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かつてその国であそんだ子どもと、これからその国であそぶ子どもたちに(FMぜんこうじ「図書ナビ」第31回)

旅先は、長野市にある長野県障がい者福祉センターSUNAPPLE県立長野図書館有明高原寮(安曇野市)、NPO法人グリーンウッド自然体験教育センターによる泰阜中学校学習支援(泰阜村)、交流拠点シラネバ(根羽村)の5ヶ所。泰阜村は公共図書館がない自治体さんで、中学生にとって身近なところに本を置きたいと言うことで、放課後の学習の場に、置いてもらうことになりました。

有明高原寮は、塀が無いことで知られる少年院です。実は先日、安曇野市図書館の司書さんたちと一緒に有明高原寮を訪ねて、本にカバーをかけるワークショップを行ったんです。少年たちにとっては社会貢献活動の位置付けなんですが、みんな本当に一生懸命、丁寧に作業してくれて嬉しかったです。自分がカバーをかけた本には愛着がわきます」とか、「寮に入ってから本が好きになりました。早く本を読みたいです」とか、「本は大切なものなので、カバーをかけることができて良かった」など、沢山、感想を言ってくれました。

中川さん:皆さんの感想が、ジーンと心に滲みますね。本に接することができたことはもちろん、誰かの役に立てることも…

森:私達の方こそ「良い経験をさせてもらえたなぁ」と、感謝の気持ちでいっぱいでした。これからも、普段、本に接する機会が少ない場所に本を届けられたら良いなと思っています。

本をきっかけに、よみがえる思い出

中川さん:今日のおすすめ本、お願いします!

森:今回は、石井睦美さんの作品を3冊持ってきました。石井睦美さんは児童文学作家で、今年度の長野県図書館大会(佐久大会)で講演をしてくださることになっているんです。(去年の須坂大会は、『魔女の宅急便』の角野栄子さんでしたね。)石井睦美さん、小学校の国語の教科書に作品が掲載されているそうなんですが、私はあまり読んだことがありませんでした。でも、県立図書館で、70冊以上も持っていました。

『ふゆのコートをつくりに』

1冊目は、『ふゆのコートをつくりに』ブロンズ新社(2022)という絵本です。
昔、お母さんが着ていた真っ赤なコートを、仕立て直してもらう女の子のお話。お母さんはどんな風にこのコートを着ていたか。女の子は、コートを着て何をしたいか…。仕立て屋さんがいろいろ聞き取って、とっても可愛いいケープを作ってくれるんです。絵に温かみがあって、とっても可愛いいんですよね。県立長野図書館の司書さんも「おススメです!」とのこと。中川さん、子どもの頃、お母さまが着ている服に憧れを持ったことってありますか?

中川さん:憧れ…なのかな。昔、母が黒の七分袖に真っ赤な薔薇がプリントされたTシャツを着て、ジーンズ(デニム)を組み合わせて着ていたのが、すごく印象に残っています。あとは、お裁縫がけっこう好きで、私と妹に、ビキニの水着を作ってくれたことがあったなーって、今、すごく思い出が湧き出してきました。

森:わぁ、お母さま、オシャレですね!私も母に「大人になったらこの服、私にちょうだい!」なんて、よく言っていました。母は「あなたが大人になる頃には、もう流行遅れになっているかもよ」と笑っていましたが…(笑)。母が亡くなる前、着物をたくさん譲ってもらったんです。まだ手付かずですが、少し時間に余裕ができたら、着物としても楽しみたいし、何かに仕立て直しても良いかもしれないと思っています。

『パパはステキな男のおばさん』

中川さん:印象に残っているお着物、ありますか?

森:藍色の紗の着物!実は、言うほど涼しくないんですが、見ためがとても涼しげで。

2冊目は、『パパはステキな男のおばさん』BL出版(2011)という、ちょっと不思議なタイトルの本。主人公の子どもの家では、お母さんが働きに出て、お父さんが家のことをしているんです。でも、授業参観にお父さんが来てくれたり、「お母さんの役割」「お父さんの役割」という話題で「うちは皆んなの家と違うんだ」と悩むんですね。お友達に「ちょっと変!」と言われたりして。15年くらい前の作品ですが、まだ男女の役割が固定化されていた頃でしょうか。「何が普通なのか」という意識は変わってきていると思うのですが…。こういう作品も書かれているんですよね。

『つくえの下のとおい国』

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