2024.04.09 [ 山好き館長の信州便り ]
こどもの読書週間に寄せて(FMぜんこうじ「図書ナビ」第13回)
中川さん:新しい人たちのパワーをもらって、これからの展開が楽しみですね。今日はどんな話題から入りましょうか?
今回の話題は「こどもの読書週間」
森:今日は、「こどもの読書週間」を取り上げたいと思います。
「読書週間」といえば、「読書の秋」とも言われるように、秋のイメージがありますよね。図書ナビでも、10月に話題になりました。
春は、「こどもの読書週間」があります。期間は、子ども読書の日に指定されている、4月23日から、5月12日まで。
2024年のキャッチコピーは、「ひらいてワクワク めくってドキドキ」。ポスターは、たくさんの本を抱えた女の子のイラストで、開いた本からは、汽車ポッポが飛びだしています。
中川さん:ポスターのイラストの女の子、本当にたくさん本を抱えていますね。ワクワクが伝わってきそうです。
4月2日は「国際子どもの本の日」
森:今日は、『子どもの本で平和をつくる』という、本を持ってきました。ドイツ生まれのユダヤ人、イエラ・レップマンさんの伝記です。
扉にはこう書いてあります。「この混乱した世界を正すことを、子どもたちからはじめましょう。そうすれば、子どもたちがおとなたちに、すすむべき道を示してくれるでしょう」…この言葉から、どんなことを感じますか?
中川さん:ふつうは、大人がいつも子どもに道を示すというか、指導するイメージがありますが。よく考えてみると、子どもたちに教えられることもありますよね。
森:本当にそうですよね。ここでいう「混乱した世界」とは、第二次世界大戦のことです。第二次世界大戦中、ヒットラー率いるナチスドイツでは、ホロコーストによって、ユダヤ人や、ナチスから「役に立たない」とみなされた、数百万人もの人々が犠牲になりました。
また、ナチスの考えに合わない本は、図書館や、本屋さんや、家からも持ち出されて、燃やされてしまいました。
イエラさんは、一旦ドイツ国外に避難しますが、1945年に戦争が終わって、国に戻ります。そして、戦争のせいで、辛く悲しい経験をしたドイツの子どもたちを、助ける仕事をしたいと思ったそうです。イエラさんは、子どもには、食べものと同じように、本も必要だと信じていたんですね。
子どもの本は、人々が理解し合うための「架け橋」になると信じたイエラさんは、世界中から子どもの本を集めて、展示会を開こうと考え、20カ国に手紙を送ったそうです。「戦争でドイツの敵だった国々が、本を送ってくれるはずはない」と、多くの人が考えましたが、19カ国からは本が送られてきたそうです。残りの1つの国からは手紙が届きました。そこには、こう書いてあったそうです。
「私たちは、二度もドイツに攻め込まれたのです。残念ながら、あなたの希望に沿うことはできません」と。
そこで、イエラさんはもう一度、その国に手紙を送りました。
「ドイツの子どもたちに、新たな出発をさせてやりたいのです。他の国々から、届いた本を見ることによって、子どもたちは、おたがいにつながっていると感じるでしょう。戦争が、再び始まらないようにするには、それが一番ではないでしょうか」
すると、その国(ベルギー)からも、素晴らしい本のセットが送られてきたそうです。これらの本は、4,000冊にもなり、1946年には、ドイツ国内で巡回展示されました。そして、これがもとになって、国際児童図書館が作られ、今では、130以上の異なる言語の本が、60万点以上、所蔵されているそうです。
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