2014.02.07 [ 【目】自然・景観 ]
冬の御射鹿池です
茅野市の御射鹿池といえば、東山魁夷の絵画「緑響く」で有名な農業用ため池です。農林水産省が平成22年に選定した「ため池100選」にも選定されています。(下記:ため池百選リンク先)http://www.maff.go.jp/kanto/seibi/sekkei/other/tameike10.html
平成16年に県営ため池等整備事業によりため池の全面改修が完了しています。(諸元は下記URL参照)
http://www.pref.nagano.lg.jp/suwachi/suwachi-nochi/kannai/chikusyasin/sisetsusyoukai.html
1月末でしたが雲一つない快晴でしたので、東京からでしょうか、大型バスにより写真撮影ツアーの観光客が大勢いました。池周辺は積雪で湖面界がわからない状態でしたが、地元関係者もいたのでしょう。マナーも良く熱心に写真撮影に没頭されていました。(池には観光者のための安全施設は一切ありませんので、普段は関係者以外立ち入り禁止です。)
御射鹿池の下流に小さいため池(写真)があるのですが、御射鹿池を管理している茅野市湖東笹原土地改良区の方々から、御射鹿池の下の池ができた歴史として、御射鹿池から下流の農地に届けられる前に、伏流(流水が再び地面下に潜ってしまう)してしまうことで、せっかく水を温め酸性度を薄めた水が元にもどってしまうことから、再度酸性度の希釈と水を温める目的の池として、戦後すぐに作られたとのことです。そんなこともあるのかと気になりましたので、現場を調査してみました。
調査日はこの時期としては非常に暖かく、雪解け水が多量にあったせいか、地下に水が潜っている状況は分かりませんでしたが、ため池から出ている水と下流水路の水量は若干少なくなっているような感じに見えました。
下のため池周辺です。潜ってきた水でしょうか、水が湧き出しています。春先になれば、もっと水量が増えるのでしょうか。
下流ため池の流入口です。全体的には水量が減少しているように感じます。やはり、御射鹿池の水は伏流してしまっているのでしょうか。
「きれいな花には棘がある」ではありませんが、御射鹿池は強酸性&低水温というきびしい環境条件であるがゆえ、妖艶な美しさを醸し出しているのかもしれません。この美しさは昭和初期のきびしい時代条件の厳しい水をなんとか利用しようとがんばった農家の人たちのおかげなのだと改めて思いました。
お米の収穫量と水温を表す俗語として「1度1俵」という言葉が長野県内にあります。ため池は水を貯めるだけでなく、水温を上げる目的や御射鹿池のように酸性度希釈など水質を改善するなど様々な効果がため池にはあります。これはすべてにおいて「農業」が根幹にあるわけで、農家の人々が苦労して作り出した環境なのですから、貴重な観光資源として最大限地域振興に活用してもらいたいものです。
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