2015.05.31 [環境省長野自然環境事務所 自然保護官補佐 則武敏史さん]
国立公園の環境を、このまま未来へ引き継いでいく
これから山へ登るであろう人たちに、魅力を伝えていきたい
- 利用者に対して、何か気をつけてほしいことはありますか?
行こうと思って来る方は、それなりの準備はしていると思うので特に問題はないと思います。中には、その靴で大丈夫かな、という方もときどき見かけますが。
あとは、野生動物がいるのは当然なので、そう思って歩いていただければ。利用者の多いコースには金属の棒を2本置いて、ぶつけると音がなるようにするなど、人がいることを知らせる工夫を地元の方がしてくれています。動物が暮らしている場所に、私たちがちょっとお邪魔しているという感じですね。こちらが気を付けなければならないことなので。人がたくさんいるコースは過度な心配はしなくても大丈夫だとは思います。
- 今後、アクティブ・レンジャーとして取り組んでいきたいことはありますか?
国立公園の環境を今のまま引き継いでいくこと。それが私たちの仕事です。そのためにできることをやっていくというのが一つと、あとは、多くの方に利用していただくために情報発信をしていかなければと思っています。例えば、利用される方が歩くにしても、ただ歩くだけでは面白くないので、ポイントや見どころなどを伝えるようにしていきたいですね。
- 現地の様子を知ると、行ってみたいという気持ちになります。
アクティブ・レンジャー国立公園写真展の準備
今は、情報発信の手段の一つとしてホームページで「アクティブ・レンジャー日記」というブログを公開しています。あとは、アクティブ・レンジャーが撮影した国立公園の写真展を県内各地で開催しています。魅力を伝えることが動機づけになりますよね。自分に子どもがいることもあって、特に子どもたちや若い世代の人たちにもっと山の魅力を知ってほしいと思います。これから山へ登るであろう人たちに向かって、「山はいいところだよ」ということを。
- もっと多くの人に利用してもらいたいですね。
志賀高原が国立公園だということを、どのくらいの方が知っているのか分からないのですが、やはり国立公園ということを意識して利用してもらえるといいと思います。国立公園は一つのブランドのようなもの。「国立公園=自然がたくさんあるところ」ということを広めていくことができればいいですね。そのためにも、私たちもしっかり情報を発信していきたいと思います。
長野県に移住したきっかけの一つに、山に近いところに住んでみたいという気持ちがあったという則武さん。「今でも、山が夕焼けに染まったり、太陽が出てくるのを見たりするときは感動します」と話します。仕事が休みのときはお子さんと一緒に山へ行くこともあるそうですが、「興味がないわけではないが、頻繁には行きたがらない(苦笑)」とのこと。子どもたちに山の魅力を伝えるには、まず親たちから。則武さんの取り組みは、まだまだ続きます。
PROFILE
1968年生まれ、愛知県出身。広島の大学に進学し、植物学を専攻。その後、民間企業に就職し、自然環境調査やビオトープの設計・提案に携わる。その後、長野市に移住し民間企業を経て2011年4月に環境省・自然保護官補佐(アクティブ・レンジャー)に。現在は上信越高原・志賀高原と中部山岳・後立山の2つの地域を担当。
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