それ以上の言及はなかったので、安心して調査を続けることができました。
その石芋が見られるのは、青木村の沓掛温泉にある「石芋公園」です。(写真は9月中旬に撮影したものです。)
青木村から県道丸子信州新線を鹿教湯温泉方面に少し行くと左側に沓掛温泉と並んで石芋公園の案内も出ているので分かりやすいと思いますが、県道から外れた道は農道で道が狭いので注意してください。
青木村の「石芋伝説」ですが、昔、この地を訪れた弘法大師が、川で里芋を洗う老婆に芋を所望したところ、老婆は「この里芋は石のように固くて食べられない」と断り、家に帰り夕飯にその里芋を食べようとしたのですが、石のように固くなってしまい食べられなくなってしまったというものです。以来この里芋は「石芋」あるいは「弘法芋」と呼ばれるようになったとのことです。
実はこの伝説は青木村だけでなく、秋田県仙北郡美郷町、甲府市羽黒町、松山市など全国各地にあるようです。
さて、石芋ですが、サトイモの一種で縄文時代の初めに原産地の東南アジアから伝わり、木の実の粉からパンなどをつくるときにつなぎとして使われ、広く栽培されていたようです。しかし、縄文末期になると気温が低下し生育できなくなり、ほとんどの地域で絶えてしまったそうですが、ここは、温泉尻で冬でも水温が高く生き残ったとのことです。(因みにここの小字は「湯尻」といいます。)
確かに葉はサトイモの同じです。また、水に手を入れましたが、訪れた日の前夜に雨が降ったためか、あるいは、まだ暑いときであったためか水温が高いという感じはしませんでした。
ここ「沓掛温泉の野生里芋」は、サトイモが寒冷な長野県で野生化していることが稀であり、このように大面積で群生しているのは全国的にも稀であること。そして、縄文時代の食文化を論じる歴史資料として保存すべき価値が高いことから、平成19年5月に長野県の天然記念物に指定されています。
自生地はここ青木村の他に、甲府市羽黒町、鳥取県東伯郡関金町、島根県松江市大野町や東京都八丈島、高知県、鹿児島県、沖縄県などにもあるようですが、どこも青木村より暖かそうな所ばかりです。
石芋の周辺はビオトープとして整備されており、池にはサワガニやカワニナがいました。ホタルの時期には乱舞が見られるのでしょうか。
9月に再訪した時は、公園駐車場近くに萩の花が咲いていました。
残念ながらどのような形の芋ができるのか見ることはできませんし、食べることもできません。
食べるのは無理でも芋の形ぐらいは分からないかとググってみたら、佐賀大学農学部彙報Vol.71に収録されている「佐賀県鳥栖市に自生しているサトイモについて」という論文に写真がありました。大きさまでは分かりませんが、形や色は普通の里芋と同じに見えます。(論文に直接リンクを張ってよいのか分からないので、同大学の研究成果等を無料で公開している佐賀大学機関リポジトリから検索してください。)
石芋公園の所在地:小県郡青木村沓掛湯尻481-2他
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