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【休館10日目】「中村家文書」は故郷・信濃町へ里帰り

当館でも、かつては多くの古文書を所蔵していました。

昭和4年(1929年)の創立以降、収集に力を入れていた郷土資料として特別室に陳列した古文書・絵画等もありましたが、多くは昭和30年代から50年代に購入したり寄贈を受けたりした、「○○家文書」のような家名が付けられたものです。

その一つに「中村家文書」があります。

「中村家文書」は、昭和38年(1963年)3月に、上水内郡信濃町の中村六左衛門氏から寄贈を受けたものです。

この文書は、北国街道柏原宿(現上水内郡信濃町)の本陣問屋を兼帯した中村家の旧蔵文書で、文書の作成時期は近世初期、慶長15年(1610年)から昭和25年(1950年)までの長期に及ぶものです。本陣を務めたという同家の性格上、交通・輸送史料が多数を占めるほか、慶安から元禄期にかけての黒姫山山論文書や絵図、村政史料、文化史料等が含まれています。

現在の千曲市(当時:更埴市)に長野県立歴史館が完成した平成6年(1994年)に、『信濃史料』や『長野県史』編纂のために収集された史料などと併せて閲覧利用できることの利便性や、当館での古文書保管の環境が必ずしも良好と言えないこともあり、上記の多くの文書類は、収蔵庫を完備した同館へ移管されることになりました。

しかし、中村家文書だけは1990年代初めから信濃町への返還の要望が挙げられていたこともあり、移管が行われませんでした。

その後、平成15年(2003年)4月に信濃町の一茶記念館が新館となり保存環境が整ったこと、県立歴史館も文書保存の現地主義を明確にしたこともあり、同文書は信濃町へ返還(譲与)されることになりました。

今回、11月29日に信濃町から中村家の現当主の方と教育委員会の職員お二人が来館され、史料をお持ち帰りになりました。55年の長きにわたり当館で保存してきた文書との別れとなり、さびしさを感じつつ地元での新たな活用を喜びたいと見送りました。

それに先立ち、当館職員は数日かけて目録と現物の照合を行いました。

普段古文書に触れる機会が少ないのですが、作業を行った職員によると、和紙の丈夫さに感心したり、当時の訂正方法を知ったり、交通関係の真面目な文書が続いた後に落書のようなユーモラスなものが挟まれているなど、内容の多様さへの驚きなどが印象に残ったようです。

なお、県立歴史館は上記の現地主義に沿い、現物ではなく同文書をマイクロフィルム化して保存しており利用可能です。

当館でも多くのこの文書に含まれるかなりの点数をデジタル化し、「信州デジくら」(当時)で公開しています。(「信州デジくら」は2020年4月から「信州デジタルコモンズ」へ移行しました。)

 

休館に伴う作業は新たな段階へ入りました。その内容は次週のブログで紹介します。

▼休館の詳細についてはこちらをご覧ください

「信州・学び創造ラボ」整備に伴う長期休館のお知らせ

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