2015.03.12 [フリーライドアドベンチャーズ(茅野市)代表 ポール・チェットウィンドさん]
「マウンテンバイク=長野県」のイメージをもっと広めたい
ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイクなどさまざまな種類の自転車でも楽しめる信州の山々。4回目で登場していただいた「おおぞら自転車クラブ」代表の松山参治さんからは、ロードバイクの魅力をお聞きしました。
今回、登場していただくのは元マウンテンバイクプロレーサーのポール・チェットウィンドさん。茅野市で「フリーライドアドベンチャーズ」を立ち上げ、八ヶ岳周辺や日本各地のツアーの企画やガイドを行っています。ポールさんに現在の活動のことや、長野の山の魅力について伺いました。
国内外から八ヶ岳へ。マウンテンバイクを楽しみに来る人たち
- フリーライドアドベンチャーズはどのような活動をしているのですか?
マウンテンバイクやロードバイクのツアーの企画とガイドを行っています。メニューは全て、お客様の希望やレベル、旅程に合わせて作っています。初めての人にはのんびり走れるコース、スキルアップを目指す人は少し上級のコースです。バイクに乗る楽しさを皆さんに気軽に経験してもらいたいと思っています。
- どのような方が利用していますか?
熱心なマウンテンバイクのライダーが多いです。初めての方もたくさんいらっしゃいます。ロードサイクリングの方も少数ですが、海外からのライダーが多いです。たぶん、日本では私自身がMTB選手だったので、そのイメージが強すぎるのかもしれません。私と一緒にやると、怖いところに行くんじゃないかと思っているのかも。
- (笑)。初めてのマウンテンバイクでも大丈夫なんですよね?
麓の方は誰でも行けます。初めてでも、子どもでも大丈夫です。昨年、おじいちゃんとお父さん、息子の3世代で来てくれたお客さんがいました。おじいちゃんが一番調子よく乗っていましたよ。仕事を辞めて、毎日自転車に乗っていると言っていました。子どもたちも楽しんでいました。お父さんは…上りがちょっと大変そうでしたけど。この辺りは、林道もあれば田んぼや森の中を走るところもあるので皆が楽しめます。
- 外国からのお客さんも多いですか?
毎年海外からのグループは、3~4組くらいですね。去年いらっしゃった香港からのグループは、原村のペンションをベースに、富士見パノラマリゾートや伊那などへ行きました。今年も既に予約があります。だいたい15人ほどのグループで、大型バスを借りてマイバイクを積んで移動します。ペンションで組み立てて、それで走る。皆、80万円くらいするいいバイクを持っていますよ。同じモデルの自転車を借りても乗っても、やはりちょっと違うので。自分のバイクが一番ですね。
せっかくのイメージを活かさないと、もったいない
- 外国から日本に来てマウンテンバイクに乗るのはなぜなのでしょうか?
山が好きだから、長野に来るのだと思います。アジアにもマウンテンバイクのコースはありますが、距離があまり長くない。例えば、香港でマウンテンバイクのパークを乗るには、無料ですが、免許が必要です。持ってないと罰金になります。去年来たライダーは皆さん上手でしたよ。
- 他の国はどうですか?
例えばイギリスのウェールズは、昔は栄えていた石炭産業が衰えてから厳しくなりましたが、山の中に作った自転車専用のコースには、週末になるとロンドンからたくさんの人が来ます。ほかに、カナダやアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパは自転車用の道の整備を進めています。オーストラリアでは、マウンテンバイクトレイルを作る会社があって、トレイルビルダーが十数人いて道を作っています。
- 外国と比べて日本はどうなのでしょう?
日本の中では、マウンテンバイク=長野県、というイメージがあります。特に富士見パノラマは、ダウンヒルの場所としてはアジアで一番だと私は思います。1000メートルくらいのゴンドラがあって、自転車を乗せて上れますし、7キロほどあるコースは長く楽しめて最高です。今のままでは本当にもったいない。もっともっと可能性があります。私は10年前からずっとそう言っています(苦笑)。
オーストラリアにはダウンヒルの選手が多くて、世界トップの人もいるのですが、パノラマにやってきてこう言います。「どうして日本の選手は遅い?」「これだけ素晴らしいコースがあれば、もっと強い選手がいるはずなのに」と。
- そんな風に思われているんですね。
スキー場は、冬はお客さんが来ますが夏は少ない。カナダのウィスラースキー場は冬も夏も同じくらい集客できるように工夫しています。マウンテンバイクパークを作れば、毎週末何百人の人がやってくるようになります。この周辺で私がコースを作りたいところはいっぱいありますが、土地の問題があってできません。本当にもったいないです。今、日本は自転車ブームなのにマウンテンバイクで走れる場所が少ない。きちんとコースを作れば、たくさんの人が訪れます。
14歳と8歳の子どもがいるポールさん。お客さんの家族と一緒に、家族皆でマウンテンバイクを楽しむこともあるといいます。「ライドの後で子どもたちはキャンプをしたり、皆が友達になれる。友達になるとお客さんじゃなくなるから難しいけど(笑)」というポールさん。次回は少しさかのぼって、ポールさんが来日したきっかけと、今後取り組みたいことについて伺います。
PROFILE
1961年生まれ、カナダ・ノースショア出身。1992年に来日し、MTBプロレーサーや実業団ロードレーサーを経て、サイクリングツアーガイドを始める。2000年に「フリーライドアドベンチャーズ」を立ち上げ、自転車に関する豊富な経験と知識をもとに八ヶ岳の山々や日本全国を巡るツアーを企画し、ガイドを行っている。
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