信州の逸品 いま信州で注目されている旬なモノ・コトをお届けします。

信州の逸品

いま信州で注目されている旬なモノ・コトをお届けします。

なぜ信州味噌なのか

信州の気候と風土が味噌を育む

石井味噌  代表取締役 石井 康介さん
かまくらや 代表取締役 田中 浩二さん

かつては家庭でつくられてきた味噌ですが、明治時代、製糸業が盛んになると、諏訪湖周辺などの多くの従業員を抱える工場では賄いとして味噌を大量生産するようになり、工場に味噌を卸すため味噌蔵も設立されるようになりました。その系譜から諏訪地域を中心に県内には多くの味噌蔵が誕生。さらに、1923年の関東大震災では、被害のなかった信州からみそが首都圏へ救援物資として送られ、そのおいしさが首都圏でも知れわたります。首都圏でも好評を博し、信州味噌はさらに発展していきました。

多くの人から支持を得るさっぱりとした旨味と豊かな芳香を併せもつ「信州味噌」。そのおいしさを育む秘訣は何なのでしょうか。

「かつては水が豊富な地でなければ創業ができなかったのだと思います。私達が蔵を構える松本市は、湧き水にも恵まれるなど、水と空気が天然醸造での味噌づくりに適しています」
こう教えてくれたのは、石井味噌の石井康介さん。1868年に創業した味噌蔵の六代目です。

▲石井味噌 代表取締役 石井 康介さん

味噌が出来上がるまでには、洗浄、浸漬、蒸すなど水を使う工程が多くあり、水は味噌づくりのあらゆる行程において重要な役割を果たします。山々からの清冽な雪解け水や、日本有数の河川をいくつも有するなど、水資源に恵まれた長野県には各地にさまざまな味噌蔵があります。

中でも、松本地域は諏訪地域に次ぎ味噌蔵の多い土地。東は美ヶ原高原、西は北アルプスと豊かな自然と肥沃な大地、良質で豊富な地下水を存分に生かした味噌づくりが行われています。

石井味噌がある松本城周辺は、地下水が豊富で数多くの井戸や湧水があり、それらを一体的にとらえた「まつもと城下町湧水群」は環境省が策定した「平成の名水100選」にも選ばれるほどです。

もうひとつの理由はやはり原料。米、大豆、塩とシンプルだからこそ、原料の良し悪しが味噌の品質にも大きな影響を与えます。

「昔から味噌は、地元の農家が作った原料を味噌蔵が仕入れてつくっていたのだと思います。私達が作った大豆と米に塩を加え、この地の自然環境を生かして醸す、昔ながらの作り方が今でも続けられています。昔ながらの味わいのおいしさをいろんな方に知ってもらいたいのは私達も同じ。生産者と職人が一緒になって、チームで作っているとの思いで作っています」
こう話すのは、農業の6次産業化に取り組むかまくらやの田中浩二さん。石井味噌に原料を供給する事業者の一つです。

▲かまくらや 代表取締役 田中 浩二さん

日本の味噌の9割以上が外国産大豆を使用しているといわれる中、石井味噌では長野県生まれの大豆品種「ナカセンナリ」を主に使用。また、米も地元棚田米を使用するなど、地元産の原料にこだわります。

製法は杉の木樽で3年の時間をかけて自然の気候に合わせてゆっくりと発酵・熟成をさせる天然醸造。戦後の食糧増産体制時に考案された大手等で行われる速醸方式(加温等を行い、短期間で分解・発酵を行う手法)では2~3カ月で、他の天然醸造を行う味噌蔵でも1年程度で出荷するのが一般的な中、3年もの長い時間をかけて熟成させる味噌は色が濃いのが特徴です。

「天然醸造では温度変化があったほうが、いい味噌ができると言われています。松本は比較的乾燥していて昼夜の寒暖差や、夏熱く冬寒いという厳しい気候は天然醸造の味噌づくりには非常に適している。そして、木桶の中には酵母菌、乳酸菌が住んでいるように、空気の中にも菌が住み着いています。味噌蔵に住みついている酵母菌は何代もかけてつくられてきたもので、一朝一夕にはできるものではありません。原料、空気、長い年月の中で育まれてきた菌など、この気候風土、すべての恵みをいただいて、味噌の色味香りが形成されていくことを実感するときにしみじみと思いますね。あー、ありがたいなと」

作り手、農家、そして自然環境がハーモニーを奏で、つくり上げられる信州味噌。信州味噌を食べるとどこか懐かしさを覚えるのは、そんな原点があるからなのでしょう。

 

石井味噌
住所:松本市埋橋一丁目8−1
電話:0263-32-0534
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かまくらや
住所:松本市島立454-1
電話: 0263-87-7101
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※この記事は2023年3月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください

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