2014.05.12 [ILOVE信州]
“小谷村で味わう素朴なつながり(2)”
小谷村で味わう素朴なつながり(2)
「I♥信州」は、長野県外から信州へ移住された方に、移住のきっかけや信州での暮らしの様子をお伺いし、長野県の魅力をさらに伝えていこうというコーナーです。
第22回目のI♥信州は、2005年大阪から飯山市に移住し、2006年に白馬村、2013年に現在お住まいの小谷村へ移住された田浦澄代さん・ロバート・アレキサンダーさんご夫妻にお話をお聞きしました。
前編では、田浦さんご夫妻が、小谷村に移住されるまでの経緯をお聞きしました。
後編では、田浦さんご夫妻が運営する「風の谷ファーム」の様子や移住を考えている方へのメッセージなどをご紹介します。
■小谷村の自然が育てる雪のような白いチーズ
ヤギチーズのオイル漬けは一流シェフの舌も魅了!
田浦さんご夫妻が運営する「風の谷ファーム」では、ヤギのミルクを使ったチーズ(シェーブルチーズ)の製造と販売を行っています。ヤギのミルクというと、クセや臭いが気になる…と中々良いイメージを持たれていないのが現状です。
しかし「風の谷ファーム」で作られたチーズは雪のように真っ白でクセがなく、県内でも有名ホテルのレストランのシェフ達の舌を魅了しています。また「ヤギチーズのオイル漬け」はJALのファーストクラスの機内食として採用されるなど高い評価を受けています。
「風の谷ファーム」では、ヤギ達の健康と幸せが第一。そのため、食事はなるべく自然のものが食べれるようにと放牧させています。遊休農地や里山の環境は、ヤギを飼うのに適しており、小谷村はヤギ達の健康からみても良い環境。そんな中で育てられたヤギのミルクの味は、イメージとは格段に違うものになるのです。
澄代さん:「師匠から事業を引き継いだときは、夏季にシーズンオフとなって利用が少なくなったスキー場で放牧をしていました。小谷村に移してからは、村内に放牧地を二か所作って、そこで自由に草を食べてもらっています。人間でも食べるものによって体のにおいって変わるじゃないですか。
ヤギも一緒で、農耕エサだけじゃなくて草も食べることで青々しい、爽やかなミルクになるんです。
季節によっても味が変わって、夏はサラサラとしたミルクになるし、秋になると冬に向けて脂肪を蓄えるからなのか、リッチな感じの濃いミルクになります。」
小谷村での放牧の様子(写真提供:風の谷ファーム)
ヤギは急斜面でも問題ないそうです。
青々と茂る放牧地で存分にお食事
(写真提供:風の谷ファーム)
澄代さん:「生産効率を考えたら、農耕エサを食べさせた方が乳量は多くなります。それに、運動もさせない方が良いんです。でも、それは子どもを机に縛りつけて勉強させるようなもの。私たちはヤギたちの健康と幸せを考えてやっているので、農耕エサだけ与えたり、買ってきた草を与えるんじゃなくて、彼女たちの野生の本能で、本人たちが食べたいと思う栄養素を食べてもらう、という方針なんです。キレイごとかもしれませんが、それを消費者の皆さんに理解していただいて値段を納得していただいています。」
風の谷ファームのヤギ達はすべてメスのヤギ。田浦さんご夫妻は、全員に名前をつけ、まるで友達や仲間のように接します。田浦さんご夫妻の愛情を一身に受け、彼女たちも柔らかい表情をしているような気がします。
4月に入り、これからの季節ヤギ達は出産を迎えます。そして出産が終わると「風の谷ファーム」のチーズ作りが本格的にスタートします。一日に採れるミルクの量は平均して約40リットル。
そこから夫婦二人三脚で作れるチーズの量は一日だいたい60個ほど。
温度と湿度管理が命のチーズ作りは、陽が昇り始める朝5時頃から、夜は10時~11時頃までは一日中手が離せません。そのため、直販は中々対応しきれないのが現状です。
しかし田浦さんご夫妻は、いつか自分たちの店舗で販売していきたい、という夢も持っています。
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