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NAGANO GOOD DESIGN部門 大賞
「扉グループの文化財・古民家活用の取組」

信州ブランドアワード2021
NAGANO GOOD DESIGN部門 大賞
「扉グループの文化財・古民家活用の取組」

長野県で誕生し育まれた優れたブランドを表彰する「信州ブランドアワード」。
「ゼロカーボン」がテーマの「しあわせ信州」部門と「NAGANO GOOD DESIGN」部門の各部門の大賞を受賞した2社を、各部門賞の中より4社をご紹介します。

 


【NAGANO GOOD DESIGN部門 大賞】
「扉グループの文化財・古民家活用の取組」(扉ホールディングス株式会社)

古民家を核に里山に新たな価値を創出

扉ホールディングス株式会社 代表取締役 齊藤 忠政さん

全国各地で里山の荒廃や集落の高齢化が進み、空き家となる古民家も少なくありません。里山に根付いた歴史的価値のある古民家を経済活動の場とするとともに、地域の人も巻き込んで未来につなげるプロジェクトがいま、注目を集めています。

北アルプスと松本平を一望できる松本市中山地区にある「Satoyama villa DEN」。190年以上もの歴史を刻む、養蚕農家の建物が改築され一棟貸しのゲストハウスとなっています。敷地内には母家、土蔵、蚕蔵など、複数の建物があり、それぞれ元のかたちを残しながら活用されています。

運営するのは「扉温泉明神館」などでも知られる、1931年創業の扉ホールディングス株式会社。同社による古民家を生かす取り組みの原点となったのが、松本市大手の築130年の名門商家「光家」を改装した日本料理とフレンチの店「レストラン ヒカリヤ」でした。

「市街地の再開発が進む中で、歴史があり建物としても素晴らしい旧光家についても、取り壊しの話があがっていました。単に形を残すだけではなく、建物を保全しながら、人々が集い歴史を紡いでいける場所として生き返らせることができないか。そんな思いから、リノベーションし、2007年に『ヒカリヤ』をオープンさせました。これが、弊社による初めての古民家再生・活用です」と話すのは、扉ホールディングス株式会社代表取締役の齊藤忠政さん。

扉ホールディングス株式会社 代表取締役の齊藤忠政さん
扉ホールディングス株式会社 代表取締役の齊藤忠政さん

商家ならではの、重厚感ある特色を生かした改築は地域にも溶け込み、2010年には国の登録有形文化財にも指定されました。しかし、周辺にあった多くの蔵は取り壊され、駐車場などに変わってしまったそう。歴史あるものが幕を閉じていく。同様のことは里山でもおき、空き家や荒れた農地が目立つようになっていました。

「朝日や夕焼けで色づくアルプスや田植え後にキラキラ輝く田んぼを眺めながら、この景色は何にも変え難い景色だということに気づいた。この景観を残したい」

学生時代から数年間を東京で過ごし、扉グループを継ぐために松本へとUターンした斉藤社長。子供の頃とは違った目線で松本の景色が見えるようになったといいます。

2019年に「Satoyama villa Den」と、2020年に松本市四賀地区に「Satoyama villa本陣」をオープンさせ、「里山再生プロジェクト」を始動。雇用の創出や交流人口の増加などで、地域の「人」の暮らしを守ること、古民家を活用することにより新たな価値を付加して「文化」を残すこと、「健康」や「環境」にも良い仕組みをつくることの3つを軸に取組みを進めています。

参勤交代にも使用された本陣を改修した「Satoyama villa 本陣」
参勤交代にも使用された本陣を改修した「Satoyama villa 本陣」

「ゲストハウスの運営を通して、地域が良くなる仕組みができないかなと考えました。観光業って、例えばレストランに野菜を卸してくださる農家さん、施設に関わるさまざまな職人さんなど、地域の人々に支えられている業界なんですよ。地域の人々と一緒にSatoyama villaを運営し、里山を魅力ある場になるように再生させていきたい」と齊藤社長。

また、古民家の良さを最大限生かした改装を行うのもSatoyama villaの特徴。
「古民家はその地域の人の暮らしぶりや歴史や文化を体現したもの。手を加えすぎるとオリジナルの良さを損なってしまう。もちろん、床暖房を入れるなど、快適に過ごすための工夫は施しています。しかし、断熱のために壁を厚くしたり、暖房効率を考えて天井を低くしたり、もともとの漆喰の質感を損なうようなことまではしない。信州の冬は厳しいので寒さを感じるかもしれないけれど、それも本当の体験だと思う。だからSatoyama villaでの滞在では、古民家が積み重ねてきた歴史や暮らしを感じる体験も楽しんでほしい」といいます。

「波動が違うんです。100年以上の時間をかけてできた姿に深みがあって、リアル。だから現代の素材を持ってきても、調和しないんですよ」と齊藤社長。
「波動が違うんです。100年以上の時間をかけてできた姿に深みがあって、リアル。だから現代の素材を持ってきても、調和しないんですよ」と齊藤社長。

また、里山での滞在はアフターコロナを見据えた旅行のスタイルに沿うものだとも。

「現代人や主要な観光地を旅行した外国人観光客や都会に暮らす人々が次に求めているのは『日本らしい生活の体験』。何百年もの間、自然と共生しながら生活を営んできた里山の田舎こそ、彼らのニーズに合うもので、可能性を秘めていると思うんです。しかし、その集落が荒廃してしまえば、受け入れることもできないし、日本の魅力そのものを失うことになるのではないでしょうか」

Satoyama villla Den敷地内の水田や畑では、昔ながらの農業を体験も可能。
Satoyama villla Den敷地内の水田や畑では、昔ながらの農業を体験も可能。

このような危機感を抱いているからこそ、斉藤社長は里山や古民家を地域の暮らしとともに新しい切り口で展開し、サステナブルに里山保全につなげていくことに心血を注ぎます。また、里山の豊富な食材、良質の水が澄んだ空気などの環境の中にこそ、健康な暮らしが育まれているのではと、ウェルネスツーリズムや「B型就労支援施設」などの新たな取組みも始動。

訪れる人と暮らす人々の協奏により、里山がサステナブルな場所へと変化をはじめています。

 

※この記事は2022年4月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください

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