2013.03.13 [ 【第六感】 ]
諏訪湖アートリング第9回「イルフ童画館」
シリーズでお送りしている諏訪湖アートリング協議会加盟の美術館・博物館紹介コーナー。
第9回は、「イルフ童画館(日本童画美術館)」です。
それまで童話の添え物でしかなかった絵にいのちを吹き込み「童画」の世界を確立した、地元岡谷出身の「武井武雄」。イルフ童画館はその「武井武雄」作品を中心とした童画美術館です。
武井武雄は「童画」という言葉を生みだし、「日本の童画の父」と言われています。質の高い絵を子どもにも提供したいと考え、男子一生の仕事として童画に取り組み、童画の歴史に大きな役割をはたしました。
数ある作品のなかでも、武井がライフワークとして生涯を通じ取り組んだ刊本作品全139冊は、「本の宝石」とも呼ばれているほどで、芸術性の高いものばかりです。
武井のこの刊本作品への思い入れは相当なものでした。
現在展示中の№108「ナイルの葦」には、本物のパピルスが使ってあります。パピルスと言えば古代エジプトの紙ですが、そんなものは手に入らないため、なんと武井は自ら苗を取り寄せて栽培して紙をすいてしまいます。完成までに実に4年半を費やしました!
また、武井武雄刊本作品友の会会員限定で300部の出版でしたが、武井自身がシリアルナンバーで管理していて、古書店で売り出されているものを見つけると、その購入者はリストから外され、購入待ちの人が繰り上がったとのこと。
武井のこだわりが一杯に詰まった「刊本作品」をぜひご覧ください。(手にとってみられるものもあります。)
現在、企画展「版画家の眼 川上澄生と武井武雄」が開催中です。
学校教師でもあった川上澄生と童画家武井武雄、親交のあった二人の版画家としての作品をじっくり見比べてみてください。
イルフ童画館といえば「武井武雄記念 日本童画大賞」です。
この賞は児童文学作家への登竜門ともなっていて、全国から100点を超える応募作品が寄せられます。第二、第三の武井武雄が登場してくるのではないでしょうか。
毎週行われるワークショップも魅力的です。
こどもからおとなまで楽しめる様々な体験が企画されていますので、毎週チェックしてください。中には、銅版画入門などシリーズとなっているものもあるので、どんどんレベルアップすることも可能です!
館長さんは、武井武雄という素晴らしい芸術家のことを、とにかく地元の人達に知ってほしい、そして長野県全体から首都圏・中京圏まで、童画のまち岡谷を発信したいと取り組んでおられます。
郷土の素晴らしい芸術家である武井武雄の作品に、ぜひ触れてみてください。
絵本「かいじゅうたちのいるところ」など、世界中の子供たちに絶大な人気を誇るアメリカのモーリス・センダックのコレクションは、日本一の収蔵作品数を誇ります。こちらも必見です。
なお、3月17日は、イルフ童画館隣のイルフプラザ10周年を記念したイベントが行われます。武井武雄の作品で、イルフ岡谷食品館の入り口に描かれた壁画「八百金」に登場する野菜たちのせりふを募集し、ユニークな作品を表彰する「やさいの想いコンテスト」のほか、オリジナルどんぶりの限定販売など、見所がたくさんありますので、こちらもぜひお立ち寄りください。
【岡谷市 日本童画美術館 イルフ童画館】
長野県岡谷市中央町2-2-1
TEL:0266-24-3319
【開館時間】
9:00~18:00
休館日/毎週木曜日、年末年始(12月31日、1月1日)臨時休館あり
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