2025.11.27 [ 北アルプス地域の林業・広葉樹北アルプス地域の自然・景観・名所その他 ]
ツキノワグマは冬でも出没するの?
北アルプス地域振興局林務課です。
今年は、テレビや新聞、ラジオで、毎日のようにクマの目撃、人身被害、建物内侵入、自衛隊派遣などが全国的に話題となりました。環境省によると、記録が残る2006年度以降、被害人数・死者数が過去最多とのことです。
今年はドングリ類が不作だったこともあり、北アルプス地域の一部では、9月以降、クマの里地への出没が例年以上に確認されていましたが、最近は目撃情報が大幅に減ってきました。
北アルプスの山々には冠雪しているところもあり、クマの冬眠の時期となる冬の訪れを感じるところです。しかし、今後も出没の恐れはありますので、引き続き注意が必要です。
■クマはなぜ人間を襲うのか?
通常、クマは人間や野生動物を積極的に襲うことはありませんが、親子連れや、見通しの悪い場所でバッタリ出遭うなど、状況やタイミングが悪いと強い攻撃心を抱いたり、ビックリして襲うことがあります。もともとクマは人間への警戒心が強いので、山に入る時などは改めて出遭わないための対策をしましょう!
※下記に、クマに「出遭わないため」の対処方法を記載していますので、ご覧ください。
■9月以降、なぜ里地での目撃が増えたのでしょうか?
例年、クマは9月中旬頃からドングリを食べに山奥に行きますが、今年はドングリの不作やブナの実が大凶作だったため、冬眠に備える食べ物が不足し、柿やリンゴなどを求めて里地に出没したと思われます。また、一部地域ではカシノナガキクイムシによるナラ枯れにより、ドングリの成る木(エサ場)が減っていることも、里地への出没が増えた理由の一つと思われます。
クマが冬眠する理由は、冬には食べ物が無いからです。クマは、冬眠して越冬や出産をするために、十分脂肪を蓄える必要があります。クマは、春・夏は昼間に食べ、夜は寝て過ごしますが、秋以降は脂肪を蓄えるため、昼夜食べ続けて冬眠に備えます。
エサを満足に食べていないクマは、エサを求めて集落付近に残っている柿などを食べに里地に出没します。また、里地にエサとなる残飯や廃果類などがあることを学習すると、里地に居ついてしまい、冬期間中でも里地に出没してしまう可能性があります。クマを里地に寄せつけないよう十分注意しましょう!
※クマと「もし出遭ってしまったら」、「もし襲われたら」の対処方法を下記に記載していますので、参考としてください。
■狩猟期間中のクマの錯誤捕獲(さくごほかく)にご注意ください!
※「クマの錯誤捕獲」とは、イノシシやニホンジカを捕獲するための罠(くくりわな等)に誤ってクマを捕獲してしまった場合のことです。
11月15日から翌年2月15日まで狩猟期間となります。(ただし、イノシシ・ニホンジカのわな猟に限り翌年3月15日まで)
クマも狩猟獣のため、定められた方法で捕獲は可能となりますが、万が一、クマを罠により錯誤捕獲してしまうと、クマが興奮状態になったり、精神的ストレスや拘束部が壊死して脱落することにより、捕獲者や通行人に人身被害が発生するリスクが高くなります。
山林などで罠を仕掛ける場合は、罠に「標識(横23センチ×縦6センチ)」を設置することが義務付けられていますので、標識を見かけた場合は、近付かないように気を付けましょう!
なお、長野県ではクマによる人身被害ゼロを目指すため、令和8年11月14日までの間、狩猟や有害駆除許可で錯誤捕獲してしまったクマの対応について、捕獲者や住民の安全を第一に考え、原則として緊急に捕獲することとしています。
♦♦クマによる人身被害を防ぐ対処方法♦♦
●目撃情報の事前確認
県では、ツキノワグマの目撃情報を確認できるスマートフォン向けアプリ「けものおと2」を運用しています。入山、農作業、散策、観光等での安全対策の一環として、ぜひご活用ください。なお、目撃情報が無い場所でも出没する恐れがありますので、十分ご注意ください。
【利用方法】
○ 「けものおと2」は、App Store 又はGoogle Play から無料でダウンロードして利用できます。

iPhone/iPad
ログインID:nagano
パスワード:nagano
○ ログイン後、簡単な操作で情報の閲覧が可能です。
操作方法や閲覧方法については、県ホームページ(ツキノワグマ情報マップ)に掲載されていますので、以下のページをご参照ください。
<掲載先:https://www.pref.nagano.lg.jp/shinrin/sangyo/ringyo/choju/joho/kuma-map.html>
●出遭わないために
①出没している地域周辺では朝と夕方(クマの活動が活発の時間帯)の外出はなるべく避けましょう。
②鈴や笛など音の出るものを鳴らしましょう。クマに人間の存在を知らせれば、鉢合わせの回避につながります。
③入山時などでは単独での行動を避け複数人で行動しましょう。
④糞や足跡、鳴き声など気配を感じたら引き返しましょう。

●もし出遭ってしまったら
①まず落ち着く(大声を出さない、急に動かない)
②クマから目線をそらさず(背後を向けない)、ゆっくりとその場を離れる
③建物・車内へ避難する

●もし襲われたら
①最初の一撃では人の急所である頭・首・お腹を守る
(1トン越えの爪のパンチが顔面をめがけて攻撃してくるので、しっかり防御姿勢をとる)
②引き倒されたら頭部と首元を守る
(頸動脈を損傷しないために手や腕でガードする)

手持ちの道具(ナタや枝など)で、反撃して追い払いに成功した例もありますが、人の急所である顔や頭部、喉、腹部を守れる防護姿勢は有効なので、致命的なダメージを防ぐことができます。
なお、「クマスプレー」をお持ちの方は、撃退方法を以下の動画で視聴できますので、参考としてください。
【関連動画(参考)】
以下、①クマスプレーの使い方、②出遭った場合の対処法について、動画で確認できます。
●クマスプレーの使い方(YouTubeにて視聴)
(日本クマネットワークの公式チャンネルにて公開中)
風向きに注意し、射程距離が5mくらいになったらクマの目と鼻を狙って噴射します。いつでも取り出して噴射できるように準備しておきましょう。
動画視聴URL
https://www.youtube.com/watch?v=CjLaBX9r344
●クマに出遭った場合の正しい対処法啓発動画を公開(YouTubeにて視聴)
(長野県ハンター養成学校の公式チャンネルにて公開中)
長野県クマ対策員の浜口あかりさんによる説明です。
①クマに出遭ってしまった場合の正しい対処法
②クマに出遭った場合にとってはいけない危険な行動
動画視聴URL
https://www.youtube.com/watch?v=16h5dRID1LU
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北アルプス地域振興局 総務管理・環境課
TEL:0261-23-6500
FAX:0261-23-6504
























