要は「書籍縦覧所」の収蔵本であることを示し、利用の案内が書いてあったのでした。
長野市大門町の會真堂という商家内に明治22年1月 に開かれた書籍縦覧所、私設図書館ですね。
毎日8〜17時開場、入場料3銭(御婦人小児は1銭5厘)で、一冊5厘〜10銭の貸料が定められていたようです。鉄道が整備されれば遠隔地への巡回もいたしますというようなことも書いてありますので、県内全域を相手に本を届けるつもりだったようです。
江戸時代から草双紙、読本、洒落本などの主に読み物、娯楽本を貸し出す貸本屋は存在しましたので不思議はありません。しかし、「信濃の灯台」「知識を運送する世界第一の良港」「放蕩心を修復する万国一の造心所」というキャッチフレーズは、どこか商売の下心を感じさせつつも、崇高な使命を自負するようでもあります。
文明開化の新時代、日本の印刷、出版が近代化され、活字活版印刷の洋式な本に転換しようというこの時期に人々が何を伝えようとし、何を知ろうとしたのか、興味深いことです。
ちなみに、時を同じくして教育界でも「書籍縦覧所」を設置する動きがあり、この時代には官の側からも民の側からもこうした動きが生まれていたことになります。
「図書館」という名称が一般的になるのは明治32(1899)年に図書館令が交付されてからになります。
そうそう、整備中の3階信州・学び創造ラボにはこうして切り出した本たちで信州の知の流れを展示して、わたしたちがどこから来てどこへ行くのか見て感じていただくコーナーも作られます。
どうぞお楽しみに。
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