2018.08.10 [ アーカイブ ]
大根産地の環境にやさしい省力栽培を推進するために
北信農業改良普及センターのMです。
本日の話題は、飯山の大規模大根栽培の省力化に関する取組の紹介です。
長野県には、かつては高い標高を活かした夏大根の大きな産地がありました。しかし、レタスや白菜、キャベツといった葉物野菜が中心となり、大根という重量品目は徐々に減っていったという経緯があります。しかし、県内にも大規模な大根産地があります。
その一つが、飯山市、鍋倉山の麓に広がる「奥信濃ファーム」さんです。
10数ヘクタールにも及ぶ農地を用いて、種まきの時期を変えながら、夏から秋にかけての大根を栽培、出荷しています。
大規模栽培だけに機械化が求められます。
種まきは、大型トラクターの後ろに播種機をつけて行い、その後の病害虫防除はブームスプレーヤという広い範囲で農薬を散布する機械で行っています。
しかし、近年は農薬の飛散防止など環境に考慮した栽培が求められています。そこで注目されているのが、種まきと併せてうねの土壌中に集中的に粒状の農薬を投入し、効率的に効かせることで地上部に霧状に散布する農薬使用を減らそうとする試みです。
今回その試作機について現地で検討が行われました。
農作業機械メーカーさんや、播種機のメーカー、そして農薬メーカーさんなど多くの方が見守る中、試験が行われました。
機械は、播種する機械の前に2種類の殺虫剤が登録内容に従って投入される仕組みになっています。注目すべきは、大根が発芽して間もなく問題になる害虫の対策となる殺虫剤がうねの上層に入り、その後問題となる害虫に効く殺虫剤が若干深い位置に入るように工夫されている点です。さらに、トラクターの速度に併せて殺虫剤が投入されるようGPSを用いた工夫もされています。
今回は予備的な試験として、ほ場の一部を借りて実施させていただき、大根の発芽に影響がないかやその後の害虫対策ができているか、そして収量的に問題ないか等を農家さんの一般的な栽培と簡単に比較させていただくことにしています。
私は、かつて県内のもう一つの大根産地である茅野市でも同様の機械化について検討させていただいたことがあります。そこでは、施肥をしながらうねを作り、同時にマルチを張りながら種まきを行うという機械でした。(写真)
精度高く種まきができ、その後の生育も順調で農家さんには大変好評であったことを覚えています。
今後も産地の状況に応じて、環境に配慮しながら省力機械化栽培を推進できるよう、メーカーさんと協働して提案や普及を行いたいと考えています。
機会があれば、結果報告できればと思います。
それでは、また、ごきげんよう。
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