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Vol112■信州食文化の真骨頂、そば集落で地そばを味わう

「信州に行ったら、何が食べたいですか?」
この質問に多くの人が「そば」と答えるのではないでしょうか。

その理由のひとつは、信州そばの脈々と受け継がれた長い歴史でしょう。
江戸時代の宝永3年(1706年)に刊行された「風俗文選」には、「蕎麦(そば)切りといつぱ(いうのは)、もと信濃国本山宿(現塩尻市)より出て、あまねく国々にもてはやされける。」という記述があり、そば(そば切り)発祥の地は信州だという説も有力なんですよ。


もうひとつの理由は、やはり信州が品質の高いそばの産地であることでしょう。
戸隠そば、開田そばなどの有名なそばを目当てに訪れる人も多く、素材や製法にこだわったそばの名店が信州にはたくさんあります。
また、すんきそば、とうじそば、高遠そば、早そばなど個性的なそばもたくさん。ご当地名物としても人気です。
信州の名物そば一覧はこちら≫(パソコン用)

このように、信州の食文化を代表する「そば」ですが、本来「そば」とは、家庭で打って作る郷土食のひとつ。あまり数は多くありませんが、今もこの昔ながらのそば文化が継承されている集落が残っています。

長野県の中央部に位置する山形村の「唐沢そば集落」は、全国の“そば通”の間ではすでに有名といってもいい場所かもしれません。山あいの道路沿い500mほどの間に9軒のそば店が点在しています。「店」といっても、看板がなければわからない普通の住宅のような店がほとんど。まさに家庭の味ですね!


唐沢集落のそば店内。
もちろん食べる場所はテーブル席などではなく、家族の集う居間のような場所

この唐沢集落のそばが有名なったのは、なんと江戸時代。この地で行われていた「鳥焼き」という秋の収穫祭のような行事の際に、地元産のそばを振舞ったところ、格別にうまいと評判になったのだそうです。全ての店が自慢の地粉を使用していて、自家栽培・自家製粉しているお店も多いんですよ。
「唐沢そば集落」についてはこちら≫(パソコン用)

長野市信州新町の左右(そう)高原も“そば集落”のひとつ。標高800~1000mの高原で、麻栽培の裏作としてそばが栽培されてきたという、知る人ぞ知る信州屈指のそばどころで、昔ながらの“地そば”を味わうことができます。


左右高原の5軒のそば屋はすべて民宿を兼ねて営業している
※蕎麦を食べる場合は予約が必要です。

左右高原産のそばの品質は抜群で、そばを作るお母さんたちの技も見事。香り高くコシの強いそばを力強く打ち上げたかと思えば、ゆで、さらしのタイミングも絶妙で実に鮮やか。脈々と受け継がれてきた伝統あるそばの風味と口当たりは、ここでしか味わえないものです。
長野市信州新町のグルメ情報はこちら≫(パソコン用)

そばどころの信州には、100%地元産の原料を使ったそばを味わえる所がいくつもあるんですよ。
今はちょうど新そばの美味しい季節。普段なかなか出会えない伝統のそばを味わいに、信州の“そば集落”へ出かけてみてはいかがでしょう。

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