高橋さんは30年ほど前、新たな酵母の誕生や吟醸造りが盛んになるなど、お酒の作りが変わってきた節目となる頃に酒造りを継いだそうです。当時は、県外で生産された山田錦を中心に大吟醸造りに取組み、技術的なノウハウを積み重ねていきました。次なる挑戦として取組みを始めたのが、山田錦を使用した「大吟醸」でなければ鑑評会で賞をとることは難しいと言われるご時世の中、長野県の酒米品種、特に美山錦を使って高品質な日本酒「純米大吟醸」を醸すというものでした。
そして、試行錯誤を重ね、平成20年(2008年)には長野県産 「美山錦」で醸した純米大吟醸が「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞。しかし、気候変動の影響もあってか、高温障害に見舞われるなど、安定した高品質な酒米の栽培という課題に直面します。農家さんの協力を得ながら気候変動の影響を克服するための栽培方法などの研究をしなければと思っていた矢先に、山恵錦の試験栽培が始まるタイミングが重なり、評価のよく分からない未知の酒米での日本酒醸造への挑戦に踏み出したのだそうです。

「長野県内に限っても各地で大きな標高差があるので、この信濃町の地域、北信の地域で育つようなお米であれば気候変動に強く、長野県全体としてもメリットがあるのではないかとの想いから、地元の農家さんにお願いをして一緒になって、山恵錦での醸造に取り組んできました」と高橋さん。
2020年度から3年連続で、地元信濃町及び近接する戸隠地域の「山恵錦」のみを使用していますが、特定の地域のお米にこだわることで特徴の近い酒米が入手でき、いろんな産地の米を使うよりも、原料処理がしやすく品質の高いものを作りやすいそうです。
農家との距離が近いからこそ情報交換を大切にしており、
「そのときどきのお米や稲作の動向をお話しながら、酒米の等級が良くてもお酒にしづらいこともあるので、お酒造りの結果をフィードバックするなど、いいお酒になる上でどういったことが必要なのか農家さんと一緒になって考えています」と高橋さん

地域の水や米といった自然の恵み、そして農家と酒蔵の信頼関係が凝縮された長野県の日本酒。まさに長野県のテロワールを体現する産物といえるでしょう。
高橋助作酒造店
住所:上水内郡信濃町古間856-1
電話:026-255-2007
http://www.matsuwo.co.jp/
※この記事は2023年1月時点の情報です
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