2012.11.01 [ILOVE信州]
“豊かな自然環境の中で見つける「自分らしい生き方の答え」”1
“豊かな自然環境の中で見つける「自分らしい生き方の答え」”(1)
茅野市に移住された岡野さん
第5回目のI♥信州は、2004年に神奈川県横浜市より茅野市蓼科高原に移住された、岡野勇二さんにお話をお聞きしました。
岡野さんは現在、自身の工房を開設し「自然を五感で受け止め、楽しみながら学ぶ環境教育」を目指し活動されています。
また、2012年4月より地域資源の保全・活用と地域活動団体との連携による地域活性化を目標とする「茅野エコツーリズム協議会」の事務局長としてもご活躍されています。
岡野さんのご自宅は茅野市から蓼科高原へ向かう国道152号線、通称大門街道沿線の別荘地に位置しています。
インタビュー時は快晴で車山高原の爽やかな風と色づき始めた紅葉がとても美しくひんやりとした空気で体が浄化されるようでした。
私達取材スタッフを笑顔で出迎えてくださった岡野さん。
お庭で「この郵便ポストは毎年野鳥が子育てをしていましてね…」「ほら、ここにキノコ!」「ここで落ち葉を焚いて焼き芋かな!」「椎茸栽培の原木は…」とにこやかにお話し下さいました。
<子どもの頃の原体験と森の学びが新たな生き方を気付かせてくれた>
岡野さんは、30数年間の会社員生活の中で、企業人として生きることから自分自身の生き方を模索しようと、40歳を過ぎた頃から「自分探し」の旅を始めました。
岡野さんの工房の周りの木々も
色づいてきています。
伊豆・東海~紀伊半島~近畿~日本海側~東北~関東など、数年をかけて旅をする中で、たまたま2002年長野県菅平で森の勉強をすることに。
その学びや活動では、自然に関わることの楽しさ、多くの人とそれを分かち合うことの素晴らしさや大切さを実感し、翌年同じ学びの仲間とNPO法人「東京どんぐり自然学校」を設立し、活動を始めました。
更にその翌年には、子供達の独立を契機に会社勤めに区切りをつけ、環境教育の仕事を進めることを目標に移住をしました。
<移住先選びは「甲州街道」がキーワード>
移住先として選定した地域は主に関東地方の北、長野県の有名な避暑地、伊豆地方と自分が納得できるまで何度も出向きました。
しかし、各地区とも移住先として決定する決め手が無く、以前からオートバイで旅をしているときに好きだった「甲州街道」沿線で移住先を選ぶことにしました。
岡野さん:「東京を起点にいくつもの街道がありますが、甲州街道が一番好きなんです。なんだか呼ばれるんですよね・・・こっちに呼んでるなって気がするんです。
理屈じゃなく、なぜか好きなんです!」
ある時「甲州街道」沿線を北上し、山梨県から長野県に入った瞬間「空気が違う」と感じたそうです。
茅野市メルヘン街道と八ヶ岳の山々
「その土地、地域独特の「におい」。その「におい」を五感で感じることが出来るのは、以前からオートバイで旅をしていたからかもしれません。」と岡野さん。
北杜市の小淵沢町や白州町、長野県に入り諏訪郡原村も候補にありましたが、最終的に茅野市の別荘地に決め、それまで住んでいた方から住宅を譲り受け、移住生活がスタートしました。
*甲州街道
江戸幕府によって整備された五街道の1つ、江戸(日本橋)から内藤新宿、八王子、甲府を経て信濃国の下諏訪宿で中山道と合流するまで38の宿場が置かれました。
信州には、「蔦木宿(長野県諏訪郡富士見町)」「金沢宿(長野県茅野市)」「上諏訪宿(長野県諏訪市)」「下諏訪宿(長野県諏訪郡下諏訪町)の宿場があり、主に現在の国道20号の北東側を通ります。
<スローライフ実践と自然体で地域コミュニケーション>
田舎暮らしについて語る岡野さん
岡野さんは移住してから一番大事にしてきたことがあります。
それは、せかせかしないこと。
やらなければいけないことは「一日一仕事」!後は好きなことをなんでもやる、スローライフの実践です。
岡野さん:「田舎暮しは自分の生き方を変え、自分のペースをつくる。もう一度原点に戻る、たった一度のチャンスでもあるんですね。
豊かな自然環境に暮らすということは、色々な意味で人間らしく、自分らしく暮らせると
思います。」
移住前の数年間は、時に階段を上ることも出来ないくらい体調不良に悩まされていましたが、移住半年で八ヶ岳の最高峰、赤岳登山ができるほど体調が回復したそうです。
現在、岡野さんのお住まいのある別荘地に定住されている世帯は30世帯ほど。
地区では町内会のような自治会を作り運営をしています。茅野市の広報誌の配布や情報発信、生活に関する様々な問題解決に自治会がうまく機能しています。
また、別荘利用の方々にもオーナー会に参加して頂き、自治会やオーナー会主催のイベントを一緒に進めるなど楽しい仲間作りが行われています。今では自然を歩く会「歩歩路(ポポロ)」や花を植えたり、手芸などお互いの得意な楽しみを共有する「女子会」の集まりもあるそうです。
地域の皆さんは肩書きでのお付き合いでなく、自然体で地域のコミュニケーションを深めています。
庭で咲くりんどうにそっと触れる・・・
心から自然を愛する岡野さん。
生き物や草木を「この子」と表現します。
「移住地としてこの場所を選んだからには、この場所に昔から住んでいるこの場所に適した植物や動物と触れ合う時間をたくさん持つこと。これが田舎暮らしの最大のいいポイントです。」とお話くださった岡野さんの笑顔が印象的でした。
後編では、岡野さんが移住された茅野市の魅力や現在手がけている環境教育の活動、茅野エコツーリズム協議会の活動のほか、岡野さんが「田舎暮らし」に大切だと考えている3つの“好き”をお伝えします。 お楽しみに♪
【岡野勇二さんが移住された南信地域・茅野市】
茅野市は、長野県のほぼ中央に位置する諏訪湖の東に位置しています。
市の周辺には八ヶ岳、白樺湖、蓼科高原、車山など信州を代表する多くの観光地があります。
またパセリ、セロリなどの高原野菜の産地として全国に出荷され、冬の寒さと乾燥した気候を利用して作られる角寒天のほとんどが茅野市で生産されています。
茅野市役所 白樺湖と蓼科山
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