信州魅力発掘人 信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

信州の自然の美しさには、歴史がある

- 図を見ると、かなり広い範囲が海だったんですね。

松本の四賀のほうにはサンゴ礁の地層があるので、亜熱帯の海だったことがわかります。美ヶ原から志賀高原の方へ持ち上がっていって、北の海と南の海が分かれていきました。戸隠周辺は最後まで日本海が入り込んでいて、浅い海だったのでホタテなどが住んでいました。300万年前くらいから、プレート同士がぶつかり合って持ち上がり、どんどん北アルプスの隆起が激しくなっていきました。

- 戸隠山はどのようにしてできたんですか?

戸隠山は、海底火山からのマグマの貫入と急激な隆起があって形成されました。ちなみに、飯縄山は富士山と同じ成層火山で、戸隠山とは全然山の形が違いますよね。飯縄山が噴火して、次に黒姫山、今でも噴火しているのが妙高山です。

- 戸隠山は北信五岳の中でも、ちょっと特殊なんですね。

山を拝んで生きてきたという面白い歴史を持っているのも他とは違うところです。戸隠は修験の地だったわけですが、修験者たちはお祈りはしますが生産はしません。誰かが食べ物を供給しないといけない。そのため、米が採れない高所にも関わらず、人が暮らしていた珍しい場所なんです。だから人が自然とどのように関わって生活していたのかを知ることができる。観光地化されてから人が移り住んだ場所とは異なる部分です。

- 山の形や険しさだけではなく、成り立ちや歴史にも違いがあるんですね。

人と同じで、各々の山が履歴書を持っています。山は標高や難易度だけが個性なのではありません。成り立ちや歴史も個性となっている。それを知ってこそ、山と本当の付き合いができるのではないでしょうか。山へ行くときに、そういうことを考える人はあまりいないでしょうが(苦笑)、ぜひ「山の履歴書」を読んでほしい。山とより一層、深く付き合えると思いますよ。


戸隠地質化石博物館はJR長野駅から車で30分。戸隠中社からも車で20分ほどかかる中山間地域にあります。外観は小学校そのもので、中に入ると懐かしい雰囲気に包まれますが、田辺さんの話を聞きながら展示品を見ていくと、歴史と知識の海に深く入り込んでいくような感覚になります。「一度来てくれたお客さんが『また来たい』と思ってくれるようにしたい」と田辺さん。学びの時間は次回へと続きます。

PROFILE

1961年生まれ、千葉県市川市出身。中学2年生で訪れた美ヶ原から見た景色に感動し、その後、信州大学へ進学。1989年から現職。「落語家になりたかった」という軽快な語り口は、訪れた人を楽しませるだけではなく、自身で考えて学ぶことの面白さをも気付かせてくれる。「地域の小中学校の子どもたちとフィールドワークに出ることも多い。地元住民に一番サービスしないと(笑)」

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