こうして、試行錯誤すること数百回。構想から3年後、2020年に誕生したのが、ジュニパーベリー、コリアンダー、カルダモン、セージ、アンジェリカルート、リコリス、クローヴに、地域性を表現するりんご、クロモジ、熊笹、青実山椒の11種のボタニカルを使ったクラフトジン「YOHAKHU(ヨハク)」です。
汲々とした時代において、生活の中での心のゆとり=余白を大切にできるお酒であってほしいと思ったこと。また、アドバイザーの三浦さんから「ジンはバーテンダーが独自のカクテルにする遊びのスペース=余白を残しておかないといけない」と言われていたこと。協力してくれた多くの人の“関わりしろ(※)”=余白によってできあがったこと。そうした思いを商品名に込めました。
(※関わりしろ=誰もが関わりたくなるような余白や伸びしろがあることを意味する造語。)
「お客さまからのうれしかった言葉のひとつが『封を切った瞬間に生まれ育った長野の風景が目に浮かびました』というものです。コロナ禍で地元の長野に行き来できない東京在住の方からのメールでした。自分の思い描いていたことが伝わって、これまでの苦労が報われた思いがしました」

▲「YOHAKHU」のウッディーな香りを印象づけている日本固有の香木・クロモジ。依田さんは野沢温泉村の事業者から焼酎製造を請け負った際、焼酎にクロモジを漬け込む文化が村にあると聞き、飲んだ瞬間にその香りのよさに衝撃を受けたこともあり「絶対使いたかった素材のひとつ」と話す
さらに、素材選びで何度も地域の山や森に入る中、改めて地元の魅力にも気づき、考えが研ぎ澄まされたという依田さん。
「いつも何気なく見ていた風景の中にジンの素材になるものがたくさんあって、地域に対する意識が変わりました。若い頃は都会に憧れて大学進学とともに上京し、地元には跡取りとして必然的に戻りましたが、歳を重ねて多くの人とも関わる中で、十分、ここにも刺激があるとわかりましたし、ジンをつくることで、さらにものの見方や考え方が深まりました。そんな私のこれまでの人生や思いを、この土地だから完成させることができたジンに全て詰め込んでいます」

▲「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2022」では焼酎ベースの国産ジン部門で最優秀賞を受賞。(500ml 6,600円)
今後はジンの文化を伝える取り組みにも力を入れ、長野県のクラフトジンのパイオニア的存在になりたいと話す依田さん。伝統の技術と素材や人との出会い、佐久市の自然環境とチャレンジ魂に“余白”が生み出す創造性も加わったクラフトジンが、長野の酒造りの可能性を広げていきます。





























