2025.12.12 [ 山好き館長の信州便り ]
「やさしい日本語」は「みんなにやさしい」&「モノコトフェス」2回目開催!(FMぜんこうじ「図書ナビ」第33回)

本日ご紹介する本たち
みなさま、こんにちは。県立長野図書館の森です。FMぜんこうじの「ひるどきもんぷらワイド」、 2025年12月9日(火)に放送された「図書ナビ」コーナー、第33回目の内容をご報告します。
今日は細かい雨が降っています。昨日は青森県で震度6強、マグニチュード7.6の地震がありました。寒い夜の避難、大変だったと思います。12月、いろいろ忙しかったり、嬉しい季節ですが、災害時の備え、大切ですね…。そんな中川さんのトークで始まったお昼時、オープニングの一曲はShakin’ Stevens の『Merry Christmas Everyone』(YouTube)。聴いているうちに、自然に体がリズムに乗って踊りだしたくなるような、軽快な歌です♪
いよいよ師走!図書館の12月は?
中川さん:図書館の12月はどんな様子ですか?年末特別のお仕事はあるのでしょうか・・・?

図書館ロビーのクリスマスツリー
森:図書館のホールにもクリスマスツリーが飾られました。街を歩いていても、イルミネーションが綺麗なところが増えましたね。寒くなる時期、空気も澄んでいるせいか、光が鮮やか!そして、誰かに想いを寄せたくなる季節ですね。
図書館も、12月27日(土)~1月5日(月)まで、お休みをいただきます。
年末年始の特有のお仕事というと、お休みの間、新聞が溜まってしまうんですよね。それから、本の返却に来られる方もいるので、図書館のポストが一杯になってしまうんです。それを、職員さんが取り出すために図書館に来てくれることになっています。
「やさしい日本語」について考えてみたい
中川さん:今日はどんな話題ですか?
森:「やさしい日本語」について、考えてみたいと思います。今日の冒頭で、中川さんが青森での地震について心を寄せておられました。例えば、外国の方が日本に観光に来ているときに地震にあったら、怖いし不安ですよね。
中川さん:そうですね、自分でも旅行先などで災害にあったら「どうしていいかわからない」ってなると思います。
森:災害など、いざというときに慌てないように、「やさしい日本語」も普段から備えていけたら良いですね。きっかけは、最近、信州大学の佐藤友則先生が書かれた『移民が増えて、いいことって何だろう? 対話と議論にむけた12のギモン』明石書店(2025)という本を読んだこと。「今の時代、観光客でも日本語を勉強して来る人が多くいます。7割以上の人が、やさしい日本語なら通じます。お願いです。やさしい日本語を覚えてください」と、本の最後に書いてあったんです。そういえば昨年、全国の公共図書館の館長さんが集まる研修会でも、「やさしい日本語」がテーマになりました。

『移民が増えて、いいことって何だろう?』
中川さん:「やさしい日本語」、私も本当に大切だと思って、普段から気にしているところなんです。
森:例えば、図書館で、「図書の貸出を受ける場合には、利用登録が必要です。」
「開館時間は朝9時から夕方5時までですが、手続きは閉館時間の30分前までです。」みたいなことを言われたら、どうでしょうか?パッと理解できますかね…「図書の貸出を受ける」は、「本を借りたい時は」と、言い換えることができます。「閉館時間の30分前まで」は、要するに「4時半まで」と言ったほうが、素直に伝わりやすい。こういうことを、これからの図書館では気を付けていきたいですね。という考え方が、広がってきているんです。中川さんは、ラジオでお話する時など、「やさしい日本語」について、意識されることはありますか?
中川さん:すごく大切なテーマですね。ラジオもそうなんですが、私、コミュニケーションやマナーのお話をさせていただくことがあって。「やさしい」、「わかりやすい」表現についてはとてもよく考えます。例えば、専門用語は使わない、とか。丁寧すぎ、へりくだりすぎに気を付けるとか。「させていただく問題」なんて呼んでいるんですけれど…。あとは、書きことばと話しことばの違いとか。
森:「させていただく問題」、まさにそれですね。私も自分自身の反省も含めて… 実は「図書ナビ」でお話させていただく際も…。あ、「させていただく」って言ってますね(笑)、原稿を書いてくるんですけれど、持って回った言い方になりがちで。我ながら、わかりにくいなーって思うことも多々あります(苦笑)。
中川さん:原稿から脱線して話が盛り上がったりもしますよね(笑)。

図書館員のための「やさしい日本語」
森:図書館で「やさしい日本語」が注目されるようになったきっかけは、外国にルーツがある人、日本語が母語ではない人に、もっと図書館に気軽に来てもらうための、工夫の一つです。図書館に限らず、役所の窓口でも同じですよね。役所の書類で使われている言葉づかいは、日本語が母語でも意味がわかりにくいのは、ありがちです。特に公的な文書では、丁寧(すぎる)言葉づかい、婉曲な言い回しがあるので。さっき中川さんがおっしゃっていた、「へりくだりすぎ」とかもそうですよね。
例えば、子どもが学校からもらってきたプリント。「保護者の皆さまへ。いつも本校の行事に御協力を賜わり、誠に有難うございます。」と、ご挨拶があって、なかなか本題が始まらない。「この度本校では、音楽会を開催することとなりました。ご参加を希望される場合は、下記によりお申し込みの上、10時までに体育館の方までお越しください」っていう感じで文章が複雑。「お越しください」という言葉も難しい。結局、自分はどうすればいいのか、わかりにくい。結果、読まないし、伝わらないということが起こりがちなんだそうです。
要点がシンプルに書いてある方が、誰にとっても分かりやすい。では、どうすれば、分かりやすくできるのか。普段から、当たり前に使っている言葉や、言い回しをちょっと意識して、少しずつ改善したい。そんな時に役に立つのが、この本。日本図書館協会「図書館員のための「やさしい日本語」」(2023)。ちゃんと本が出ているのが、すごいです(笑)。
ポイントは
- 「情報を、大切なポイントに絞り込むこと」。
- 「文の構造を簡単にすること」。そして、
- 「簡単なことばを使うこと。」という3つ。伝える順番も「一番大切なことを最初に」ってことなんです。
例えば、「欄内にご記入ください」→「わくの中に、書きます」だと分かりやすいですよね。「図書に書き込みをすることは、ご遠慮ください」…この、婉曲な表現、「ご遠慮ください」とか「お控えください」という表現が分かりづらくて。→「本に書き込みをしないでください」で良いんじゃないか?と思うのですが…
中川:そうなんです。そこに難しさもあって。例えば季節のあいさつは、日本語の美しさでもありますし。コンサートのアナウンスでも、「録音・撮影はお控えください」って、表現します。「録音はしないでください」のほうが分りやすいけれど、ストレートすぎて…。
森:確かに。受け止める側の気持ちとしては、「婉曲」に言われた方が受け入れやすいかもしれませんね。「〇〇しないでください」って言われると何となくムッとしちゃう感情があるかも。その時の場面ごとに、使い分けることが大切なんですね。
今月のおすすめ本『AIにはない「思考力」の身につけ方』
今月のおすすめ本は、「やさしい日本語」の流れで、今井むつみ先生の、『AIにはない「思考力」の身につけ方 ことばの学びはなぜ大切なのか?』筑摩書房(2024)を持ってきました。

AIにはない「思考力」の身につけ方
Chat GPTのような生成AIがどんどん世の中で使われていく時代に、ことばの学びはなぜ大切なのか?人間は、どんなふうに「ことば」を学び「思考力」を身に付けていくのか、仕組みの話も具体的に出てきます。「ちくまQブックス:きみの未来は「なぜ」からはじまる」という10代のノンフィクション読書を応援するシリーズなんですが、子どもに分かりやすく書いてある本は、大人にも分かりやすいですよね。
変化が激しい世の中で、何を学び、何を身に付けていけばよいのか。不安を感じることもありますが、大切なのは「考える力」「思考する力」を身に付けること。AIにはできない、人間だからこそできるのは、「思考すること」「推論の力」なんだ。と書いてあります。今日、メインでお話した「やさしい日本語」の話に引き付けて考えると、
- 伝えたい「情報」の「大切なポイント」は何だろう?と考えたり
- シンプルで簡単なことばを使おう!という意思を持ったり、
- 何よりも、相手に対する思いやりをもって、表現を工夫してみること。
こういうことは、人間だからこそできることなんじゃないかな…と連想していく中で、この本にたどり着きました。
この一年、印象に残っていることなどありますか?
中川さん:森館長、今年はどんな一年でしたか? 印象に残っていることなどありますか?
森:そうですね。やはり、今年は戦後80年の年だったことが、一番印象に残っています。
県立長野図書館でも、「読ませたかったもの、読ませなかったもの」というテーマで、「知る自由を考える」展示や講演会をしました。
私自身、社会人大学院で研究している「旧制松本高等学校」のことで、生徒たちが「戦前~戦中」に、どんな環境のなかで、どんな文章を書いていたのか、研究した内容を、新聞で取り上げていただいたことがありました。
あとは、「熊」の問題も気になっています。この地球という、奇跡のような、かけがえのない星の上で、人間どうしも、人間だけではなく全ての生き物も、共存して、幸せに生きて行けることを考えたいな。そのために、図書館が役に立てたらいいな、と思っています。
リスナーの皆さまへのお知らせ「モノコトフェス#2」!
森:今回は、イベントのお知らせです。12月14日(日曜日)、朝10時から夕方16時まで、「モノコトフェス」第2回を開催することになりました。「モノコトフェス」は、モノづくりの展示・発表イベントです。例えば、木の切れ端、木っ端を削って作る「木っ端人形」とか、板を組み合わせてリンゴの形の本棚を作ったりとか、電気工作からAIを使ったゲーム、ハイテクから手作り品まで、幅広いジャンルの作品が一堂に集まります。体験型のイベントもあるので、一緒に、新たな発見や創造の喜びを体験していただけるイベントです。
中川さん:大人も子どもも、楽しめそうですね!
森:はい!寒くて、遠くにお出かけするのはちょっと・・・というときは、身近な図書館をのぞいてみていただければと思います。今日も、ありがとうございました!来年も、どうぞよろしくお願いいたします!
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