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【休館42日目】学校図書館をわくわくの実験室にする!~長野市学校司書研修報告~

1月23日(水)、休館中の営業日42日目です。

長野市の小中学校司書研修の講師として、当館職員に声がかかったのが昨年末のこと。県内各地からの学校図書館に関する研修依頼が急増し、市町村の公共図書館とともに学校支援のありかたも探っていたところです。この機を活かすべく、県立長野図書館のプロジェクト(長野市教育委員会と共催)として関わることになりました。

館内では引き続き蔵書の大移動が進められていますが、今回は特別編として、1月23日に開催された研修の様子をお届けします

実施したのは、講師担当の職員が数年前から手掛けてきた実践型ワークショップです。長野県の中核市である長野市は学校数も多く、小中学校に勤務する学校司書は80名ほど。演習形式をとるため、午前中に小学校、午後は中学校を対象に人数を振り分け、校種で内容を変えた2部構成としました。

小学校では、子どもたちが図書館を訪れて読書や学習をする「図書の時間」が設定されており、読むことの楽しみや知ることへの出会いを提供します。中学校では自律的な図書館活用を促しつつ、学びに直結する探究心を育て、新たな世界へと導きます。学校図書館の意義や目的をふまえつつ“学校現場で使える”ネタを参加者全員で試してみよう……というのが、このたびの研修内容です。

ただし、これらのアイデアはそのままの形では使えません。勤務校の教育目標、学習環境、児童生徒の様子、教員との関係性、授業展開などを想定し、様々な教育状況に合わせてアレンジしていくことにこそ意味があります。「こうすればあの時間にすぐできそう」「こうしてみたらもっとおもしろくなる」という発想を引き出す、いわば学校司書向けのアクティブラーニングを実現することを目標に、入門編となるワークをいくつか行いました。

 

分類を使って遊びながらも、分類にとらわれず新たな切り口を見つけるワーク

 

図書館とは一見関係ないものを使い、図書館や教育活動に引き寄せるワーク

  

個々の多様性を認めておもしろがり、個人作業を協働学習につなげていくワーク

 

教科にとらわれず、あらゆる学習活動に応用できる図書館アイデアワーク

これからの社会に必要とされるのは、誰かが与えてくれた答えを探す(知識主体型)ではなく、自ら問題を発見し答えを与える(課題解決型)能力です。そのために学校現場では、教わったことを覚える受け身的な学びではなく、説得力のある答えを求めて形にしていくというプロセスを重視する教育スタイルへと変化しています。

学校図書館は、学校で起こるあらゆる学びに接続する機関です。子どもたちが読むための資料収集だけでなく、それらを活かした教育実践の提供も重視されるでしょう。特定の教科に偏らず、どんな教育にもフィットするスキルを身につけるには、学校図書館に関わる職員自身が好奇心のアンテナを高く持つことが大切です。様々なシチュエーションを想定した教育プログラムを考え、実験することを目的とした今回の研修を少しでも楽しんでもらえたなら、その想いをまずは児童生徒や同僚の先生に向けてもらえるとうれしいです

 

学校司書のみなさんとの直接的な交流を通して学校教育現場を知り、公共図書館のサービスに活かすためのヒントを見つけるべく、県立長野図書館からも嘱託司書11名が参加して一緒に受講しました。

学校司書は学校にひとりです。でも、ひとりぼっちではありません。校内職員や学校図書館同士、公共図書館や教育委員会とともにチームを組み、それぞれの得意分野や専門性を活かして不安を支えあえる関係をつくること。そこに実践型研修の意義があります。

小中学校の直接的なサポートは市町村教育委員会の役目ですが、県立図書館が市町村立図書館や教育委員会との連携を深めることで、学校図書館とのつながりも深まっていきます。県立図書館職員は一歩外側に立ち、視点を広げて各所との結び目を増やしながら、子どもたちの学びを支えていければいいなと思っています

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