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一人だけれど独りじゃない:人生の新しい転機にあたって(FMぜんこうじ「図書ナビ」第37回)

FMぜんこうじ前から

FMぜんこうじ前から

新年度、始まりました

みなさま、こんにちは。県立長野図書館の森です。FMぜんこうじの「ひるどきもんぷらワイド」、 2026年4月14日(火)に放送された「図書ナビ」コーナー、第37回目の内容をご報告します。

今年度初回の「図書ナビ」コーナー。週末には松本市波田で「満開の桃畑で次々摘花」(信濃毎日新聞)のニュースもあり、ここ数日は良く晴れて、暑いくらいです。「今、スタジオの前を歩いている人たち、二人とも半袖でした」という中川さんのトークから始まりました。本日の一曲目は、The Doobie Brothersで Listen to the Music(YouTube)。とてもハッピーな気分で、自然に体がリズムをとりたくなります♪

3月の放送後、とても嬉しいメッセージをいただきました

中川さん:リスナーの方から、ヴォイスMのウェブサイトにメッセージをいただいたんです。森館長の和歌を聞いて、ちょうど車の運転中だったので脳内録音したんですが、桜花 吹き散らす風は「幸あれ」と門出の君の…」までは覚えたんだけれど、最後の7文字だけが覚えられなくて、ということだったので、「背中押すなり」でしたということはお伝えしたのですが。

:わぁ、それは嬉しいです。運転中にそこまで覚えていてくださったなんて、それ自体がすごいですよね。

中川さん:ドラマ『いつか、無重力の宙で』の主題歌、「うさぎのひかり」を思い出させるような和歌でした。との感想や、家族と行った上田城址の桜の思い出を書いてくださっていました。

:聴いてくださっている方がいて、想いが伝わって、それをまたこうして伝えてくださるのって本当に有難いなと思います。

新年度、変化はありましたか?

心機一転、あと3年頑張ります

心機一転、あと3年頑張ります

中川さん:森館長のお仕事や、図書館の様子は この春から何か変わりますか?

:県立図書館では、産休育休明けの方がいたり、交流研修で松本市図書館に行っていた方が2年ぶりに戻ってきたり、初めて図書館で働くという方もいて、新しくお迎えした仲間が沢山増えました。どうしても年度初めはバタバタしてしまいますが、忙しい中でも安心して働けて、やりがいや楽しみがある職場でありたいと思っています。

実は、私自身も大きな転機がありました。もともと大学の図書館に就職してあちこちの大学でお世話になりましたが、信州大学の図書館(松本キャンパス)に来た時のご縁で、県立図書館に来たのが、ちょうどコロナ禍が始まった2020年の4月でした。もう7年目になるんですよね。単身赴任も、信州大学の頃から通算して、10年目になりました。

お仕事の本籍は大学の方に置いたままで、いずれは大学の方に戻る予定だったんです。でも、いつまでか。ということははっきり決まっていなくて。でも、役職定年までせめて3年は残していないと浦島太郎状態で却って迷惑をかけてしまうと思っていたので、この春に戻るのが最後のチャンスだと思っていました。

でも、とても有難いことに「ぜひ続けてください」と言っていただけて。私は今、57歳なんですが、役職定年まであと3年間、続投させていただくことになりました。

ということで、大学のほうは完全に辞めて、本格的に(?)長野県の職員にならせていただきました。FMぜんこうじのリスナーの皆さまを始め、長野県の皆さま、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

中川さん図書館や本のことはもちろん、聴いてくれる方たちに、大切なことを軽やかに伝えていけたらと思います。よろしくお願いいたします!

 仕事の転機・人生の転機に

 中川さん:さて今日の話題は?

本日ご紹介する本たち

本日ご紹介する本たち

:この話の流れで、お仕事の転機、人生の転機について考えてみたいと思います。実は、この春、中川さんと私の共通の知人の方、とてもエネルギッシュで素敵な女性の方が、長年勤められた会社を辞めて、独立されたんですよね。年度末に図書館を尋ねて来てくださった時、「転勤のごあいさつ」だと思ったら「辞めるんです」と。驚きました。

私もそうですが、長く組織に属していると、その環境から外に出て一人になるのって、ものすごく勇気がいりますよね。でも、その方はとても生き生きとされていて、不安もちょっぴりありつつも、新しいチャレンジに 一歩を踏み出されたワクワク感にあふれていて、眩しいほどでした。

 中川さん:いろいろ思うこともあったと思いますが、前を向いて歩き出されましたね。森館長と会ったとき、力強いメッセージをいただいたと言っていましたよ。

 森:中川さんも、以前勤めておられた会社のお話を伺ったことがありますが、どんなお気持ちでしたか?

 中川さん:歌うこと、しゃべることはずっと続けていたんですが、OLにも憧れて。二足の草鞋を履いていたんです。どちらも楽しくて。19年間続けて、辞める時は「自分に何もなくなってしまうのでは?」という不安も感じました。一方で「今決心しなければ、いつまで続けるんだろう」という思いもあって。今になって思えば、あと10年早く決心しても良かったと思うけれど、いただいたものも多くて。それがあったから今があると感じています。

:解る気がします。私も、大学図書館で得られたこと、与えていただいたものは大きかったです。このタイミングには、何か「必然」を感じますね。

 中川さん:森館長がよくおっしゃる「恩送り」 していけたら良いですね。

今月のおすすめ本一人だけれど、独りじゃない」

『たくさんのドア』

『たくさんのドア』

森:お仕事や人生の転機には、これからチャレンジする仕事に関係する、資格の本や実用書はもちろん役に立ちますね。「転職を考えたときに読む本」といったハウツー本や、自分の運命を感じるようなスピリチュアルな本もあります。新しいことにチャレンジしたいけれど、不安や迷いがあるときに読んでみたい本も、ありますよね。今日は、絵本、児童書、大人向け、3つの作品を持ってきました。

一冊めは、アリスン・マギーの『たくさんのドア』主婦の友社(2010年)。これから新しい世界に羽ばたく子どもたちの前には、たくさんのドアがあります。ドアを開くと、そこには楽しみや喜びがあふれています。でも、それだけではなく、苦しみや悲しみに出会うこともあります。そんな一人一人の子どもの姿に思いを寄せながら、世界をまるごと楽しんで、味わってほしいという願いが伝わってくる絵本です。

 中川さん:荒れた海に船を漕ぎ出すシーンもあれば、木の下で本を読んでいる穏やかなシーンもありますね。子どもには子どもなりの悩みや不安もありますよね。

:どんな時も大丈夫。見守っているよっていうメッセージ、ぜひ小さいお子さんと一緒に読んでほしいです。

『グリックの冒険』

『グリックの冒険』

:二冊めは、斎藤惇夫(あつお)『グリックの冒険』岩波少年文庫(2000年)。

主人公の“グリック”は、カゴの中で飼われているシマリスです。ある日、北の森で暮らす野生のリスたちの話を聞き、居てもたってもいられなくなります。カゴを脱走して、どぶねずみの“ガンバ”に助けられながら、途中で知り合った“のんのん”と一緒に北の森をめざします。“のんのん”は足を怪我していて、早く走れません。冬が近づき、命の危険も迫る中、「自分一人ならもっと早く行けるのに」と焦ったり、「迷惑をかけたくないから先に行ってほしい」など、いろいろな葛藤がありますが、最後まで二人で助け合って目的地を目指すんですね。

安全で快適。でもなんだか物足りない。「ここではないどこか」に、自分の本当の居場所があるんじゃないかという思いから、一歩を踏み出してみたものの、現実に打ちのめされ、自分のずるさや小ささに落ち込んでしまう。それでも、理想を目指して進んでいく、愛と冒険のファンタジーです。

 中川さん:深いですね!大人だってそういうこと、ありますよね。

:推奨年齢、小学校4,5年生からとなっていますが、本当に大人にも読んでほしいです。どぶねずみのガンバが主人公になる、続編(『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』、『ガンバとカワウソの冒険』)もあります。

『世界の果てのこどもたち』

『世界の果てのこどもたち』

:三冊めは、中脇初枝『世界の果てのこどもたち』講談社(2015)

表紙はとても美しい装丁で、3人の女の子が手をつないで輪になっている絵です。でも、中身はかなりシビア。主人公は、戦争中に満州で子供時代を一緒に過ごした3人の女性です。満州で家族と生き別れて中国残留孤児になった珠子。裕福な家に生まれた茉莉は、横浜の空襲で家族と死別し孤児院で育ちます。日本に併合された朝鮮人の美子(よしこ=ミジャ)は、戦後日本に渡り、在日朝鮮人として生きていきます。3人が満州で出会ったある日、洪水に見舞われ、廃墟のお寺で一夜を過ごします。食べものは美子(ミジャ)が持っていたおむすび一つ。美子(ミジャ)は一番小さい茉莉に「一番大きいかたまり」を、「次に大きいの」を珠子に分け与えます。この夜の出来事は、3人にとって生涯忘れることのできないものとなりました。

自分ではどうしようもできない、残酷な運命に翻弄されながらも、3人はそれぞれ自分の意志で生き抜き、数十年後に再会を果たします。再会できたのは、共通の想い出があったから。そして、迷いを振り切って、新しい世界に足を踏み出す勇気が持てたから、なんですね。

実はこの本、あらすじを読むと悲惨なので、買ったものの読む勇気が無くて、何年も積ん読状態でした。でも、今度、木曽の大桑村図書館で行われる「読書会」で取り上げられることになって読んでみたら、意外と読みやすかったです。たった数十年前に、本当にあった時代のお話。どこかに希望も感じらて、今現在やこれからを考えさせられます。本当に読んで良かったと思える本でした。

:共通するのは、「一人だけれど、独りじゃない」ということなのかな…と。「どれだけ独りぽっちだと感じても、別の存在がいる。それは、人間であるかもしれないし、動物かもしれないし、本かもしれない。図書館も、「一人だけれど、独りじゃない」場所の一つだと思います。一人で行っても、そこには誰かがいる。

(もしかしたら、ラジオもそうかもしれませんね。一人で聴いていても、誰かとつながっていて独りじゃない。そこに言葉があり、音楽がある…)

中川さん図書館、そうですね。一人で行っても安心感がありますリスナーの皆さまへお知らせ・メッセージをお願いします!

世界をひらく読書会@大桑村図書館

 森:さきほどご紹介した、大桑村図書館の「世界をひらく読書会」『世界の果てのこどもたち』は、4月18日(土)の午後2時~4時までです。案内人は、児童書の翻訳家で、大桑村在住のさくまゆみこさん。私も、すっごく行きたかったんですが、仕事が入っていて行けないんです。実は、大桑村図書館って、県内で一番新しい図書館なんですよ。FMぜんこうじのリスナーの皆さまには、ちょっと、かなり?遠いかもですが、ドライブがてら遊びに行っていただければ…。

そして、4月23日は、子ども読書の日です。図書館には、新しい世界に飛び出すか迷ったときや、お仕事の転機・人生の転機にある人に、そっと寄り添ったり、背中を押してくれる本が、きっとあります。お近くの図書館も、ぜひのぞいてみてください。

 中川さん:図書館のこと、本のこと、そして生きること…今年度も森館長とともに、考えていけたらと思います。

今年度も、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました!

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