
「干し柿は表面が硬くなってしまうと中身が乾きません。表面をやわらかく保ちながら中の水分を抜いていくのをこの「朝霧」が手助けしてくれるんですよ。この霧こそが市田柿が根付いた理由だと思います」と話すのは壬生善廣さん。

壬生善廣さん
市田柿は国内の他の干し柿に比べると小ぶりですが、この小ささもバランス良く水分が抜ける要素となっています。柿の重量が35%程度になるまで乾燥し、縦皺と白い粉がびっしりつき、果肉が鮮やかなオレンジ色の羊羹状になったら乾燥終了、市田柿の完成です。

市田柿の特徴の一つでもある、表面につく白い粉ですが、柿自体に含まれる糖分が結晶化したもの。乾燥中に柿を丁寧にもむことで出るものです。かつては手でもんだり、カゴの上で揺すって粉を出していました。現在はもみ機を使い、もみ機の中で柿を回転させることによって水分が外に出て柿自体が平均的な水分量になります。それをまた干すことによって表面が乾く、この作業を繰り返しながら全体の水分を偏りなく抜いていくのだそうです。
2016年、市田柿は農林水産省によって地理的表示産品(GI)にも認定されました。
「市田柿はJAみなみ信州の技術指導によって長年をかけ、品質のレベルアップをしてきた経過があります。そこにGIに登録されたことにより、一層本気になってきた」と話すのは木村重臣さん。

木村重臣さん
現在は作り手によって品質がバラバラにならないように、衛生面にも気をつけ、徹底した管理のもとで市田柿を生産しています。皮剥き機などの機械も年々効率が良くなり、そういったハード面の充実もあって見た目や味も均一化でき、生産量も増えているそうです。

天然のドライフルーツとして、全国的に人気が高まる中、地球温暖化や農家の高齢化という問題にも直面しています。
「温暖化の影響はかなり感じている。自然現象だから仕方ないけど、そういう中で、どう対応し、今後生産をしていくかということはもっと考えなきゃならないんだろうと思っています」と木村さん。
洋菓子、和菓子への二次加工や輸出も含め、需要はどんどん増えている「市田柿」。2021年には市田柿誕生から100年の節目を迎え、次の世代へと繋ぐべく、さらなる技術を磨いています。
※この記事は2022年11月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください
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