長野県で誕生し育まれた優れたブランドを表彰する「信州ブランドアワード」。
「ゼロカーボン」がテーマの「しあわせ信州」部門と「NAGANO GOOD DESIGN」部門の各部門の大賞を受賞した2社を、各部門賞の中より4社をご紹介します。
株式会社筒けん 代表 清水 悟さん
子どもから大人までが楽しめる、信州発の新しいスポーツ・トイが生まれました。
その名も「筒けん」。コンコンコンコンとリズミカルな音とともに、「筒けん」を操って見せてくれるのは株式会社筒けんの代表で、日本けん玉協会公認指導員でもある清水悟さんです。
「筒けん」は、丸い筒と砂の入った玉がセットになったシンプルなおもちゃ。
糸の無いけん玉ともいえますが、遊んだ感覚はまるで別物です。
本体と玉をつなぐ糸がないので動きに制限がなく、砂の入った球と筒のおかげで簡単にキャッチでき、1人でも複数人でも手軽に楽しめることから、さまざまな方面で注目を集めています。
きっかけはたまたま手にしたポテトチップスの筒とジャグリングボール
「筒けん」開発のきっかけは12年前。清水さんは当時保育園の年長だったお子さんと一緒にけん玉教室に通い始め、どんどんのめり込んでいったそう。
サラリーマンとして働くかたわら、段や指導員の資格をとるまでけん玉を極め、講師としてけん玉教室などその楽しさを伝える活動にも携わるようになった清水さん。やがて「けん玉って難しいからやりたくない」と感じてしまう人でも、けん玉を楽しんでもらえるよい方法はないかと考えるようになりました。
ある日、たまたま筒状のポテトチップスの容器と、ジャグリング用の玉を使ってけん玉の動作を試してみたところ、非常にキャッチがしやすく、これならけん玉に苦手意識を持つ人でも楽しめるのではと閃いたそう。
だんだんと多くの人から筒けんを試してみたいとの要望を受けるようになり、樹脂の筒と砂の入った玉の組み合わせで商品化に向け動き出しました。
形こそ決まっていたものの、筒の材質や玉の重さなど、試行錯誤が続き、試作品の数は200以上に上ったそう。納得のいく形状や材質に巡り合い、準備が整った2021年6月、脱サラして株式会社筒けんを創業しました。
「きっかけは、けん玉を上達させるための道具でしたが、筒けんは、たくさんの人に『できた』を感じてもらうことができる。いろんな技ができるようになって嬉しいとか、自己肯定感をアップすることもできるんじゃないかと思っています」と語る清水さん。
「筒けん」の普及活動に取り組む日々が、厳しくとも充実したものであることがその笑顔に表れています。
子どもからシニアまで
その手軽さから小学校でも採用されている「筒けん」。昨年には、上田市内の小学校の運動会で県歌「信濃の国」に合わせてダンスと「筒けん」を組み合わせて踊る「筒けんダンス」が4年生の児童により発表されました。
プロの振付師がつくったダンスの動きに、児童がかっこいいと思う「筒けん」の技を取り入れたオリジナルのパートもあり、発表は保護者をはじめ、多くの人に好評だったと清水さんはより自信を深めたそうです。
さらに筒けんで遊ぶことは、「スクワット運動による足腰の強化」「バランス感覚向上」「集中力アップ」、さらに「脳の活性化」にもつながることがわかり、今では、高齢者の施設でも採用されるまでに広がりを見せるように。
実際に試してみると、ほんの数分やるだけで体がポカポカと温まってきます。
「キャッチしようとするとき、無意識に膝を上下に動かしてスクワット運動しているからなんです。けん玉も同じように膝が大事なんですが、意識しないとなかなかできない。でも筒けんだと自然と膝が動くんですよ」と清水さん。
子どもからお年寄りまで、簡単に楽しめ誰もが「できた!」を実感できるハードルの低さ、さまざまな遊び方がある奥行、一人でも大人数でも楽しめるという広がりが評価され、信州ブランドアワード2021のNAGANO GOOD DESIGN部門のほか、昨年11月には遊びのスペシャリストの投票で決まるおもちゃの賞制度「Good Toy Award 2021」で多世代交流賞を受賞しました。
これから作業療法士の人にもアドバイスをもらって、高齢者のリハビリ用途や運動機能向上といったところでも使えるよう準備を進めているのだそう。
ふと手にしたポテトチップスの筒という身近にあるものから発想を得た筒けん。その可能性は無限大です。
※この記事は2022年5月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください
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