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長野県山岳協会ニュース『やまなみ』にお薦め本を掲載していただきました!

みなさま、こんにちは。県立長野図書館の森です。

早いもので12月半ばとなり、コロナとともに始まった2020年度も9か月が経ちました。月に一回はブログの更新をしたいと思っていましたが、まだ6回目。しかも「山好き館長の信州便り」と銘打った割には、山の話題がほとんど出せていないことが気になっていたのですが・・・

このたび、長野県山岳協会ニュース『やまなみ』にお薦め本を掲載していただいたので、ご許可をいただき、転載させていただきます!

お薦め山の本

  • 『聖職の碑』新田 次郎 著(講談社)
  • 『ドキュメント 道迷い遭難』羽根田 治 著(山と渓谷社)

8年前、甲武信ヶ岳・釜の沢東俣を遡り、「両門の滝」を経て山頂に至る山旅をテレビで見たのが、始まりでした。滝つぼの碧に紅葉が映え、「山にはこんなに美しい場所があるのか」と驚きました。子供の頃は父に連れられて、四季折々、故郷の山に登りましたが、大人になって本格的に登山をしたいと思ったのは、これが初めてです。「両門の滝」へ行くには、ハイキングとは違って、きちんとした登山の技術が必要だと聞いて、地元の山岳連盟が主催する登山教室に入りました。冬山、春山、夏山、秋山を経て、雪山教室、沢登り教室に参加し、山を始めて4年目に「両門の滝」へ到達できた時の喜びは、何物にも代えがたいものでした。

釜ノ沢両門の滝

釜の沢両門の滝

釜ノ沢遡行

釜の沢遡行

登山が好きになってからは、山に関するエッセイや、山を舞台にした小説、登山技術に関する本も沢山読みました。憧れの山に登頂する達成感や、どこまでも伸びる山の稜線歩き、高山植物、山の動物たちとの出会いはもちろん、山がある地域の文化や歴史を知ることも、楽しみの一つです。

お薦め本の一冊目は・・・

新田次郎さんの『聖職の碑』です。映画化もされた名作で、ご存じの方も多いと思いますが、1913(大正2)年に伊那駒ヶ岳で起きた遭難を扱った小説です。本編の他に詳細な「取材記」が収録(注:講談社文庫版)されているのも興味深く、物語の背景となる当時の教育思想や、遭難のさまざまな要因などを丹念に調べ、真摯に執筆した作家の姿が浮かび上がってきます。極限の状況で、人はいかに生きるのか。深く考えさせられる作品です。

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