信州魅力発掘人 信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

高校教諭×山岳部 vol.2

- 天気が悪い状態での登山も経験させたい、と。

総合的な力がないとこなせないですから。合宿を終えて秋になったら、新人チームができるので、クライミングや沢登りなどをして、チームワークを錬成していきます。秋も連休に合わせて2泊3日の合宿を組みますね。いろいろなことを一通り経験して「山って面白い」「いろんなことができる」となってから、冬を迎える。冬は活動しない学校もたくさんありますが、僕は冬こそ生徒を連れ出すべきだと思っています。去年も乗鞍の山頂に立っていますし、今年も来週は乗鞍へ行きますよ。

クライミング

- 冬山=危険、というイメージがありますが…。

もちろん安全に、徐々にステップアップしていく必要があります。僕の場合は12月ごろに、河原で一晩、ビバークさせます。持ってきていいのは、ブルーシート1枚と寝袋だけ。そこでまず、薪を集めさせて、自分たちでたき火をします。焚き付けは紙とかじゃなくて、その場のものを使って。それで一晩でどのくらい薪が必要なのかを自分たちで勉強します。生徒たちは、行く前は何が起こるか不安でいっぱいらしいですが、終わると面白かった、また行きたいって言いますよ。

焚火ビバークを体験する山岳部員の皆さん

- 高校生、意外とたくましい…!

1月は雪の中に連れていきます。今年は鹿島槍スキー場で、リフトで一番上まで上がって、そこから150メートルくらい離れた場所で一晩泊まりました。テントじゃなくて、雪穴を掘ったり、イグルー(圧雪ブロックの簡易住居)を作ったりすることもあります。夏は登山道を歩けばいいですが、冬は雪が積もって道が消えて、どこでも歩くことができる。その分、現在地を把握することが重要だと実感できます。

イグルー(圧雪ブロックの簡易住居)作り

- 冬山のこともそうやって学んでいくんですね。

最後は春休みに1泊2日で乗鞍へ行きます。入部したときは、右も左も分からなかったような生徒も1年でたくましくなりますよ。

- 皆さん、山岳部へはどんな動機で入ってくるんですか?

山好きで入ってくる子もいれば、友人と一緒に入ってくる子もいます。あと、他の運動部に比べるとちょっとゆるそうに見えるみたいですね。毎日練習しているイメージがないので。

- あまりゆるいイメージはないですが…実際は?

普段は地道ですよ。今日も隣の教室で、気象放送を聞いて天気図を書いていますし。トレーニングをして体力づくりもしますが、ベースにあるのは安全登山なので、読図や歩行の技術、あと泊まるとなると生活の技術も必要になります。そういう意味ではオールラウンドな「生きる力」を山岳部の活動の中で見つけてもらえればいいなと思っています。


あと3年で退職だという大西さんにとって、今、一番の悩みは後継者。県内で山岳部の指導ができる先生の数は少なく、そういう先生が山岳部のある学校に赴任するとも限りません。「県山岳総合センターとも協力してやっていきたいんですが、なかなか難しくて」。全国的にも山岳部の部員数が増えている中、養成は急務です。

PROFILE
1960年、長野県松本市生まれ。信州大学人文学部卒業後、国語教諭として県内各地の高校に勤務。2014年から現在の大町岳陽高校で山岳部顧問を務める。長野県山岳協会理事長、中信高等学校体育連盟登山副委員長、信濃高等学校教職員山岳会所属。「高校生に夢を」がモットー。

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