2015.05.28 [環境省長野自然環境事務所 自然保護官補佐 則武敏史さん]
自然を守る仕組みがあって、その中で仕事をしている
利用者の立場から、利用者が楽しんでいるかどうか考える立場に
- 則武さんのご出身は愛知県ですが、もともと、自然や山に興味があったんですか?
振り返ってみると高校時代に山岳部に入ったことがきっかけだと思います。なぜ入ろうと思ったかはよく覚えてないのですが(苦笑)。最初はひたすら頂上を目指していましたが、顧問の先生が生き物の名前をいろいろと教えてくれて、周りにも目を向けるようになりました。そこから植物に興味を持つようになったのだと思います。大学は広島県へ。植物学を専攻し、卒業研究ではブナ林、その後は大学院に進み木曽の御嶽山でコケの研究をしていました。生き物を見ながら野山へ行くというサークルにも入っていたので、登山メインから、徐々に対象が変わっていった感じです。
- 以前から長野へも来ていたんですね。
年1回は来ていました。やはり高い山への憧れがあって、3000メートル級の山、槍ヶ岳や穂高岳という名前を聞くだけでも気分が高まります。夏でも雪があるのは新鮮で、植物も全然違う。ああいう景色を見ると、なかなか北アルプスから離れられないですね。
大学院を出てからは、広島で自然環境調査を行う民間企業に就職し、環境アセスメントの調査やビオトープの設計・提案などを行っていました。長野へ来たのは10年ほど前で、同じような仕事をしていました。
登山者カウンターのデータ確認作業の様子
- アクティブ・レンジャーになったのは?
アクティブ・レンジャーになって今年で5年目になります。応募したきっかけの一つは、前の仕事で行政の担当者と話すことも多く、行政の側で仕事をするのも面白いと思ったこと。もう一つは大学時代の同級生が環境省にいて、いい仕事をしていたこと。行政として自然保護に関わる仕事をしたいという気持ちがありました。
- 実際に携わるようになって、どうですか?
もちろん、組織の一員として仕事をしているわけですが、自分の力を発揮することで自然が守られていくという実感はあります。自然を守るための仕組みがあって、その中で仕事をしている。今までは自分も利用者の立場でしたが、視点が変わりました。歩いていても、壊れているところに目が行きますし、利用者がどのように楽しんでいるか、自然と親しんでいるかが気になるようになりましたね。
現在、長野自然環境事務所の管内にある3つの国立公園(上信越高原、中部山岳、妙高戸隠連山)では、9人のアクティブ・レンジャーが活躍しています。「志賀高原はもう『自分の庭』のようなものですか?」と聞くと、「公園内をくまなく歩くというわけにはいかず、なかなか行けない場所もあります」と則武さん。次回は、志賀高原のことや、今後の国立公園についてのお話を伺います。
PROFILE
1968年生まれ、愛知県出身。広島の大学に進学し、植物学を専攻。その後、民間企業に就職し、自然環境調査やビオトープの設計・提案に携わる。その後、長野市に移住し民間企業を経て2011年4月に環境省・自然保護官補佐(アクティブ・レンジャー)に。現在は上信越高原・志賀高原と中部山岳・後立山の2つの地域を担当。
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