八ヶ岳連峰は冬山が楽しめるエリアとして知られており、年末年始を中心に、例年多くの登山客が山頂を目指してチャレンジしています。豊かな大自然に広がる一面の銀世界。神秘的かつ何度訪れても新たな感動が味わえる冬山には何とも言えない魅力が隠されています。

一方、冬山は天候の変化が激しく、疲労、道迷いなどによる遭難事故も多発。八ヶ岳南麓ではアイスクライミングも人気ですが、過去には転落事故も多数起きています。今年は例年より積雪も多く、滑落の危険も高まっています。残念ながら今月に入って２件の死亡事故も発生しており、より一層の注意が必要です。

諏訪地区山岳遭難防止対策協会では、この時期、冬山相談所を開設し、山を知り尽くした地元のベテラン相談員による「登山者カード」の確認や、道案内、安全登山のためのアドバイスなどを行っています。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

県道渋の湯堀線（湯みち街道）の終点にある茅野市奥蓼科相談所の様子です。ＪＲ茅野駅から路線バスが運行していることもあり、黒百合平から天狗岳にチャレンジする登山客で賑わっています。相談員は「登山者カード」を念入りにチェック。八ヶ岳入山の際には、万一の事態に備えて必ず「登山者カード」を提出しましょう。

相談所の上はご覧のとおり一面の雪景色。ピッケル、アイゼンなどの冬支度が絶対欠かせません。防寒着や手袋などの装備品も万全に。

こちらは茅野市・原村境にある美濃戸口相談所です。駐車スペース（有料）も多く、南八ヶ岳の玄関口としてオールシーズン賑わっています。この日も100名を超える登山客が足を運んでいます。こちらでも「登山者カード」は必需品。標高2,899メートルの最高峰、赤岳を目指す方の姿が多く見られます。

登山は日ごろ体験できない感動や仲間との交流が楽しめる素晴らしいものですが、時と場合によっては命の危険が伴う、本格的なスポーツでもあります。「北八ヶ岳では道迷いに注意！」「南八ヶ岳でのアイスクライミングによる事故多し！」諏訪地区山岳遭難防止対策協会では、相談所入口に過去の遭難事故発生マップを掲示することにより、注意喚起を行っています。

これらも参考にしながら情報収集し、「知って備えて安全登山」のキャッチフレーズを心に刻みながら八ヶ岳での滞在をお楽しみいただければ幸いです。

年末から年始にかけて天候が崩れる予報も出されています。無理をせず、早めの行動に心掛けていただけますようお願いします。登山者の皆さん、山頂での初日の出は残念ながら難しいかも知れませんが、よいお年をお迎えください。