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”農業を次の世代にバトンタッチするために(1)”

I♥信州(あいラブしんしゅう)
農業を次の世代にバトンタッチするために(1)
~山が見える里に住み、自然に寄り添う田舎暮らし~

「I♥信州」は、長野県外から信州へ移住された方に、移住のきっかけや信州での暮らしの様子をお伺いし、長野県の魅力をさらに伝えていこうというコーナーです。

第21回目のI♥信州は、2006年に埼玉県越谷市から小県郡長和町に移住された渡邊黎(レイ)さんご夫妻にお話をお聞きしました。

渡邊さんは現在、長和町で稲作に取り組む傍ら、地域内の日々の出来事などを綴った「長和町だより」を発行し、積極的に地域のみなさんとコミュニケーションを図っています。

メジロやヒヨドリなどの野鳥が訪れる渡邊さん自慢の古民家で、長野県へ移住されるまでの経緯をお聞きしました。


<セカンドライフは想い入れのある土地で>

渡邊さんは長和町に移住されてから今年で8年目を迎えます。

大学卒業後、東京都職員として20年勤めましたが49歳で早期退職。後は、バードカービング(野鳥の木彫芸術)や障がい者施設、大学予備校講師と職を変えながら、生活していました。

渡邊さん:「事務仕事が性格に合わなくてね。根っからの野人・肉体派なもんですから。都会暮らしも合わないんですよ。人が多過ぎるし、首都圏直下型地震もあるでしょう。定年を迎えたら田舎に移住しようと妻と決めていました。妻が定年になった翌年(2005年)9月、介護していた父が他界しましたので、その年の10月から移住先を探し始めました。」

1ヵ月の間に宮城県仙台市泉区、福島県南相馬市、いわき市などを見て回り、11月に長野県を見て移住を決めたのだそうです。

若い時から登山を続けてきた渡邊さん、長野県には数えきれないほど来ていましたが、移住先は長野県の中であれば塩田平・青木村と決めていました。
高い山は登っても眺めても良いですが、日々暮らすにはもっとたおやかな景観の方が良い…その点、塩田平と周囲の山々の眺望は最高!渡邊さんの理想の移住地でした。

ところが、青木村は田舎暮らしを望む方々にとっても人気のある土地、青木村では適当な物件は見つからず、不動産屋さんから「この近所に築百年の古民家があるけど見ませんか」と紹介されたのが現在お住まいの家。同じ上小地域にある長和町でした。
空き家になって30年余り、当時は廃屋同然。しかし、屋根だけは所有者が最近葺き替えたため新しく、渡邊さんは「この家なら自力で直せるかもしれない」と考えたのです。ことに巨大な自然木を使った横梁・小屋組みにすっかり一目ぼれ。「塩田平の景観より古民家の自力大工の方が面白そう」と、即決。翌2006年5月に正式に購入、長和町での田舎暮らしをスタートさせました。

<築100年の古民家を自分達の手でリフォーム>

自称「肉体派」の渡邊さんによれば、「大工は一生で一度はやってみたかった憧れの仕事」。
自力での古民家のリフォームに迷いはありませんでした。

購入の翌6月から、越谷と長和町を往復しながら家の中に放置されていた大量の家具等の処分。

渡邊さん:「本当は撤去を購入条件にすれば売主がやってくれるんですが、何か面白いものでも残っていないかなと思って。でも、残念ながら「下駄スケート」くらいでめぼしいものはなかったんですよ。」

次いで、家の中に降り積もったと空き家30年分の土埃の掃除。10月からは水洗トイレ作り。厳冬期はお休みして、翌2007年4月から車庫・兼資材倉庫の新設。この車庫は建坪7.5坪の本格的木造だったため、大工仕事はまったくの素人だった渡邊さんは本体リフォーム工事の練習、と取り組みました。
同年8月からいよいよ本体のリフォーム工事に着手。中・東信地方の古民家は天井が低いため、家全体の床を10cm下げる工事から開始し、一部にコンクリート布基礎を設置、大引き・根太をすべて新設しました。断熱材を入れ、コンパネ(下地材)を張り終わって、次は1階の間仕切り壁および階段の新設の段階にまで進みました。


上を上げられないなら下を下げる!天井の低さが解消され、快適な居住空間になっています。
冬はじんわりとした温かさが続く薪ストーブで暖をとります。

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