信州魅力人

信州の魅力、それは長野県内で頑張るつくり手たちの魅力。そんな魅力人の想いをお伝えします

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職人たちが作り上げる「音」 世界のギターファクトリー

くびれた曲線、光沢を放つボディー。
エレキギターをつくりあげるフジゲン大町工場には、弦の奏でる官能的な音色が響いていました。
ギターづくりの工程に「職人さんのワザは欠かせない」とのこと。木を磨き、色を塗り、金属部品を組み付けていく…一部機械も導入されていますが、およそ半分は「ひとの手」によってつくられています。

長野県のすごいものづくりとそれを創る人物の魅力をご紹介する「信州魅力人」。エレキギターのフジゲン社長上條啓水さんの3回目です。

―フジゲンのホームページhttp://www.fujigen.co.jpを見ると、有名なギタリストたちが御社のエレキギターを愛用しているんですね。フジゲンのギターが愛される理由は?

弾きやすさ・・・つまり「品質の高さ」に惚れていただいて、使っていただいているんだと思います。

―その品質の高さというのは、もともと50年の歴史があるのがそもそもなんですが、この地でなければ為し得ないものなんでしょうか。

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まず一つは、「日本でつくっている」ということが大事です。
日本は、世界の中でもギターの大きな市場なので、ギターを弾く人がたくさんいるんです。
市場が近くにあることによって、「ギターが好きな人」が弊社で働いてくれている。
また、日本国内のお客さまは、世界でいちばんと言えるくらい非常に「厳しい目」を持っています。
弊社は東京に直営店があり、インターネットを通してもお客様に販売しているんですが、お客さんの声がダイレクトに入ってくる。日々、「こうしたほうがいい」というようなたくさんの意見をいただきます。その意見を製品づくりに反映できるのです。

ギターを弾く人がたくさんいる、厳しい目を持ったお客様が多い、そういう日本でつくり続けていることと、これまで職人さんが継承してきた技術とが合わさってよいものが生まれると思います。

それに、長野県の気候はいいですね。あんまり湿気がなくて、木材加工には適しているんだと思います。

―クルマの部品をはじめ、工業製品は人件費が安い海外にどんどん出て行ってしまう。円高も深刻ですよね。元々はギター産業も、県内や国内にたくさんのメーカーがあったのに今はずいぶん減ってしまった。これからの日本のものづくりを考えると、ちょっと悲しいですね。

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ギターをつくる会社も、いまはもう数社しか日本にありません。
それはギターの業界だけではなく、日本の全ての製造業が同じだと思うんですが、どんどん海外や中国に仕事をとられてしまいました。

海外へ行ってしまういちばんの問題は、技術の継承がされない点だと思います。
ギターもそうですが、我々のようなアナログの産業をやる技術がだんだん継承されなくなっているのではないかなと思います。
この先ますます、技術を持っていた先輩方が高齢になっていきます。
早くその技術を若い方へ継承していかないと、この日本でギターを作れなくなってしまうのではないかというのを非常に危惧しています。

今はまだ、いい職人さんたちが残っています。
そのワザを若い人に継承し、何十年後も同じ品質のギターをつくれるようにしたい。
今は異常な円高で、日本製はすごく大変な時期です。しかし、この苦難をしっかり耐えて技術を継承していけば、将来再び日本製が見直されるときが来るのではないかと確信しています。
日本製が見直される「そのとき」に、ものづくりができなければどうしようもない。だから今もう一度、ものづくりを見直しているところです。

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「新技術が音楽を熱くする」の文字が刷り込まれたフジゲンの名刺。
ホームページのタイトルには「世界のギターファクトリー」。
音を奏でることにこだわったものづくりの技術が、フジゲンのギターには込められています。

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1か月で2200~2500本ものギターがつくられる大町工場。
「匠」と呼ばれる年配の職人さんたちが、木を選び木目を合わせ、また音の調整や修理などまで手掛けています。同じ作業フロアには、長髪を後ろに束ねた男性が、もくもくとギターを仕上げている…自身がバンドマンで、フジゲンのギターに惚れてここで働く若者も少なくないそうです。
「つくっている人もギターが好きな人が多い。だからいい音が出るんです。」
匠の技が、若い世代に引き継がれていきます。


―今回は大町市の工場に来ていますが、大町っていいところですよね。東の里山と、西には雄大な北アルプス。高瀬川が南北に流れ、ちょっとクルマを走らせれば仁科三湖がある。こういうところでエレキギターがつくられているんですね。

そうですね。今、フジゲンでは一般の方々への「工場見学」を展開しています。
ギターが好きな方々に実際に工場を見学していただいています。
まだまだ毎日お客さんが来るわけではないんですが、全国からギター好きな方に来ていただけるんです。

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わざわざ長野県まで来ていただいて、工場を見ていただいて、感動して喜んでもらえる。
大町には他にもきれいな自然があります。フジゲン工場はもちろん観光地ではありませんが、豊かな自然などの観光地と一緒にすることで、大町に多くの人を呼べればなと考えています。

―工場見学はイイですよね。私も実際にこうして工場を見せていただき、もちろんギターをつくるのを見たのは生まれて初めてだったので、いろいろ新鮮な驚きがありました。工場内に調音でギターの音色が鳴り響いていたり、実際に職人さんたちが一人ひとり手で木を磨いていたり。
長野県出身といっても、長野県でこうしてギターをつくっていることを知らない人は多い。もっと長野県のものづくりはすごいんだ…って知ってもらいたいですね。

工場見学のお客さまは、本当に喜んで感動して帰っていただいています。
わたしたちも、魅力を発信をしていかないといけないですね。
ほんとうはわたしたちが思っている以上に、皆さん、そんなに長野県の魅力を知らないんですよね。
長野でつくられているギターの「FUJIGEN」というブランドもそうですし。
ものづくりを強化していくとともに、情報の発信にも力を入れて、ブランドづくりをしていきたいと思っています。

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終わりに

10回にわたってお送りしてきました「新・信州魅力人」。どの企業にも、“キラリと光るもの“がありました。
信州には、ご紹介してきた企業だけでなく、もっともっとたくさんの魅力人・魅力ある企業(スゴイ技術も!)があふれています。そんな信州の、奥深い魅力を感じていただけたのではないでしょうか。
ですが、皆さんがご覧になったのは信州の一部に過ぎません。今後もいろんな魅力を伝えていけるように、頑張っていこうと思います。
一年間、ありがとうございました。

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