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「大切な人に幸せでいてほしい」人類に共通の想いを込めて(FMぜんこうじ「図書ナビ」第29回)

本日ご紹介する本たち

本日ご紹介する本たち

みなさま、こんにちは。県立長野図書館の森です。FMぜんこうじの「ひるどきもんぷらワイド」、 2025年8月12日(火)に放送された「図書ナビ」コーナー、第29回目の内容をご報告します。オープニングの一曲は、フランク・シナトラの『カム・フライ・ウィズ・ミー』(YouTube)。♪Come fly with me, let’s fly away(さあ一緒に空の旅へ 飛ぼう 飛んで行こう)「もし長い休みがあったら、世界中を旅したくなりますね。」という中川さんのことばに誘われて、今日も楽しくトークが始まりました。

夏は特別な時間

中川さん:今年の暑さは一層厳しいですが、ここ数日は雨が降って少し涼しいですね。

森:雨のおかげで田んぼの稲が青々と元気に茂って、ホッとしています。災害になってしまったところもあって、心配です。ほどほどに降ってくれると良いのですが…。

中川さん:夏と言えば、休みを楽しむ子ども達を見ると自分のその頃を想い出したりして、「夏」とか、「お盆」って独特なものがありますよね。

森:本当に。私は長崎の生まれなので、子どもの頃、夏といえば、海でした。家から一つ山を越えると、誰もいない海辺があって、磯にいろいろな海の生き物を囲い込んだりして遊んでいたのを覚えています。母の実家に遊びに行くのも恒例でした。お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、両親、兄たち。昼はプール、夜はトランプ。本当に、「夏」って特別な時間ですね。

中川さん:ご先祖さまのことを想ったり。お祖父ちゃん、お祖母ちゃんの存在は欠かせませんね!

謎解きゲームの「スタンプカード」と謎

県立長野図書館の夏休み企画「ナツトショ」!

中川さん:「ナツトショ今年も開催されたんですよね?

森:今年も「謎解きゲーム・図書館探検大作戦」と「図書館バックヤードツアー」に、多くの方がご参加くださいました。館内を歩いていると、子どもたちが張り切って、館内を駆け回る姿に出会えました。「謎解きゲーム」は、小学生向けのイベントなんですが、普段子どもが行かないエリアにも謎が仕込んであるんです。
今日は、「スタンプカード」と「謎」が書かれたカードを、特別に持ってきました!図書館の司書さんが扮する「地図の番人」からミッションを受け取って、1つ謎を解くと次の謎が指示されるという作りです。いわゆる「脱出ゲーム」の一種なんですが、そこは図書館らしく。子どもの百科事典『ポプラディア』を調べながら、謎を解いていきます

エノコログサは何と呼ばれる?

我が家の猫も大好き!「エノコログサ」は何と呼ばれる?

例えば、「エノコログサはネコを遊ばせることから、何と呼ばれている?」は、難易度1。「ひょっとこは、どんな表情を面にしたもの?」は、難易度3。参加してくれる子どもたちの学年を見ながら、手渡す謎の難易度を調整しているんです。「ひょっとこ」はたぶん、小さい「よ」や「つ」が入っているから、見つけるのがちょっと難しいんですね。リピーターになってくれる子どもたちもいるそうで、そういう子にはちょっと難しい謎を出したり。

中川さん:大人でもちゃんと調べられるかな?と、ちょっとドキドキしちゃいますね。

森:実際、大人の方も参加されるようですよ。答えは、百科事典の何巻の何ページで見つけたかを、書くようになっているんです。本の「目次」や「索引」を使いこなしたり、いつの間にか「図書館」の使い手としてレベルアップ出来ちゃうんです。

中川さん:愉快でもあり、勉強にもなり、そして普段は使わない所を使いそう。

森:手足も動かす。ということで、折紙を折る指令も出るんです。

中川さん:「夏の朝に咲くよ。昼になるとしぼんじゃう」という謎を解いて、〇〇〇〇を折るとか。

森:5つの謎を全て解いたら、宝箱を開けてプレゼントをゲット。沢山の子どもたちが楽しんでくれました。

戦後80年に「知る自由」を考える

戦後80年特別企画

戦後80年特別企画

中川さん:さて、今日の話題は何ですか?

森:今年は、戦後80年ですね。県立長野図書館では、今、戦後80年特別企画「読ませなかったもの と 読ませたかったもの-戦時下における『読書指導』を通して『知る自由』を考える」という展示をしています。

中川さん:読ませなかったもの」と「読ませたかったもの」ですか・・・?

森:読ませなかったもの」というのは、いわゆる検閲で、発行禁止になったり、閲覧禁止になったものですね。検閲自体は明治期からありましたが、戦争前から戦争中にかけては、特に厳しく規制されました。県立長野図書館には、1944(昭和19)年までの約20年間に、発行禁止・閲覧禁止とされた本の記録が残されています。時の政府の検閲によって、伏せ字になったり、破り取られたり、警察に接収されたり。図書館が自ら閲覧禁止にしたとみられる本もあります。「表現の自由」そして「知る自由」がだんだん失われ、やがて戦争に突入して行くんですね。10年前の戦後70年特別企画の展示資料を今回も展示しています。

一方で、今年のメインの展示「読ませたかったもの」は、いわゆる「読書指導」です。日中戦争の勃発(1937年)以降、言論や思想の統制が強まっていく中、各府県には中央図書館が置かれました。長野県では、県立長野図書館が中央図書館に指定され、国の挙国一致の方針に従って「読書指導」を繰り広げたんですね。
読書会指導要綱』というマニュアルに沿って、県内の農村図書館や青年会、工場などに「読書会」が設けられました。当時の価値観においての、「愛国心」や「護国:国の守り」について書かれたもの、万葉集などの古典から実用書まで、さまざまな本が推奨されました。

「読書会」は今でもありますし、一人で読むだけではなく、みんなで読み合うことの大切さ、良い効果もたくさんありますよね。ただ、何を、どう読むかは、一人一人の「知る自由」に関わってきます。
図書館はこういった過去の資料をしっかりと保存し、皆さんに見ていただき、現在、そして未来を考えるきっかけにしていただけたら良いなと思っています。

中川さん:お話を聞いて、ふっと思ったのですが、「読ませなかったもの」と「読ませたかったもの」は、一見違うものに見えて、実は同じ方向性を持つように感じました。

森:まさにおっしゃる通りですね。「読ませる」「読ませない」は、表裏一体で、いわば「読ませる側の歴史」だと思います。一方で、「読む側の歴史」というのもあります。最後に詳しくご紹介しますが、読者にフォーマスを当てて研究している方から、講演をしていただこうと思っているんです。

中川さん:この時代に、読者一人一人が持つ考えは、多様で良いんですね。

今月の一冊:大切な人に幸せでいてほしいという想いを込めて

中川さん:今月の一冊をお願いします!

『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは』

『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは』

森:今日は、絵本『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは』童心社(2025.7)を持ってきました。
この本は、原爆を体験した子どもたちの作文をまとめた本『わたしがちいさかったときに』から、改めていくつかの作文を取り上げたものです。例えば、被爆したとき5歳だった女の子が、小学5年生の時に作文を書いて、そして今年、85歳の今、その時のことを振り返る文章を書かれています。
そして、戦後生まれのアメリカの詩人、アーサー・ビナードさんが、ヒロシマ・ナガサキのことをどのように自分ごとにしていったのかというお話や、詩も掲載されています。中川さん、詩の一節を読んでみていただけますか?

中川さん
時計がとまっている ここらへんの時計は みんな あさ8時15分にとまったという
時計がとまっている そんな時計が世界から消えても あした太陽はのぼるし、この川も海へながれる
ずっとむこうに、こわれた時計のむこうに とまらないぼくらが見えている

森:ありがとうございました。本の帯にはこんな言葉が。「時計がとまってもわたしはとまらない。あの日のあの人に会いたい。」あの日の出来事が、ずっと昔に終わってしまったことではなく、現在にもつながっていることを感じさせられますね。辛い内容ではあるのですが、いわさきちひろさんの美しい水彩画がとても印象的で、救いになります。「大切な人に幸せでいてほしい」という想いは、人類に共通のもの。そんなことを感じさせてくれる本です。

中川さん:本当に温かみのある絵が素敵です。そして、手元に置いておきたいと思える本ですね。

リスナーの皆さまへのご案内・メッセージをお願いします!

『戦下の読書ー統制と抵抗のはざまで』

森:本日ご紹介した企画展示は、9月25日(木)まで開催中です。

そして、9月7日(日)午後、『戦下の読書 ―統制と抵抗のはざまで』講談社(2025.7)の著者、早稲田大学の和田敦彦さんを講師にお招きし、フォーラムを開催することになりました。こちらもぜひ、ご参加いただけたら嬉しいです!

図書館はクールスポットになっているんですが、設備が古いこともあって、どうしても暑いと言われてしまうんです。扇風機を増やして、なるべく皆さんに快適に過ごしていただけるよう、頑張っています

謎解きゲームのイベントはもう終わりましたが、百科事典を使った謎解きはいつでも挑戦できますよ。夏休みの課題の参考になりそうな本も展示中です!

中川さん:謎解きをきっかけに、夏休みの課題を思いついたりもできそうですね!静かに自分を見つめる時間を過ごしたり、いろいろな発見をしに、みなさまぜひ、図書館へおでかけください。

森:今日もありがとうございました!

県立長野図書館「ナツトショ」はこちらのブログで詳しくご紹介しています↓

【ナツとしょ2025】図書館夏のイベント開幕!

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