2025.09.12 [ 山好き館長の信州便り ]
読むこと・語ることは人生の彩り!(FMぜんこうじ「図書ナビ」第30回)

今日ご紹介する本たち
みなさま、こんにちは。県立長野図書館の森です。FMぜんこうじの「ひるどきもんぷらワイド」、 2025年9月9日(火)に放送された「図書ナビ」コーナー、第30回目の内容をご報告します。オープニングの一曲は、The Jackson 5の『I Want You Back』(YouTube)。「♪君に戻って来てほしいんだ」軽快なリズムとは裏腹に、ちょっと切ない歌詞なんですね。
今日は「食べ物を大切にする日」
中川さん:9月ですがまだまだ暑い日が続きますね。ところで今日は 「食べ物を大切にする日」なんですが、森館長、何か工夫されていることなどありますか?
森:工夫していること、2つあります。「使い切り」と「冷凍」です。
私は単身赴任の一人暮らしで、しかも通勤に2時間かかります。なので、平日の夜に料理をするのは諦めているんです。お休みの日に1週間分の買い物をして、作り置きをするんですが、同じ食材で別の味のものを作ると飽きないし、すごく楽です。例えば、豚肉と玉ねぎを炒めて、片方はキャベツを加えて中華風にホイコーロー。片方は大豆を加えてトマト味のポーク&ビーンズにするとか。
中川さん:美味しそうですね!
森:何を作るかイメージして、買った食材は週末になるべく「使い切る」ようにしています。例えば生野菜だったら、朝食でパパっと食べられますが、お肉やキノコ類など、火を通さないと食べられない食材を残すと、結局、1週間、冷蔵庫に眠ったままになって、「ごめんなさい…!」ということになってしまうんですよね。
中川さん:ありますよねーー!
森:もう一つの工夫は、フタつき容器で小分けにして「冷凍する」こと。作り置きしたものは数日分なら冷蔵庫に入れますが、沢山できた場合は冷凍庫へ。ご飯も、四合を一度に炊いて、8つに小分けして冷凍します。食べ過ぎ防止になるし、電子レンジで炊き立てみたいに美味しく温められます。要は、「手抜き」ですね。結果的に「食品ロス」が防げている、という感じです(笑)
中川さん:「手抜き」…というか「手間抜き」ということでしょうか。大切ですよね!
「読書会」の昔と今を考える

講演者の和田先生(右)とコーディネータの渡邉先生
中川さん:さて、今日の話題は?
森:「読書会の昔と今」を考えてみたいと思います。
2025年9月7日(日)、戦後80年特別企画「読ませなかったもの と 読ませたかったもの-戦時下における『読書指導』を通して『知る自由』を考える」講演会で、早稲田大学の和田敦彦先生に、「読者の歴史」に焦点を当てて、お話をしていただきました。
中川さんは、「読書会」というと、どんなイメージを持っていらっしゃいますか?
中川さん:そうですね。少し難しいもの、というイメージがあります。話す側と聞く側に分かれてしまうというか…。
森:なるほど、そうかもしれませんね。戦前・戦中は、“お国のために“という報国精神が大切にされていました。いわゆる「思想善導」で、「読みたい本」よりも「読ませたい本」を。ある意味、「読まされていた」という状況がありました。

フォーラムの様子
そこに、図書館がずいぶん力を入れていた…という歴史的な事実もあります。例えば、『読書会指導要綱』のようなマニュアルを作ったり、モデルとなるような「読書会」を指定して、補助金で本を揃えて、地域の読書会に送ったりしていました。
県立長野図書館の第2代館長だった乙部泉三郎さんが残された資料をご遺族の方が寄贈してくださったのですが、当時、読書会の指導者から乙部館長に寄せられたお手紙も残されているんです。とても貴重な史料です。
中川さん:お手紙には、どんなことが書かれていたんですか?
森:「読書会のメンバーはとても熱心でレベルも高い。このままだと一般と乖離してしまうかも」…という悩みが綴られたりしています。取組を拡げるための活動なのに、困っちゃったなぁと。和田先生の本『戦下の読書 ―統制と抵抗のはざまで』講談社(2025)には、実際に読んだ作品について、読書会で感想を述べている文章も紹介されています。戦意高揚や富国強兵的な内容の本ばかりかと思いきや、『万葉集』や地域出身の作家の本を取り上げていることも多くて、実際の雰囲気は文芸的な読書会だったのかもしれないですね。

『戦下の読書』
森:和田先生からは、その頃、各地で行われた「読書調査」のお話もありました。愛読書とか、よく読む雑誌、などですね。「読書調査」の実態を研究することで、その時代の「読者の姿」が浮かび上がってくるのではないかと。そして、水道の蛇口に例えて「蛇口をひねれば水が出て来るように、本や資料がいくらでも自由に読める」というのは、普通のことではないんだ。意識して守っていかなければ、「知る自由」というのは、簡単に失われてしまうおそれがあるんだ。というお話が印象的でした。
図書館は、戦前・戦中の反省、歴史を踏まえて、どうすれば、「知る自由」が守れるのか…ということを考え続けています。
中川さん:「知る自由」は、意識して守っていく必要があるんだということ、とても大切ですね。
「読む読む・語る」平均年齢85歳の読書会の物語
中川さん:今日のおすすめ本、お願いします!

『よむよむかたる』
森:シリアスな話になっちゃいましたので、読書会つながりで、ちょっと楽しい話題を。
この夏の芥川賞・直木賞は、両賞とも「該当作なし」で残念だったんですが、直木賞の候補作になった朝倉かすみさんの『よむよむかたる』文芸春秋(2024)が、とっても面白かったので、おススメします!
物語の舞台は、北海道の小樽。月一回の読書会に集う人々の物語です。読書会メンバーの平均年齢は、なんと85歳。とにかく、どのキャラクターも強烈な個性の持ち主です。
読書会で取り上げる作品は、佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』講談社青い鳥文庫(1980)。主人公は、子どもの頃、自分だけの秘密の場所を見つけるんですが、そこで「こぼしさま」と呼ばれる小人たちに、一瞬だけ出会います。戦争を経て、大人になってその土地に戻ってきて、小人たちに再会します。実はこの小人たちは、「コロボックル」なのではないか?と、ルーツを探ったりしながら、お互いのことを信頼し合うようになります。ところが、小人たちが住んでいる土地が、道路工事で潰されてしまう、という危機に見舞われるんですね。そこである作戦を立てて、協力しながら小人たちの国を守ろうと奮闘します。
この本、何十年かぶりに読み返して、「こんなに面白かったのか!」と、ゾクゾクするほどでした。

『だれも知らない小さな国』
森:『よむよむかたる』のほうに戻って…(笑)。読書会では『だれも知らない小さな国』を一人一節ずつ読みながら、感想を言い合います。本質を突くような発言があったり、延々と脱線したり…。本のタイトルは『よむよむ・かたる』ですが、分量で言えば『よむ・かたるかたる』が実態に近いです。読書会の会場「喫茶シトロン」の雇われ店長になった、自称小説家の若者”やっくん”が語り手なんですが、その描写の眼差しが温かくて、可笑しくて、そしてほろりとさせられる場面もあるんです。
中川さん:本の表紙は、可愛い女の子がぬいぐるみをギュっと抱いている絵なんですね?
森:そうなんです。登場人物たちは高齢の方々なのに、どうして?と、ちょっと不思議ですよね。その謎も、本の中で明かされます♪
『よむよむかたる』は、読書推進運動協議会が作成する、「2025 敬老の日読書のすすめ」にもリストアップされている作品です。中川さん、キャッチコピーを読んでみていただけますか?
中川さん:「~心ゆたかに生涯読書~ 読むこと、語ることは、人生の彩り!」
森:ありがとうございます!素敵なフレーズですよね。ぜひ、図書館や本屋さんに足を運んで「どんな本があるのかな」と見てみていただければと思います。
市立長野図書館40周年記念講演会

『74歳、横山タカ子の 体にいいごはん』
中川さん:リスナーの皆さまへのお知らせなどありますか?
今回は、長野市長門町にある、市立長野図書館の開館40周年記念式典をご案内します!
式典では大変光栄なことに、私もお祝いの言葉を述べさせていただくんですが、リスナーの皆さまへの耳寄り情報。記念講演会は、信州の郷土料理家、横山タカ子さんです。
今日も横山さんの本を持ってきました。『74歳、横山タカ子の体にいいごはん(ラクに作れる献立とおかず)』家の光協会(2022)。「体によくって、楽につくれる」、最高ですね。今日の冒頭のお話にからめると、これこそが「食べ物を大切にする」コツにつながりそうです。
- 市立長野図書館 開館40周年記念式典、横山タカ子さんの講演会
9月28日(日曜日) 午後1時~午後3時30分
長野図書館 3階視聴覚室 (無料・申込不要)

市立長野図書館40周年
中川さん:横山タカ子さん、とても素敵な生活の提案をされている方ですよね?受付は、12時半から。なるべく公共交通機関で。サイン会もあるとか…楽しみですね!リスナーの皆さまもぜひお出かけください。
森:だんだん、涼しくなって、過ごしやすくなってきた今日この頃、図書館でお待ちしています。今日もありがとうございました!
このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら
県立長野図書館 総務企画課
TEL:026-228-4939
FAX:026-291-6252























